近年、仕事や職場に関するストレスや悩みを抱えている人が増えており、メンタルヘルス不調の未然防止が大きな課題となっている。先ごろ行われた調査によると、企業のストレスチェック責任者の6割以上が「職場でのメンタルヘルス対策に関わる課題・悩みがある」と答えたことが分かった。

労働安全衛生法の一部改正により2015年12月1日に「ストレスチェック制度」が施行され、従業員50人以上の事業場にはストレスチェックの実施が義務化された。「職場におけるストレスの原因」「ストレスによる心身の自覚症状」などに関する項目について年1回の検査が義務付けられることとなったが、もうすぐ3年を迎えるので職場で経験したという人も多いだろう。

「ストレスチェック制度」の大きな目的は、従業員のメンタルヘルス不調の未然防止だ。調査では、ストレスチェック責任者に対して「メンタルヘルス対策に関わる課題・悩み」について質問 。総合人事・人財サービスのアデコが2017年7月に行ったもので、対象者は従業員50人以上の事業場に勤務するストレスチェック責任者300人 。

6割以上が課題や悩みを抱えている

メンタルヘルス,調査
(写真=PIXTA)

「職場でのメンタルヘルス対策に関わる課題・悩みはあるか」との問いには、全体の61.3%が「ある」と回答した。「ない」は31.0%、「わからない/答えられない」が7.7%だった。6割以上がメンタルヘルスに関する課題や悩みを抱えていることが分かった。

具体的にはどのような課題・悩みがあるのだろうか。挙げられた回答を多い順に見てみよう。

1位 「休職者の増加」46.7%
2位 「従業員の生産性・士気の低下」44.6%
3位 「メンタルヘルスに関する誤解や偏見が顕在・潜在化している」35.3%
4位 「職場環境改善の推進」29.3%
5位 「社内体制の構築・推進」28.8%
6位 「早期離職者の増加」25.0%
7位 「ストレスチェックに関する課題」23.4%
8位 「長時間労働」22.3%
9位 「メンタルヘルス不調による事故・災害の増加」19.6%

1位の「休職者の増加」、6位の「早期離職者の増加」、9位の「メンタルヘルス不調による事故・災害の増加」などは、個人のメンタルヘルス不調を未然に防げなかったために生じている課題や悩みだ。

2位の「従業員の生産性・士気の低下」、3位の「メンタルヘルスに関する誤解や偏見が顕在・潜在化している」という悩みを解消するためには、4位の「職場環境改善の推進」、5位の「社内体制の構築・推進」といった課題の解決が必要になるだろう 。

「集団分析」の実施率は65%