昨日の海外時間には、北朝鮮の李外相がトランプ米大統領のツイッターへの投稿を「宣戦布告を行ったもの」として「戦略爆撃機を撃墜する権利を含む対抗手段をとる権利がある」と述べたことからリスク回避の動きが強まって円が買われました。
欧州時間、週末に行われた独連邦議会選挙でメルケル首相のCDUが第1党を確保したものの、連立相手だったSPDが連立に参加しない方針を示したことや、極右政党が躍進したことを受けて独政治混乱の懸念が高まったことからユーロ売りが強まって、ユーロドルは1.1860台まで、ユーロ円は133.00円台まで下落しました。一方ドル円は、米長期金利が低下したことから111.90円台まで下落しましたが、NY時間にかけて米長期金利が反発したことから112.20円台まで上昇しました。
NY時間序盤は原油相場が上昇する中ユーロドルは1.1890付近まで反発しましたが、ドル円は112.20円台を中心とした狭いレンジ取引が続きました。
東京時間12時前、北朝鮮の李外相がトランプ米大統領が23日に同外相の国連演説を受けて「彼らの先は長くない」とツイッターに投稿したことについて、北朝鮮に宣戦布告を行ったものだと主張し「米国がわが国に宣戦布告をした以上、わが国には対抗手段をとる権利がある。それには、わが国の領空外を飛行する米国の戦略爆撃機を撃墜する権利も含まれる」と述べたと報じられたことから、リスク回避の動きが強まって、米長期金利が急低下する中円とドルが買われ、ドル円は111.40円台まで、ユーロ円は131.90円台まで急落、ユーロドルも1.1830台まで下落しました。
NY時間午後にはいると、NYダウはじめ各国株価が下げ幅を縮めたことからやや円が売り戻され、ドル円は111.70円台まで、ユーロ円は132.30円台まで反発しました。
今日の海外時間には米・7月S&P/ケースシラー住宅価格指数、米・9月CB消費者信頼感指数、米・8月新築住宅販売件数の発表のほか、メスター・米クリーブランド連銀総裁、ブレイナード・米FRB理事、イエレン・米FRB議長の講演が予定されています。
FF金利先物による年内のFOMC追加利上げ織り込み度合いは約73%と変わらずでした。
再び北朝鮮情勢が緊張度を増したことからリスク回避の動きが強まりました。ただ、このところは北朝鮮絡みのリスク回避の動きは長続きしていないこともって、日経平均は下げ幅をほぼ取り返しています。しかしドル円相場は、米長期金利が反発していないこともあって上値の重い展開になっていて、日経平均とドル円相場の相関が崩れています。
一方今晩はイエレン・米FRB議長ほか複数のFOMCメンバーの講演が予定されていますので、その中で来年の利上げ期待が高まるような言葉があれば米長期金利がやや上昇してドル円上昇できるでしょう。
しかしながら今後も北朝鮮情勢は米長期金利の上昇を阻む要因になると考えられますので、その意味ではドル円も上値の重い展開が予想されます。
FOMCメンバーの発言などでやや円売りが強まる場面はあるでしょうが、北朝鮮絡みの緊張を高めるような報道があれば、すぐに円が買われることから、111円台前半は買いポジションを作りたい水準ではありますが、その場合でもストップ・ロスの管理が重要です。
(提供:FXプライムbyGMO)
高野やすのり
慶應義塾大学卒。チェース・マンハッタン銀行(現J.P.モルガン・チェース銀行)、スイス・ユニオン銀行(現UBS銀行)などでインターバンクディーラー業務等に従事。現、(株)FXプライム byGMOチーフストラテジスト。
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