アパート経営で相続税対策ができるという宣伝文句をよく見かける。その結果か、アパートがたくさんでき、空室率も上がっているようだ。アパート経営でつまずく人も増えているだろうし、相続税対策になっているかも疑問である。本当に有効な相続対策は他にないだろうか。

アパート乱立の背景にある相続税対策の理屈

相続対策,賃貸経営
(写真=PR Image Factory/Shutterstock.com)

なぜ相続税対策が注目を集めたのだろうか、そしてアパート経営がどのような理屈で相続税対策になるのであろうか? 相続税は財産を相続した際に課税されるが、相続財産から相続したローン等を差し引いた金額(課税価格)が、相続税法で決められた基礎控除額以下であれば課税されない。

基礎控除額は2014年まで5000万円+1000万円×法定相続人の数であったが、2015年以降はその6割にあたる3000万円+600万円×法定相続人の数に下がった。法定相続人が亡くなった人の妻・子1人であれば、法定相続人は2人のため7000万円から4200万円まで下がったことになる。

このため相続税の節税策が注目されることとなったが、相続財産で大きなウエートを占めるのが不動産である。不動産は自分で居住するものと他者に貸しつけるものでは財産評価額が変わる。

居住用住宅等、貸しつけない形の不動産評価額をAとすれば、貸付不動産の評価額はA×賃貸割合×借家権割合(×借地権割合)だけ減少する(借地権割合をかけるのは土地のみ)。借家権割合は原則30%、借地権割合は地域によって異なり30%〜90%(都市部では70%前後が多い)である。

貸しつけない形での土地評価額が1億円・建物評価額が8000万円、借地権割合が70%、賃貸割合が90%の場合を考える。貸付用土地の評価額は1890万円減少し8110万円となり、貸付用建物の評価額は2160万円減少し5840万円となる。

ただ貸付不動産はお金を生むもの。賃貸「経営」なので、お金が増えるか減るかは経営能力次第だ。増えれば相続財産の増額要因となる。

また賃貸割合に応じて不動産評価額の減額幅も変わるので、経営がうまく行かず空室が増えるほど、不動産評価額の減額幅は減ることになる。結局アパート経営がうまく行っても行かなくても、想定していたような相続税対策になりうるのかは疑問である。

相続対策の第一歩は資産とローンをまとめること