昨日の海外時間には、米経済指標の強い結果を受けて米長期金利が上昇しドル買いが強まる場面もありましたが、米長期金利の上昇は続かず、ドルも売り戻されました。

昨日の海外市場

FXプライム,高野やすのり,市況解説
(写真=PIXTA)

欧州時間、ドル円、ユーロドルは狭いレンジ内の取引となった一方、カーニーBOE(英中銀)総裁が「景気刺激措置の一部を解除することが必要あるいは正当となる転換点に近づいていると思う」と述べたものの、新たに就任したラスムンデンBOE副総裁が「数ヶ月以内の利上げが必要との見解共有せず」と述べたことからポンドが売られました。

NY時間にはいって発表された米・9月輸入物価指数が予想よりも強い結果だったことから米長期金利が上昇し、ドル買いが優勢となって、ドル円は112.40円台まで上昇し、ユーロドルは1.1730台まで下落しました。この間ユーロ円は132.10円台まで買われました。

しかしドル買いは続かず、NY時間午後にかけてはNAFTAの再交渉に関して、アメリカの提案をカナダとメキシコは強硬だとして拒否したと報じられたこともあって米長期金利が反落し、ドル売りが優勢となって、ドル円は112.10円台まで下落し、ユーロドルは1.1770台まで上昇しました。この間ユーロ円は131.80円台まで下落したあとレンジ取引が続きました。

東京時間午前は、小動きが続いています。

FF金利先物市場の年内のFOMC追加利上げ織り込み度合いは約98%まで上昇し、2018年6月までの2回目の利上げも約66%とやや上昇しています。

今日の予定

今日の海外時間には英・9月雇用統計、米・9月住宅着工件数/建設許可件数の発表のほか、プラート・ECB専務理事、ダドリー・米NY連銀総裁、カプラン・米ダラス連銀総裁、クーレ・ECB理事の講演、米・ベージュブック(地区連銀経済報告)の公表が予定されています。

今後の見通し

今日東京時間早朝に米財務省が「半期為替報告書」を発表しました。前回6ヵ国だった監視対象国から台湾が除外され、中国、日本、韓国、ドイツ、スイスの5か国となりました。また前回は「円の実質実効レートは歴史的な平均値に比べ20%割安」との文章が無くなっていました。また中国に関しても批判的な論調がやや後退していて、全般的に大きなリスクとはならなかったと言えます。

中国共産党大会が今日から開幕していますが、政治色の強いものになると見られ、経済政策で大きな材料となるような進展はないと見られます。また引き続き米韓合同軍事訓練が行われていますので、地政学的リスクが高まる懸念があります。

欧州では、スペイン政府が、カタルーニャ独立運動を主導してきた団体の指導者2人を逮捕する一方、カタルーニャ自治政府に対して明日までに独立宣言を撤回するように迫っています。緊張が高まればユーロ売りに反応する可能性があります。

ユーロ円の売りポジション

ここ数日と同様、大きく水準を変えるような相場にはならないと予想していますが、引き続きリスクとしては円高、そしてユーロ安、と考えていますので、昨日に引き続き132.80円付近に損切りラインを設定した上、132.30~50円でユーロ売りポジション構築を目指します。

(提供:FXプライムbyGMO)

高野やすのり
慶應義塾大学卒。チェース・マンハッタン銀行(現J.P.モルガン・チェース銀行)、スイス・ユニオン銀行(現UBS銀行)などでインターバンクディーラー業務等に従事。現、(株)FXプライムbyGMOチーフストラテジスト。

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