金曜日の海外時間には、狭いレンジ取引が続きました。週末に行われた独連邦議会選挙では、メルケル首相のCDUが第1党の座を確保したものの、連立相手のSPDが連立離脱の方針を示したり、右翼政党「ドイツのための選択肢」が予想以上に議席を確保する見通しとなったことからユーロ売りが優勢となっています。

FXプライム,高野やすのり,市況解説
(写真=PIXTA)

欧州時間、特段の新規材料のない中ドル円は112.00円付近の非常に狭いレンジ内の取引が続きました。一方ユーロは、欧州株が上昇したこともあって一旦は買われ、ユーロドルは1.2000台まで、ユーロ円も134.40台まで上昇しましたが、欧州株が反落するとユーロ売りが優勢となって、ユーロドルは1.1950台まで、ユーロ円は133.90円台まで下落しました。

NY時間にはいっても、特段の材料もなく週末を控えてもみ合いが続きましたがややレンジが拡大し、ドル円は111.80円台から112.10円台の間を上下しました。一方ユーロドルは欧州時間の流れを引き継いで1.1930台まで、ユーロ円も133.80円付近まで下落しました。

週末に行われた独連邦議会選挙では、予想通りメルケル首相のCDU・CSUが、議席を減らしながらも第1党を確保しました。しかし連立政権のパートナーである社会民主党(SPD)は議席を減らし、選挙後は連立に加わらない方針を示しました。また、難民の受け入れ反対などドイツ国民優先主義を掲げる右翼政党「ドイツのための選択肢」が事前の予想を大きく上回る得票を得たことから、今後連立政権の交渉が難航する、との見方から週明けの市場ではユーロ売りが優勢となっています。

今日の海外時間には独・9月IFO景況指数の発表のほか、メルシュ・ECB専務理事、コンスタンシオ・ECB副総裁、ダドリー・米NY連銀総裁、ドラギ・ECB総裁、クーレ・ECB理事、エバンズ・米シカゴ連銀総裁の講演が予定されています。

FF金利先物による年内のFOMC追加利上げ織り込み度合いは約73%と変わらずでした。

安倍首相は今日午後にも記者会見を行い、衆院解散の方針を発表する予定です。その際、再来年10月の消費税増税後の増収分の使途に関して「子育て支援などで2兆円規模の対策指示へ」と報じられたことから、日経平均が上昇し円売りが優勢となっています。

いよいよ総選挙が行われることが正式に発表され、具体的な公約が見えてくれば、これまでの例を見ても日経平均には追い風となる可能性が高く、それに伴ってドル円も買われやすくなります。112円割れでは買い意欲が見られると考えられ、今週中に113円台半ばから114円程度まで上昇してもおかしくありません。

ただ、この週末にも、米爆撃機が北朝鮮の東方沖合を飛行したり、北朝鮮の李外相がトランプ米大統領の発言を「北朝鮮のロケットが米国本土に到達することを不可避にした」と述べるなど米朝の緊張が高まっていることから、一段と事態が悪化した場合には円買いが強まると考えられるので、リスク管理には気を付けなければなりません。

(提供:FXプライムbyGMO)

高野やすのり
慶應義塾大学卒。チェース・マンハッタン銀行(現J.P.モルガン・チェース銀行)、スイス・ユニオン銀行(現UBS銀行)などでインターバンクディーラー業務等に従事。現、(株)FXプライム byGMOチーフストラテジスト。

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