節税するにはどうすればいい?
「ただし」と筆者はAさんに以下の点を注意した。
生前贈与はその名のとおり贈与であるから基本的に贈与税が発生する。ある人、一年間に110万円を超えた額を無償で譲り受けた(もらった)場合、その超えた額に贈与税が課せられる。これは親子の間でも同じである。
しかし逆に言えば、年に110万円を超えない金額の贈与なら課税されない。このことを利用して計画的に相続財産を減らすことができる。例えば、相続人3人に毎年110万円ずつ5年に渡って贈与を行えば、1650万円の相続財産を減らすことができ、相続税対策になる。
Aさんが母親から聞いたのは相続時精算課税制度のことだと思われる。
相続時精算課税制度とは、その名の示すとおり贈与税と相続税とが一体となった制度である。具体的には、まず親から子へ生前贈与した際に特別控除2500万円を超える分に20%の贈与税が課せられ、実際に納税を行う。
納めた贈与税は、将来納める相続税の前払いとして扱える。実際に親が亡くなり、相続が発生した時には、相続財産と生前贈与した財産を足した金額に対して税額を計算する。算出した相続税額から既に納めている贈与税の額を引いて、残った額を納めるものである。
上の計算を行って、既に納めている贈与税の額が多かったら余分に納めた額が還付される。とてもありがたい制度だが、贈与する親が65歳以上、贈与される子どもが20歳以上などいくつか要件があるので注意が必要だ。また親子も間でもきちんと贈与契約書を残しておくようにしたい。(井上通夫、行政書士)
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