「AIがあなたの仕事を奪う……」こんな記事をインターネットや雑誌などで目にしたことのある人も多いのではないでしょうか。
2013年、英オックスフォード大学で人工知能などの研究を行うマイケル・A・オズボーン准教授とカール・ベネディクト・フライ研究員が発表した論文『雇用の未来(原題:THE FUTURE OF EMPLOYMENT: HOW SUSCEPTIBLE ARE JOBS TO COMPUTERISATION?)』によると、業務の70%以上をコンピューター化される「ハイリスク」な職種が、アメリカの雇用全体の約47%を占めていると論じて世界に衝撃を与えました。
それ以前から、AIが人間の仕事を代替するようになるという可能性自体は提示されていましたが、具体的な数字として示した論文が発表されたことで、多くの人が現実味のある話として受け止めるようになってきました。
そんな今、AIが当然のように稼働する未来において人間はどのような能力を発揮して働くべきかという視点に着目したSTEAM教育が注目を集めています。
STEM教育とはどのようなものか
「STEAM」とは、Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学)、Art(芸術)、Mathematics(数学)の頭文字をとって名づけられました。STEAM教育はもともとAのない「STEM教育」と呼ばれ、アメリカ国立科学財団(NSF)が1990年代に発表していました。
アメリカでは2013年からSTEM教育が幼稚園から高校卒業までの12年間に渡って指導のカリキュラムに取り入れられ、理系教育の推進が行われています。実際に、アメリカの現在の年収上位には理系の職種が連なっていることからも、理系教育への力の入れ具合が分かります。日本でも理系教育促進のために「スーパーサイエンスハイスクール」という制度を採用しています。さらに理数系教育に力を入れるべく、2020年から始まる新学習指導要領では、小学生からプログラミング教育の必修化を盛り込んでいます。
STEM教育にAが加わってSTEAM教育と言われるようになったのは、2008年のことです。RISDの学長に就任したジョン・マエダ氏が既成概念にとらわれずに全体の構造を捉えて独自のフレームを作り出す発想力には芸術の考え方が使われており、芸術がビジネスや経済にも良い効果がある、芸術は見た目の美しさだけではないという考え方を説明したことから始まりました。こちらはまだ国家戦略とはなっていませんが、会社や学校がさまざまな方法を使って実践しています。
実際にアップル製品がそのスタイリッシュな見た目で熱狂的なファンを引きつけたことに象徴されるように、IT技術にもアーティスティックな感性が必要だと言われるようになったのです。
大人がSTEAM教育を取り入れる時に考えたいこと
STEAM教育は子どもだけではなく、大人にも取り入れられる要素だと言われています。AIが人間の仕事を取って代わるかもしれないと言われる中、STEAM教育という言葉を手がかりにして、自分に必要な能力とその身につけ方を本気で考える時代が訪れているのかもしれません。
自分の能力と身につけ方を考える時にはITやAIといった最先端の産業動向だけでなく、その根っこにある仕組みを理解する理数系の知識も必要かもしれません。そしてAIに代替できないクリエイティビティとはどのようなものなのかを知る事も必要です。AIが代替できること、代替できないことを考えて自分に足りないものを補い、伸ばすのが良いのではないでしょうか。今のところ、デザイン的なセンスやクリエイティビティのような人の心に訴えかけるようなものは、人がするのが良いという意見もあります。最初は、PowerPointやIllustratorなどのソフトをうまく使えるようになるというところからスタートしても良いかもしれません。自分がもう一歩前に進むためのクリエイティビティを考えてみましょう。
自己投資でセンスやクリエイティビティを磨く
AI関連テクノロジーの急速な進歩によって、クリエイティビティやアーティスティックな、すなわち数値に還元できない能力を養うための「STEAM教育」という概念が注目を集めるようになっています。
今ある仕事も10年後、20年後にはカタチを変えているかもしれません。そのために、STEAM教育へのアンテナとセンスやクリエイティビティを養うための自己投資を検討してみてはいかがでしょうか。(提供: J.Score Style )
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