昨日の海外時間には、ドル円は112円台前半の狭いレンジ取引に終始しました。またユーロはやや弱含みましたが、やはり大きな値動きとはなっていません。一方ポンドはEUのBrexit担当主席交渉官の発言を受けて上下しました。

昨日の海外市場

FXプライム,高野やすのり,市況解説
(写真=PIXTA)

欧州時間序盤、EUのBrexit担当主席交渉官のバルニエ氏が「現在交渉は行き詰っている」と述べたと報じられたことからポンドが下落しました。一方東京時間に低下した米長期金利が反発したことからドルが全般的に買われ、ドル円は112.40円台まで上昇し、ユーロドルは1.1850付近まで下落しました。しかし米長期金利が反落するとドル円は112.20円台まで下落し、ユーロドルは1.1860台まで上昇しました。

NY時間にはいって、発表された米・9月生産者物価指数(コア)が予想よりも強い結果だったことから米長期金利が上昇しドル買いが強まって、ドル円は112.40円台まで上昇し、ユーロドルは1.1840付近まで下落しました。しかしドル円の買いは続かず、ドル円は112.30円台を中心としたもみ合いになりました。一方ユーロは弱含んで、ユーロドルは1.1820台まで、ユーロ円も132.90円台まで下落しました。

NY時間午後にかけてユーロドルはもみ合いとなりましたが、再び米長期金利が低下するとドル円は112.10円台まで、ユーロ円は132.80円付近まで下落しました。一方ポンドは、バルニエ氏が「英国に2年のEU市場アクセス維持と移行期間を設ける事を提案する」と述べたと報じられたことから買い戻されました。

FF金利先物市場の年内のFOMC追加利上げ織り込み度合いは約88%で変わらず。また2018年6月までの2回目の利上げも約56%織り込まれています。

今日の予定

今日の海外時間には米・9月小売売上高、米・9月消費者物価指数、米・10月ミシガン大学消費者信頼感指数の発表があるほか、エバンズ・米シカゴ連銀総裁、カプラン・米ダラス連銀総裁の講演が予定されています。

今後の見通し

一昨日公表された米FOMC議事録では、「多くのメンバーが、今年の低インフレがより根強い動きであることに懸念を表明し、インフレ動向を見極める間、緩和解除には辛抱強くあるべきだとの見方を示した」などとされ、さらに今後の物価指標によっては12月の利上げを支持しない可能性のある委員が4~5人いることが示されました。PCEコアデフレータと並んで消費者物価指数が最も重要な物価指標と考えられますので、今晩発表される米・9月消費者物価指数は注目されています。ただ、今回の統計はハリケーンの影響もあって+2.3%とやや高めの結果になることが予想されていることから、上振れてもあまりドル相場に影響を与えない可能性がある一方、下振れた場合のほうがドル相場に与える影響が大きいかもしれません。

ドル円レンジを下放れるか?

ユーロ円は昨日調整安となりましたが、現状の132.60~80円付近はテクニカル的には押し目買いの機会と言えます。引き続き132.30円程度に損切りラインを設定しつつユーロ買いポジションの構築をしたいと考えます。一方ドル円に関してはレンジを下放れる可能性が強くなっていることから112.40円付近までの戻りがあればドル売りポジションをとりたいと考えます。

(提供:FXプライムbyGMO)

高野やすのり
慶應義塾大学卒。チェース・マンハッタン銀行(現J.P.モルガン・チェース銀行)、スイス・ユニオン銀行(現UBS銀行)などでインターバンクディーラー業務等に従事。現、(株)FXプライムbyGMOチーフストラテジスト。

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