昨日の海外時間には、米長期金利睨みの取引が続き、欧州時間にはドル売りが進む場面もありましたが、NY時間午後にかけて米長期金利が反発してドルも反発しました。今日の東京時間、北朝鮮の金委員長が米の政策強化に反発して言及した超強硬対抗措置には「太平洋上での史上最強の水爆実験を意味する可能性」と報じられたことからリスク回避の円買いが強まっています。
欧州時間序盤、黒田日銀総裁の会見では特段の新規材料もありませんでしたが、円売りが強まってドル円は112.70円台まで、ユーロ円は134.00円台まで上昇しました。しかし米長期金利がやや低下する中ドル売りが優勢となって、ドル円は112.20円台まで下落し、ユーロドルは1.1910台まで上昇しました。その後米長期金利が下げ止まるとドル円は112.50円台まで反発し、ユーロドルは1.1890付近まで下落しました。
NY時間にはいって、米長期金利が一段と低下すると再びドル売りが優勢となって、ドル円は112.10円台まで下落し、ユーロドルは1.1950台まで上昇しました。
NY時間午後にかけて、米長期金利が反発すると円売りが優勢となって、ドル円は112.60円付近まで、ユーロ円は134.30円台まで上昇しました。この間ユーロドルは1.1930台を中心に狭いレンジ取引となりました。
東京時間にはいってからは、米の制裁強化に反発して北朝鮮の金委員長が言及した超強硬対抗措置には「太平洋上での史上最強の水爆実験を意味する可能性」と報じられたことから、リスク回避の動きで円買いが強まって、ドル円は一時112円を割り込みました。
今日の海外時間には独/ユーロ圏・9月製造業/サービス業PMIの発表のほか、ウィリアムズ・米サンフランシスコ連銀総裁、コンスタンシオ・ECB副総裁、ジョージ・米カンザスシティー連銀総裁、カプラン・米ダラス連銀総裁の講演が予定されています。
FF金利先物による年内のFOMC追加利上げ織り込み度合いは約73%とやや上昇しました。
トランプ米大統領は、北朝鮮と取引する企業への制裁を科す大統領令に署名し、中国も国内の銀行に北朝鮮関連業務の停止を通達しました。北朝鮮への制裁がますます厳しくなる中、先日のトランプ米大統領の「完全に破壊」発言もあって北朝鮮は反発を強めています。太平洋上での水爆実験という新たな脅威が示唆される中、リスク回避の円買いが起きやすい状況となっています。特に週末にポジションを持ち越すことは、その間のリスク・イベントに対して無防備な状態となることを意味します。
経済状況を考えれば、FOMCの利上げに対する織り込み度合いが上昇している中ドル円は上昇しやすいと考えられ、112円割れはドル買いが出てもおかしくない水準ですが、地政学的リスクは予想が困難なだけに、週末を控えてポジションの管理には普段と違った注意が必要でしょう。
(提供:FXプライムbyGMO)
高野やすのり
慶應義塾大学卒。チェース・マンハッタン銀行(現J.P.モルガン・チェース銀行)、スイス・ユニオン銀行(現UBS銀行)などでインターバンクディーラー業務等に従事。現、(株)FXプライム byGMOチーフストラテジスト。
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