昨日の海外時間には、FOMCが予想通りバランスシートの縮小を決定するとともに、来年の金利見通しをほぼ据え置き、インフレ率が上がらない理由を「年内に消える公算が大きい一時的要因」による、とされたことから米長期金利が上昇してドル買いが強まりました。
欧州時間、FOMCを控えて新規材料もない中、米長期金利がやや低下したことから円が強含んでドル円は111.20円台まで、ユーロ円は133.50円台まで下落しました。この間ユーロドルは1.2020付近まで上昇ました。
NY時間にはいって米長期金利が反発すると、円もじり安になって、ドル円は111.50円台まで、ユーロ円は133.80円付近まで上昇し、ユーロドルは1.1980台まで下落しました。
NY時間午後になってFOMCの発表が近づくとポジション調整と見られるドル売りがやや優勢となって、ドル円は111.30円付近まで下落し、ユーロドルは1.2010台まで上昇しました。
FOMCは、大方の予想通り政策金利を据え置き、バランスシートの縮小開始を決定しました。縮小の開始は10月から、当初は月額100億ドルで四半期ごとに100億ドルずつ増額されます。同時に発表されたドット・チャートでは、2019年や長期の安定的な金利水準に関してはこれまでよりやや低く想定されましたが、2018年にこれまで通り3回の利上げを見込まれていたことから、予想よりタカ派的、とされ米長期金利が上昇しました。為替市場では発表直後に一旦ドル売りが強まって、ドル円は111.10円付近まで下落し、ユーロドルは1.1230台まで上昇しましたが、すぐに反転ドルが急騰し、ドル円は112.10円台まで上昇し、ユーロドルは1.1880台まで下落しました。この間ユーロ円は134.00円台まで上昇したあと133.20円台まで反落し、133.50円付近での取引となりました。
イエレンFRB議長の会見が始まって「(インフレ率について)今年目標を下回っているのは、年内に消える公算が大きい一時的な要因によるものだ」とされたことから米長期金利が一段高となる中ドル買いが強まって、ドル円は112.50円台まで上昇幅を拡大し、ユーロドルは1.1860台まで 下落しました。
東京時間にはいってからは、日経平均が上昇する中円売りが優勢となって、NY時間終盤に112.10円付近まで下落していたドル円は112.60 円台まで上伸し昨日の高値を更新しています。
今日の海外時間には米・9月フィラデルフィア連銀景況指数、米・新規失業保険申請件数、米・8月景気先行指数の発表のほか、プラート・ECB専務理事、ドラギ・ECB総裁の講演が予定されています。
FF金利先物による年内のFOMC追加利上げ織り込み度合いは約71%と大幅に上昇しました。
昨日のFOMCはほぼ予想通りの結果でしたが、イエレンFRB議長の会見の中のインフレ率についての言葉「今年目標を下回っているのは、年内に消える公算が大きい一時的な要因によるものだ」という言葉に象徴されるように、来年2018年にはこれまでの計画通り3回の利上げを行うという強い意欲が確認されました。市場では年内の1回の利上げはともかく、来年の3回の利上げに関しては懐疑的な見方が多く、現在でも2018年内の利上げ は1回程度しか織り込まれていません。今後FOMCの声明やイエレンFRB議長の会見内容を吟味して、市場参加者が来年の利上げに関して、もう一 段織り込み度合いを高めれば米長期金利が一段高となって円売りが強まるでしょう。
ドル円は今年5月と7月につけた114円台前半を視野に置いた動きとなる事が考えられ、当面は112円絡みでのドル買いポジション構築を目指したいと考えます。
(提供:FXプライムbyGMO)
高野やすのり
慶應義塾大学卒。チェース・マンハッタン銀行(現J.P.モルガン・チェース銀行)、スイス・ユニオン銀行(現UBS銀行)などでインターバンクディーラー業務等に従事。現、(株)FXプライム byGMOチーフストラテジスト。
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