昨日の海外時間には、米長期金利が上昇したことからドル買いが優勢となりました。イエレンFRB議長の講演では利上げに対する意欲が示されましたが、具体的な時期に関する示唆がなかったことから影響は限定的でした。
欧州時間、週末に行われた独連邦議会選挙の結果を受けたユーロ売りが続き、ユーロドルは1.1780付近まで、ユーロ円は131.70円台まで下落しました。一方ドル円は、各国株価が堅調に推移したことから112.00円近くまで上昇しました。
NY時間にはいると、米長期金利が上昇を始めたことからドル買いが優勢となって、ドル円は112.30円付近まで上昇し、ユーロドルは1.1760台まで下落しました。この間ユーロ円は132.30円台まで反発したあと131.90円台まで下落しています。
NY時間午後、イエレンFRB議長の講演が始まると一旦ドルは売られる場面もありましたが「FEDはゆっくりし過ぎないよう注意が必要」「インフレが2%に達するまで政策を据え置くのは軽率」などと利上げに前向きな言葉を述べたことから米長期金利が上昇してドル買いが強りドル円は112.40円台まで上昇し、ユーロドルは1.1750台まで下落しました。しかし12月の追加利上げが示唆されなかったこともあって米長期金利が伸び悩む展開となったことからドル買いは続かず、ドル円は112.10円台まで下落し、ユーロドルは1.1810付近まで上昇しました。
今日の海外時間には米・8月耐久財受注、米・8月中古住宅販売保留指数の発表のほか、ブラード・米セントルイス連銀総裁、ブレイナード・米FRB理事の講演が予定されています。
FF金利先物による年内のFOMC追加利上げ織り込み度合いは約80%と大きく上昇しています。
昨日の東京時間に反発しなかった米長期金利がNY時間に反発し、同時に12月の追加利上げの織り込みも大きく上昇しました。その為ドル円は112円台を回復し、東京時間には112円台半ばまで上昇幅を拡大しています。この水準は9月20日以来何度も止められている水準の為、ここを上抜けるには米長期金利の一段の上昇が必要です。今晩は相場を大きく動かしそうな指標の発表はありません。
一方北朝鮮情勢ですが、トランプ米大統領は昨日「われわれは第2の選択肢の準備を完全に整えた。実行すれば破壊的だと言える」「これは軍事的選択肢と呼ばれる。そうせざるを得ないなら、実行するだろう」などと述べています。こういった言葉に北朝鮮側が反応した場合、リスク回避の動きで円買いが一時的にしても高まる可能性があります。
またNY時間午後(東京時間明日未明)にトランプ米大統領は税制改革案を発表する予定です。法人税率の引き下げ幅に関して大統領(15%まで)と共和党(20~25%まで)の間で相違があることから、トランプ米大統領が共和党側に妥協するような内容だった場合は、失望、もしくは材料出尽くしとなってドルが売られる可能性があります。
9月21日の高値112.70円付近を上回れなければ一旦は利食い売りに押され11円台半ばまで反落するのではないでしょうか。
(提供:FXプライムbyGMO)
高野やすのり
慶應義塾大学卒。チェース・マンハッタン銀行(現J.P.モルガン・チェース銀行)、スイス・ユニオン銀行(現UBS銀行)などでインターバンクディーラー業務等に従事。現、(株)FXプライム byGMOチーフストラテジスト。
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