売掛金をスピーディに資金化できるファクタリングという金融サービスが、資金繰りに悩む中小企業を中心に注目を集めています。ファクタリング会社ではそれぞれ審査基準を設けており、その厳しさは会社によって異なります。審査の結果次第で利用可否だけではなく手数料も大きく変更されるため、審査内容はあらかじめ知っておきたいものです。ファクタリング会社における審査対象と注目すべきポイントについてまとめました。

売掛先の信用度

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(写真=ASDF_MEDIA/Shutterstock.com)

ファクタリング会社は売掛金を事業主から買い取り、支払期日に事業主、または売掛先から資金を回収するのがファクタリングの流れです。つまりファクタリング会社にとって「売掛先が確実に売掛金を回収できる信用度が高い会社なのかどうか」が審査において重要なポイントとなります。

●経営状態

事業主から売掛金を買い取ったものの、万が一、売掛先の経営状態が悪化して倒産してしまうと、売掛金が回収できずに丸ごとファクタリング会社の損失となってしまいます。そのため、利益の推移や資金・借入金状況などの経営状態を審査します。回収のリスクが高い売掛先だと手数料も高額になる傾向があると言われています。

●口座を差し押さえられていないか

差し押さえは、返済が滞っている債務者から裁判所を通して強制的に債権を取り上げる法的な回収方法です。もし口座が国や他社から差し押さえられていた場合、ファクタリング会社が売掛金を回収できる可能性は低くなります。そのため差し押さえられていないかどうかも審査ポイントとなります。

事業主の状況

ファクタリングを依頼する事業主も審査対象になります。通常、審査で重視されるのは事業主よりも売掛金を回収する相手である売掛先です。しかしファクタリング会社と事業主のみで行う2社間ファクタリングでは、事業主自身が売掛金を回収してファクタリング会社に引き渡すスキームとなっています。従って事業主に対する信用度も審査の重要なポイントなのです。
具体的には下記のような項目が審査対象となります。

・経営状態
・ファクタリング資金の使用用途
・借入状況
・納税状況(滞納していないか)
・事業主の人格

ファクタリング会社が注目するのは、事業主がファクタリングを行える経済状態であるかという点です。2社間ファクタリングでは、事業主が売掛金をファクタリング会社に引き渡す前に倒産していたり、持ち逃げされる危険性があるため、より審査は厳しくなります。

入金までにどれくらいの日数があるか

入金までの日数も審査基準のひとつです。売掛先から入金されるまでの日数が短ければ短いほど売掛金を回収できる可能性が高まり、審査も通りやすくなります。逆に支払日が数カ月先など長くなると、会社が倒産して回収できなくなるリスクが高まり、審査も慎重になる傾向です。売掛金の回収期日によってファクタリング会社の手間とコストが増える等の理由で、手数料も変動する要因になります。

譲渡登記の可否

事業主の売掛債権がファクタリング会社に譲渡されたことを法務局に申請して記録することを、債権譲渡登記といいます。債権譲渡登記を行うとファクタリング会社は他社に対して自分の権利を法的に主張し対抗することができるため、ファクタリング会社によっては債権譲渡登記を必須条件としている場合もあります。債権譲渡登記は回収リスクが低くなる分、手数料が安くなるというメリットがあります。一方で公開情報として法務局に債権を譲渡した記録が残るため、将来金融機関へ大口融資を申し込んだ際などに調べられ、融資の可否に影響を及ぼす可能性も否定できません。

甘すぎる審査には気を付けよう

ファクタリングの審査基準は会社ごとに異なるため、中には審査が甘く、即日で売掛金を買い取ってくれる会社もあります。しかし、審査が甘いということは、ファクタリング会社にとって売掛金を回収できないリスクが高いということです。そのため審査が甘い会社を選ぶと、想像以上に手数料が他社より高くなりがちといえます。「手数料が高くて売掛金の買い取り価格が予想以上に安くなってしまった」と後悔することのないよう、注意点をよく確認した上でファクタリングを利用することが大切です。(提供:ビジネスサポーターズオンライン)

※当記事は2017年7月現在の情報に基づき制作しております。最新の情報は各関連ホームページなどをご参照下さい。