前日のマーケット動向としては、BOE(英中銀)が政策金利を0.25%に据え置き(表決は7対2)、4,350億ポンドの国債買い入れ枠(同9対0)および100億ポンドの社債買い入れ枠(同9対0)の据え置きを決定しました。0.25%利上げを主張する委員が3人に増えるとの期待感があったため発表直後はポンド売りが主導し、ポンド円は145.20円台、ポンドドルは1.3140ドル台まで急落しました。

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(写真=PIXTA)

しかし、議事要旨では、経済成長が継続すると ともにインフレ圧力が高まる場合、大半のメンバーが数ヶ月以内に緩和策の一部を解除する必要があると主張したこと、更に、予想通りの経済成長であれば、MPCメンバーが市場の想定よりも早い引き締めが必要とみていることも明らかになり、年内の利上げを織り込む動きでポンドが急騰しました。

その後は、米CPI(消費者物価指数)待ちの動きになっていましたが、日経新聞が英語のヘッドラインで「北朝鮮でミサイル発射の兆候。 ICBMの可能性」と報じたことにより、一気にリスク回避の円買いの動きが加速しました。その後に発表された米CPIは市場予想を上回る強い数字であったため、ドル円は8月4日以来の111円台を示現しました。しかし、朝日新聞が「北朝鮮がICBM発射の兆候。発射台が移動開始」と報じると110.30円台に急落するなど、経済指標よりも地政学的リスクが意識される動きとなりました。

そして、迎えた本日午前6時57分ごろ、北朝鮮西岸から東北地方に向けてミサイルが発射されました。報道を受け、ドル円は一時109.50円台まで円買いが強まりましたが、その後は、徐々に落ち着きを取り戻し110円台を回復しています。ただ、国連安保理が北朝鮮による弾道ミサイル発射を受け、日本時間16日午前4時に非公開会合を開くと報じており、引き続き不安定なマーケットが続く可能性がありそうです。

本日は、米・8月小売売上高、米・9月NY連銀製造業景気指数、米・8月鉱工業生産、米・9月ミシガン大学消費者信頼感指数(速報値)など、米国 の主要な経済指標が予定されています。

本日の推奨通貨ペアについては、ドル円の戻り売りに妙味がありそうです。110円台を回復しており、アジア時間は戻り基調が主導しそうですが、国連安保理が緊急非公式会合を開くなど、まだまだ地政学的リスクが意識されている点、そして、111円台が当面レジスタンスライ ンになっていることもあり、前日の高値上抜けラインを損切りポイントとし、110円台半ばから後半にかけての売り戦略が機能するのではないでしょうか。

FF金利先物による年内のFOMC追加利上げ織り込み度は約53%、一回目の利上げ織り込み度が50%を超えるのは2017年12月に変更になっています。

(提供:FXプライムbyGMO)

高野やすのり
慶應義塾大学卒。チェース・マンハッタン銀行(現J.P.モルガン・チェース銀行)、スイス・ユニオン銀行(現UBS銀行)などでインターバンクディーラー業務等に従事。現、(株)FXプライム byGMOチーフストラテジスト。

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