マイホーム購入に向けた頭金の準備、夢の自宅を手に入れた後のローン返済に加え、成長する子どもの教育費が重く圧し掛かりはじめる30代、40代の働き手の世帯は、毎月の家計のやりくりに追われる傾向が強くなる。

目の前の出費への対応を迫られがちだが、先々の老後を見据えてできるだけ早く、資産の形成を始めることも欠かせない。同世代の世帯が家計をどのように回し、将来に備えてどのくらい貯金をしているかをチェックして、家計の見直しにも役立てたいところだ。

目次

  1. 金融資産の平均は1078万円、30代は395万円、40代は588万円
  2. 中央値からみる金融資産の水準では?
  3. 資産形成に活用したいNISA、iDeCo
  4. 【限定eBookプレゼント(無料)】「大富豪」と「一般人」13の分岐点

金融資産の平均は1078万円、30代は395万円、40代は588万円

貯蓄額,30代,40代
(写真=PIXTA)

金融広報中央委員会の2人以上の世帯を対象とした「家計の金融行動に関する世論調査」(2016年)によると、約7割の世帯が預金や株、投資信託、保険年金などの金融資産を保有し、その平均保有額は1078万円となった。

1000万円を超える数字を目にして、焦燥感にかられた30代、40代も多いだろう。しかし、悲観する必要はなさそうだ。金融資産の平均保有額は、世帯主の年代が上がるにつれて、上昇する傾向が60代まで続いており、実際に世帯主が60代の世帯の金融資産保有額が、全世代の中で最多の1509万円となり、全体の平均保有額を押し上げている。

年代別にみると、世帯主が30代の世帯は69%が金融資産を保有し、その平均額は395万円、40代は65%の世帯が金融資産を保有し、平均額は588万円となった。同世代のカテゴリーでも、30代前半と後半では、勤続年数も異なる。30代前半であれば、20代の平均金融資産額の184万円を参考にするのも一つの手だろう。40代後半を迎えたら、50代の平均額1128万円が一つの目安となる。

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中央値からみる金融資産の水準では?

50代、60代の世帯が保有金融資産額を押し上げているため、世帯全体の保有金融資産の平均額は参考までにとどめたとしても、同世代の金融資産を確認して、自らの資産が寂しく感じた人もいるだろう。しかし、見方を変えれば引け目を感じる必要はなさそうだ。

ここまで紹介した数値は全て平均値に基づいている。世帯全体の金融資産保有額が1078万円と紹介したが、実際のところ7割の世帯の保有金融資産はこの平均値を下回る。

平均値で実態をとらえる際、少数の高額資産保有者がいれば、平均値が大きく引き上げられてしまい、実際の平均的な世帯の像を反映しているとは言い難くなる。

例えば、10世帯のうち9世帯は保有資産が100万円、残る1世帯が1億円のケースでは、平均値は1090万円となる。9割の世帯が100万円の金融資産しか保有していないにも関わらず、1世帯が高額な資産を保有していると、大多数の世帯の実感とかけ離れた数値となってしまう。

こうした平均値の欠点を補完するために用いられるのが中央値だ。この値は、今回の調査の場合、金融資産を少ない順に並べていき、ちょうど真ん中の数値を取る。これにより、半数の世帯がこの中央値のより少ない金融資産を保有していることになり、世帯全体で見たとき、平均値より実感に近い数字を反映しているといえるだろう。

この中央値で保有金融資産をみると、全世帯では400万円。年代別では、30代は167万円、40代は200万円が中央値となっている。自らの金融資産額が平均値より下回っていた場合、この中央値を用いて、自らの立ち位置を確認するのも参考となる。興味深いのは20代の中央値。平均額は184万円だったが、中央値は0円となっており、半数ほどが資産を保有していないことになる。

資産形成に活用したいNISA、iDeCo

平均値、中央値それぞれを的確に用いて、自らの金融資産の水準を把握したところで、今後の資産形成に向けた行動を始めたいところだ。その手段として活用したい1つが少額投資非課税制度(NISA)だろう。

資産形成のために、株や投資信託などに投資をすると、利益が上がって売却したり、配当を受け取ったりする際には約20%の税金がかかる。NISAでは毎年120万円までの非課税枠が設定され、この範囲内での株式からの配当や売却で発生した譲渡益が非課税の対象となり、税負担が軽減されることで、資産形成の効率アップに寄与する。

さらに、老後の生活を心配して貯蓄に励むのであれば、個人型確定拠出年金(iDeCo)が有効だ。これは、国民年金や厚生年金とは別に、加入者が毎月、掛け金を積み立てして運用し、60歳になってから年金や一時金として受け取る制度だ。

iDeCoも税制優遇があり、毎月の掛け金は全額所得控除となるほか、運用益も非課税、さらに60歳以降に年金として受け取る際には公的年金等控除、一時金として受け取る場合は、退職所得控除が適応される。将来の受け取れる年金に不安を抱えている場合は、iDeCoを活用しながら、国民年金や厚生年金で不足する金額を自らの運用で補うことも検討する必要があるだろう。

マイホームや教育費などライフイベントが続く30代、40代は、他の世帯の金融資産の保有額を確認するとともに、資産形成のために、NISAやiDeCoなどの税制が優遇される制度などを活用して、将来に向けていかに早く準備に取り掛かれるか、重要なステージを迎えることになる。(ZUU online 編集部)

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