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保険の賢い利用法(5)

あなたに最適な保険とは?家族の構成別にみる保険の組み合わせ方

100人いれば100種類の家庭状況があるため、保険商品はどう組み合わせるかも重要になります。各家庭にはいろいろなリスクがありますが、全部を保険で備えようとすると、さまざまな保険の組み合わせをしないといけなくなり、保険料もどんどん膨れあがります。小さなリスクは貯蓄などによって対応した方が効率もいいです。ここでは「めったに起こらないけれど、起こったときには大きな損失」ということだけを想定した保険の組み合わせを紹介します。

(本記事は、長尾義弘氏の著書『保険はこの5つから選びなさい』河出書房新社(2016年3月5日)の中から一部を抜粋・編集しています)

ケーススタディ1「子どもが1人いる3人家族の場合」

保険はこの5つから選びなさい
(画像=Webサイトより)

若いご夫婦で、小さいお子さんが1人いる3人家族のケースから見ていきます。夫は会社員で、妻は出産のため会社をやめましたが復帰を予定しています。現在の預金は300万円。将来は住宅を購入したいと考えているので、これはその準備資金でもあります。住宅購入の資金を想定していますが、ケガや病気になったときにはこのお金を使うことができます。失業したときには、生活費に充てることも可能です。医療保険、傷害保険では、病気やケガにしか保障がありません。失業の場合は、就業保障保険になります。小さなリスクには、預金で対応するのがいちばんです。

いっぽう、大きなリスクとしては死亡が考えられます。年収500万円の夫が本来なら65歳で定年を迎えるところを、35歳で死亡したと想定します。定年まで同じ給料だったとしても30年間で1億5000万円の損失になります。もちろん、遺族年金があったり妻が働くことで損失額と不足額は大きく違っています。実際、生活費の不足額は2000万~3000万円ぐらいだといわれていますが、この金額は預金でまかなえるものではありません。この場合、夫はタバコを吸わないと仮定して、損保ジャパン日本興亜ひまわり生命の「家族のお守り」(35歳男性、非喫煙優良体で年金月額15万円、60歳払い込み満了〈年金月額15万円は、15万円×12か月×25年=4500万円〉、月額保険料は3735円)を検討してみました。

もうひとつ心配ごととして、がんのリスクをあげます。30歳男性が40歳までにがんになる確率は0・1%、女性なら0・2%です。確率はひじょうに低いものの、若い人にとっては大きなリスクになるでしょう。そこで、SBI損保の「がん保険自由診療タイプ」(35歳男性、がん診断保険金なしのタイプ、夫:月額保険料620円、妻:月額保険料970円。合計月額保険料は1590円)を追加します。若いときは女性のほうが罹患率が高いため妻も入ります。5年ごとの更新なので、そのたび保険料がアップしていきます。そのため、ある年齢で更新をやめる判断が必要です。この3つの保険に入ると、月額保険料の合計は5325円になります。余裕ができたぶんは貯蓄にまわしましょう。

ケーススタディ2「子どもが2人いる4人家族の場合」

子どもが2人いる場合を考えてみます。子どもが1人から2人になると、教育費も2倍になり将来に対する必要額も増えてきます。公的な保障額も増えるので単純に2倍になるわけではありませんが、保険を増額する必要があります。加入中の収入保障保険を増額する手も考えられますが、保障期間が延びないためベストの方法ではありません。ここは、収入保障保険の2階建てで考えてみましょう。子どもの年齢に合わせて契約時期をずらすのです。

2つ目の保険は、契約時点で約5500万円の保障があり、契約満了は65歳と設定します。このケースでは、夫はタバコを吸っていると仮定して、オリックス生命の「キープ」にしました。30歳のときに1つ目の収入保障保険(年金月額15万円、60歳まで)に、35歳のときに2つ目の収入保障保険(年金月額10万円、65歳まで)に加入します。保険料はそれぞれ4155円と4050円で、合計8205円です。これにSBI損保の「がん保険自由診療タイプ」(月額保険料620円)をつけても月額保険料は1万円を超えません。

仮に、子どもが4人に増えても、必要額はさらに倍になるわけではありません。収入保障保険を4階建てにするのではなく、定期保険を追加するくらいでいいでしょう。

ケーススタディ3「自営業一家の場合」

自営業者の場合は会社員よりもはるかに公的保障が不利になります。自営業者は定年がなく税制などでは有利な面もありますが、厚生年金が受け取れないため、遺族年金や老後の年金がすくなくなってしまいます。健康保険からの傷病手当金などもありません。このように受けられる保障がずいぶんと限られています。そのぶん、自分自身による生活の防衛、リスクへの対応が不可欠になってきます。死亡保障の額を増やす必要もありますし、病気で仕事ができなくなったときのリスクにも備えなければなりません。もちろん、老後の生活に対応できることも求められます。

医療費は3割負担、高額療養費制度なども使えますから、治療費の心配はないと思います。むしろ、長期入院で仕事を休業してしまうリスクのほうが問題です。もしもの場合のために「楽天生命ロング」に入っておくのも、ひとつの手です。子どもがいる場合は、必要保障額は多めに設定しておくといいかもしれません。また、事業をしていると借入れをしている場合があります。仕入れ、事業の継続、または新規展開などをするために、ある程度まとまった資金が必要になることもあるでしょう。そのお金は、事業をしている限り必要になってくるわけです。こういうときには、保障金額が減っていかない定期保険が便利です。

40歳男性、タバコを吸っていなくて健康優良体と仮定して、損保ジャパン日本興亜ひまわり生命の「家族のお守り」とメットライフ生命の「スーパー割引定期保険」の2階建てを考えてみました。収入保障保険は、年金月額15万円、月額保険料5310円。定期保険は、死亡保険金1000万円、65歳満了、月額保険料2980円。医療保険の楽天ロングは、入院日額5000円、月額保険料1135円。合計で月額保険料9425円になります。

老後の生活も国民年金だけではかなり不安です。最低でも、付加年金に入っておきたいところです。余裕があればそれにプラスして、確定拠出年金にも入っておきましょう。ここでオススメなのは、中小企業の経営者・役員に対しての退職金積立制度「小規模企業共済」です。掛け金が全額控除になり、受け取るときも退職所得控除をつかうことができます。また、年金で受け取る場合は公的年金控除をつかうことができるので、お得な受け取り方ができます。事業でお金が必要になったときの貸付制度もあり、死亡したときは掛け金がもどってくるので預金のようにもつかえます。小規模企業共済である程度掛け金が貯まったなら、定期保険はやめてもいいかもしれません。

ケーススタディ4「夫婦共働きで子どもはいない場合」

夫婦共働きで生活資金に余裕があり、ある程度の貯蓄がある人に保険は必要ないでしょう。死亡保障は亡くなったときの金銭的リスクに対しての備えですから、金銭的に困った状態にならないのであれば必要ないのです。ここでは、SBI損保の「がん保険自由診療タイプ」(52歳男性のがん保険は月額保険料2280円、50歳女性のがん保険は月額保険料2530円)だけを選択しました。月額保険料の合計は4810円ですが、年払いにするとさらに安くなります。

子どもがいない場合は配偶者や自分だけが頼りです。老後の準備はどうしても必要になります。老後は介護保険に頼るのではなく、貯蓄のほうが使い勝手がいいため、効率のいい貯蓄の方法も考えてみましょう。所得税が10%の人なら確定拠出年金は実質的に年利20%で運用できます。ただ、確定拠出年金は、加入できるのが60歳までです。しかし、50歳から入ると金額がすくないので、それだけではたりないかもしれません。NISA(小額投資非課税制度)もあわせて活用して老後に備えましょう。

ケーススタディ5「シングルで扶養家族がいる場合」

子どもは成長すれば教育費がかからなくなるため、ある程度の年齢になったら保障額を減らすことが効率的です。しかし、保障額が減っては困るという場合があります。たとえば、45歳の独身男性で、70歳の母と二人暮らしをしているケースです。母は元気ではあるものの、若干の介護も必要になってきました。家が自営業だったために、母の国民年金はそれほど多くなく自分の扶養家族になっています。

このようなケースでは、年齢とともに保障金額が減っていく収入保障保険は向きません。まず、10年の定期保険に入るのはどうでしょうか。更新するかどうかは、10年後に見直せばいいのです。仮に子どもが先に死亡することがあっても保険金がその後の生活費になりますし、高齢者ホームや介護施設などに入る場合でも、一時金に使うことができます。タバコを吸っていると仮定し、オリックス生命の「ファインセーブ」(年満了)で考えた場合、45歳男性は月額保険料4240円になります。10年の間に、確定拠出年金をつかって老後に備えておきましょう。ただし、確定拠出年金は60歳までは受け取ることができないので、途中資金はべつに用意しておく必要があります。NISAをつかって積立投資をするのもいいかもしれません。

長尾義弘(ながお・よしひろ)
ファイナンシャルプランナー、AFP。お金のしくみ、保険のカラクリについての得する情報を発信している辛口の保険評論家。徳島県生まれ。大学卒業後、出版社に勤務。いくつかの出版社の編集部を経て、1997年に「NEO企画」を設立。出版プロデューサーとして数々のベストセラーを生みだす。著書には『商品名で明かす今いちばん得する保険選び』『お金に困らなくなる黄金の法則』(小社刊)、『コワ~い保険の話』(宝島社)、『保険ぎらいは本当は正しい』(SBクリエイティブ)が、監修には別冊宝島の年度版シリーズ『よい保険・悪い保険』(宝島社)などがある。

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