マネーフォワード<3994>が2017年9月29日にマザーズに上場する。直近のIPOの状況を見ると、初値が公募価格を大きく上回ることが多く、マネーフォワードも公募価格を上回る初値をつける可能性は高いと思われる。

上場後にマネーフォワードへの投資を検討する場合、どのような点をチェックすべきだろうか。中長期スタンスでの投資にも堪えうるか否かを分析する。

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(画像=マネーフォワードWebサイトより)

マネーフォワードの財務分析

まずは、企業活動の優劣が如実に表れる財務諸表を紐解いてみよう。マネーフォワードの財務諸表は東京証券取引所のHP上に掲載されている。

ついつい売上高の大小に目を奪われがちだが、実のところ売上高はざっと確認するだけでよい。売り上げに関する項目で、重要なのは「売上総利益」だ。「売上総利益」÷「売上高」×100を計算してみよう。この数字(%)を「粗利益率」と呼ぶ。

マネーフォワード2016年12月1日~2017年5月31日の粗利益率は67.4%と、かなり高い数字を示している。粗利益率が高い(目安は40%以上)企業は競争優位性を長期にわたって示す傾向にある。その前年度の粗利益率が52.4%、前々年度の粗利益率が2.53%ということを考えると、驚異的な成長だ。売上高の分析から、マネーフォワードは利益の源泉をしっかり捉えているとみてよいだろう。

一方、経常利益が創業以来赤字続きということは、マネーフォワードが現在抱えている課題をはっきりと浮き彫りにしている。直近の2016年12月1日~2017年5月31日の損益計算書によると、粗利益率は先ほども述べたように67.4%と高いが、経常利益の一歩手前の営業利益の時点で赤字になってしまっているのだ。

原因は「販売費および一般管理費」の膨張だ。売上総利益8億1106万9000円に対して、販売費および一般管理費は14億8670万8000円で、差し引き6億7563万9000円の営業損失となっている。営業利益=売上総利益-(販売費+一般管理費)だから、この時点で赤字になってしまう。

目論見書によれば、この「販売費および一般管理費」膨張の主な原因は、「販売部門の人員の給与」と「宣伝広告費」という。したがってIPOによる上場後に認知度がさらに上がり、売上規模が大きくなってくるにつれて「販売費および一般管理費」は相対的に少なくなると推測される。

次に注目すべき項目は「資産」と「負債」だ。

2017年5月31日時点での資産合計は33億9383万3000円、負債合計は21億9031万9000千円で、資産合計が負債合計をかなり上回っている。マネーフォワードの財務が健全なことを示している。資産に占める現金の比率が84.8%と極めて高いことも好ましい。

以上のことから、マネーフォワードは上場後も高い競争力と安定した財務状況を保持する可能性が高いと推測される。経常利益の赤字もサービスの競争力の乏しさによるものではないため、認知度の向上により解消していく可能性が大きい。

マネーフォワードの事業戦略はどうか?

まずは主要サービス2つについて分析したい。

目論見書によると、個人向けサービスの自動家計簿「マネーフォワード」の利用者数は2017年7月末時点で500万人に達している。市場シェアは28.5%と第1位で、第2位の14.3%をかなり引き離している。

ここで注目したいのは、マネーフォワードの戦略が家計簿・預貯金などの管理サポートから、資産運用までを包括する「金融リテラシー」向上のサポートに変換しつつあることだ。

現在、国内の個人資産は1800兆円にのぼるといわれており、国の「貯蓄から投資へ」という政策にもかかわらず、その大部分が預貯金という形で存在している。

個人がなかなか投資行動をとれない最大の原因は「金融リテラシー」不足にあると考えられるので、「金融リテラシー」向上関連のマーケットはかなりの潜在的規模を持っていることは容易に推測できよう。

法人向けサービスは「MFクラウド」を展開。事業主向けクラウド確定申告市場でのシェアは20%で第2位だが、その事業戦略には注目すべき点がある。それは、「フィンテック」を活用した中小企業の融資手続き簡略化サービスを推進していることだ。

日本の企業の大部分は中小企業で、中小企業にとって融資が得られるか否かは、さまざまな点で生命線となる。融資をスピード化できるサービスは中小企業にとって大きなメリットを有することを考えると、このマーケットはかなり有望だと分析できる。

以上をまとめると、マネーフォワードは経常利益の改善状況を注視する必要はあるものの、基本的には中長期投資にも堪えうる優良企業と言ってよいだろう。

足元の株式市場・為替市場はどうか?

2017年9月25時点の日経平均株価終値は2万397円58銭だ。北朝鮮のミサイル問題によるリスク回避の動きから、一時ピークの値より1000円ほど下落する局面もあったが、現在は落ち着きを取り戻しつつある。

ちなみに、8月は夏枯れ相場とも言われ、出来高がかなり細るのに加えて円高に振れやすい時期とされる(円高に振れやすいのはアメリカ国債の利払いによるものと言われているが、はっきりした原因はわかっていない)。これらの理由により、8月は株式市場が下落しやすいのだが、その後9月、10月で持ち直し、11月以降上昇トレンドに乗るというのが日本の株式市場の標準的なサイクルだ。IPOによるマネーフォワードの上場は9月29日の金曜日だから、上場の時期としては悪くない。

ただし、IPO銘柄は上場時の初値が高騰した場合、その後下落することも多い。長期投資を選択する場合に大事なことの1つは「高値づかみをしない」ということだから、購入のタイミングをしっかり見極めたいところだ。

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