昨日の海外時間には、スペイン・カタルーニャ自治州の独立問題を巡る混乱が長期化しないのではとの期待でユーロが買われた一方、公表された FOMC議事録がややハト派的だったことから各国株価が上昇する中円売りが強まりました。

昨日の海外市場

FXプライム,高野やすのり,市況解説
(写真=PIXTA)

欧州時間序盤、米長期金利が低下したことからドル売りが優勢となって、ドル円は112.10円台まで下落し、ユーロドルは1.1840台まで上昇 しました。その後「スペイン政府、強硬姿勢を維持-副首相がカタルーニャ州首相を非難」と報じられたことからユーロ売りが強まって、ユーロドルは 1.1800付近まで、ユーロ円は132.40円台まで下落しました。しかしこのユーロ売りは続かず、ユーロドルは1.1830台まで、ユーロ円 は132.80円付近まで反発しました。

NY時間朝方には米長期金利が一段と低下しドル売りが強まって、ドル円は112.00円台まで下落し、ユーロドルは1.1850台まで上昇しまし た。その後米長期金利が下げ止まる中各国株価が上昇をはじめるとリスク選好の動きで円売りが優勢となり、ドル円は112.50円台まで、ユーロ円 は133.30円台まで上昇しました。

NY時間午後にFOMC議事録が発表されると「多くのメンバーが、今年の低インフレがより根強い動きであることに懸念を表明し、インフレ動向を見 極める間、緩和解除には辛抱強くあるべきだとの見方を示した」などと、ややハト派的なトーンとされたことからドル売りが優勢となって、ドル円は 112.30円台まで下落し、ユーロドルは1.1860台まで上昇しました。

FF金利先物市場の年内のFOMC追加利上げ織り込み度合いは約88%とやや低下しました。また2018年6月までの2回目の利上げも約55%織 り込まれています。

今日の予定

今日の海外時間には米・9月生産者物価指数、米・新規失業保険申請件数の発表があるほか、ドラギ・ECB総裁、ブレイナード・米FRB理事、パウ エル・FRB理事の講演が予定されています。

今後の見通し、ユーロ円の買いを継続

スペイン・カタルーニャ州の独立問題は、スペイン・ラホイ首相がカタルーニャ自治州政府プチデモン首相に対して、5日以内に独立宣言をしたかどう かを明確にするよう求めました。さらにその結果によっては自治権をはく奪する可能性を示唆していることから、比較的早期に混乱が収まるのでは、と の期待が高まっていてユーロは反発が続いていています。

一方、公表されたFOMC議事録では「多くの参加者は、今年に入って見られる低いインフレ指標について一過性の要因だけではなく、より根強いもの となり得る動きを反映している可能性があるとの懸念を表明した」とされ、現在は90%近く織り込まれている12月の追加利上げは、今後発表される 物価指標によってはまだわずかだが回避される可能性があることが示唆されました。その結果リスク選好の動きが続いて、NY株式市場ではNYダウ、ナスダックともに史上最高値を更新していて、ドル、円ともに弱い状態が続いています。

したがって、昨日から引き続きユーロ円の買いポジションが有効と予想できますので、引き続きユーロ円の押し目買いをしたいと考えます。133円割 れでのユーロ買いに対して、132.30円程度の損切りラインを設定します。

(提供:FXプライムbyGMO)

高野やすのり
慶應義塾大学卒。チェース・マンハッタン銀行(現J.P.モルガン・チェース銀行)、スイス・ユニオン銀行(現UBS銀行)などでインターバンクディーラー業務等に従事。現、(株)FXプライムbyGMOチーフストラテジスト。

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