太陽光発電は売電でなく、自家消費がこれからの主流となっている。そうした中で、国は自家消費を促進する方法として、ZEH(ゼロ・エネルギー住宅)の普及をあげ、普及促進のための様々な支援策を講じている。一方、民間企業でも、普及に向けた新たなサービスが登場した。ZEHの建築者に対して、太陽光発電システムを無償サービスするという思い切った内容である。もちろん国内で初めてのサービスであり、その仕組みやねらいを探ってみた。

光熱費ゼロの住宅

ZEH,太陽光発電
(写真=PIXTA ※画像はイメージです)

ZEHは、住宅建材、構造、設備の徹底した省エネ化を図り、家電製品などの電気機器の使用効率化を進める一方、太陽光発電などの創エネシステムでエネルギーを作り出し、年間のエネルギー消費量を正味でゼロに抑える住宅をいう。いわば、光熱費がゼロとなる住宅である。国はもちろん、地方自治体でも、ZEH建築に向けた補助金などの支援策を講ずるところが目立ったいる。

国や自治体に呼応した民間企業での新たなサービスを立ち上げたのは、東京電力エナジーパートナー(以下、東京電力EP)と建材・設備の販売・製造会社のLIXILである。このサービスは、ZEH建築のための建材・設備など、LIXIL製品を購入するお客様に、太陽光発電システムを実質的に無償でサービスする内容である。

東電EPとLIXILが合弁会社

東京電力EPとLIXILはこのほど、合弁会社「LIXIL TEPCO スマートパートナーズ」を設立、10月1日から太陽光発電の無償サービスに乗り出した。このサービスは、指定のLIXIL製品を使用してZEHを建築したお客様に、太陽光発電システムを割賦販売するが、設置した太陽光発電の電力売電先を「LIXIL TEPCO スマートパートナーズ」にすると、新会社はその分すなわち買電分を月々の割賦販売額に充当して実質的にシステムの代金を無償にする仕組みである。つまり、LIXILと東京電力EPは、LIXIL製品の拡販と東電EPの顧客獲得にそれぞれメリットがあり、太陽光発電システムを無償で提供しても十分メリットがあると判断したわけである。

電力の全面自由化によって、電力会社は顧客の獲得、顧客離れの防止が大きな営業課題となっている。住宅メーカーや関連企業にとっても、省エネ住宅、省エネ建材などの販売拡充が課題となっている。そうした両者の利害が、ZEHの普及を図るという点で、うまく一致したといえよう。

ZEHの普及は、省エネや、地球温暖化対策と同時に、太陽光発電の自家消費の促進という政策課題に合致する点を見逃せない。太陽光発電は再生可能エネルギーの中核的存在として、東日本大震災後の電力需給のひっ迫を背景として、政府がその導入拡大を積極的に推進してきた。

太陽光発電の導入拡大の原動力となったのは、2012年7月に制定された再エネ電力の固定価格買取制度(FIT制度)である。この制度は、太陽光発電の発電電力を、長期固定価格で電力会社に買取ることを義務づけた制度だ。買取価格は、電気料金単価より割高の価格で、10年間の固定価格で買い取るという内容である。買取費用は、電力会社が負担するのではなく、再エネ賦課金の形で電気料金に上乗せされ、国民が負担する形となっている。

2012年の制度創設以降、FIT制度は、太陽光発電事業者にとって、きわめて魅力のある制度だったことから、発電事業者の参入が相次ぎ、太陽光発電電力の買い取りが急増した。しかし、発電電力の買い取り急増は、再エネ賦課金の増大をもたらし、結局、国民負担の急増につながった。