昨日の海外時間には、スペイン・カタルーニャ州の独立を巡る報道を受けて各国株式が急落したことから円買いが強まりました。
昨日の海外市場
欧州時間序盤、スペイン・カタルーニャ州独立問題への懸念からNYダウ先物と米長期金利が下落を始め、次第に各国株式全般に下落の波が拡がりまし た。日経平均先物が下落を始めたこともあって円買いが強まって、ドル円は113円台を割り込みました。スペイン政府がカタルーニャ自治州政府に対 して、独立に関する権利の主張を撤回するようにと設けた期限の東京時間17時になっても、カタルーニャ州政府からの発表はありませんでした。その 後しばらくして「スペイン政府、カタルーニャ自治停止プロセスを開始へ」と報じられると、各国株式が一段安となる中円買いもさらに強まって、ドル 円は112.50円台まで、ユーロ円は132.40円台まで下落しました。この間ユーロドルも1.1810台から1.1760台まで下落しています。
その後NY時間午前にかけて米長期金利が再び低下すると、今度はドル売りの流れとなって、ドル円は112.30円付近まで下落幅を拡大した一方、ユーロドルは1.1840まで上昇し、ユーロ円も133.20円付近まで反発しました。
NY時間午後にかけて米長期金利ががやや反発すると、円の売り戻しが優勢となって、ドル円は112.60円台まで上昇しました。一方ユーロドルは 欧州株が反発したことから1.1850台まで上昇幅を拡大したあと、ドルの買戻しで1.1820台まで反落しました。
NY時間引け近くに、次期FRB議長としてパウエル氏が有力と報じられると、米長期金利が低下しドル売りが強まって、ドル円は112.40円付近まで下落し、ユーロドルは1.1850台まで上昇しました。
東京時間にはいって、米上院が予算案を可決したことから、税制改正に向かって前進する、との思惑で米長期金利が上昇してドル買いが強まっています。
FF金利先物市場の年内のFOMC追加利上げ織り込み度合いは約91%、2018年6月までの2回目の利上げは約59%とやや低下しています。
今日の予定
今日の海外時間にはユーロ圏・8月経常収支、米・9月中古住宅販売件数の発表のほか、メスター・クリーブランド連銀総裁の講演が予定されていま す。
今後の見通し
スペイン政府は、カタルーニャ州の自治を停止する手続きを進める為に21日に臨時閣議を招集しました。一方カタルーニャ州独立派議員は「1週間か 2週間内に独立を宣言することになる可能性がある」と述べていて、完全に対立しています。しかしカタルーニャ州にはスペイン政府の意向に反して一 方的に独立する物理的な手段がないことと、EUを含む周辺国が静観する姿勢を貫いていることから、あくまでもスペイン国内の政治的な問題に留まる と考えられ、金融市場にこれ以上大きな影響を与えない、という見方となっています。
リスク要因が後退したことと、アメリカが税制改正に向かって動き出したことは、株価にとってポジティブな要因と考えられ、今後も各国株式市場と米長期金利が堅調に推移して、円安傾向が続くと予想します。
ドル円買いを継続
したがって昨日構築した112.60円付近でのドル円の買いポジションを維持します。新規であれば112.80円付近の押し目でドル買いポジションを構築したいと考えます。
(提供:FXプライムbyGMO)
高野やすのり
慶應義塾大学卒。チェース・マンハッタン銀行(現J.P.モルガン・チェース銀行)、スイス・ユニオン銀行(現UBS銀行)などでインターバンクディーラー業務等に従事。現、(株)FXプライムbyGMOチーフストラテジスト。
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