10月18日から24日の日程で共産党大会が開かれた。初日には習近平国家主席によるこれから今世紀中頃(2049年が建国100年)までの国家発展戦略について大きな設計図が示された。

全文は3万字を超す大論文であり、発表には3時間半ほどかかったようだ。共産党大会は5年に1度開かれる全国代表大会であり、中央委員の人事が決定されるため、政治的な面に注目が集まりやすいが、共産党の長期発展戦略が発表される重要な大会でもある。

その内容は思想から内政、外交まで幅広い領域に渡る。以下はその概略である。なお、経済に関する部分に絞り、わかり易いように、ポイントだけ書き出した。また、一部、必要な情報を補足してある。

今世紀中頃までに社会主義現代化国家を打ち立てることが大目標

中国社会主義,共産党大会
(写真=PIXTA)

中国の特色ある社会主義は新しい時代に突入した。具体的には以下の通り。

(1)新しい歴史条件の下で引き続き中国の特色ある社会主義が偉大な勝利を収める時代

(2)全面的な小康社会(ただ単に衣食住が足りるだけではなく、政治、経済、文化など各方面において、満足できるような社会)の形成を勝ち取り、全面的に社会主義現代化強国(富強、民主、美麗、文明、和諧の分野で現代化した強国)を形成する時代

(3)全国各民族が団結奮闘し、快適で心地よい生活を作り上げ、人民全体が共に裕福になる時代

(4)すべての中国人が力を合わせ、中華民族の偉大な復興、中国の夢を奮闘して実現する時代

(5)我が国が世界の舞台の中央近くに日々歩み出て、人類に対してこれまで以上に絶えず大きな貢献をする時代

習近平国家主席が総書記に任命された2012年11月の前回共産党大会では、「中華民族の偉大な復興は近代以来、中華民族の偉大な夢である。中国共産党成立(1921年)後100年で全面的な小康社会を打ち建てる。中華人民共和国成立(1949年)後100年で社会主義現代化国家を打ち建てる」と発言している。

「習近平の新時代における中国の特色ある社会主義思想」とは、この時の発言が中核となっている。

全面的な小康社会の形成といった目標は、第13次五カ年計画の最終年となる2020年までに達成しなければならない。その後は、今世紀中頃(2049年)までに社会主義現代化国家を打ち建てるといった次の目標に向かって邁進しなければならない。2020年から今世紀中頃までを2段階に分け、第1段階は2020年から2035年までの間で、全面的な小康社会が達成されたといった基礎の上に、社会主義現代化を基本的に実現させる。第2段階は2035年から今世紀中ごろにかけての期間で、基本的な現代化の実現を基礎として、富強民主文明、和諧美麗といった社会主義現代化強国を形成する。

新時代における中国社会における矛盾は、快適で心地よい生活に対するニーズと発展の不均衡、不十分との間に生じているということを明確に理解し、人民を以て中心とする発展思想を堅持し、全面的な発展を不断に促進し、全人民が共に裕福になることを推し進める。中国の特色ある社会主義事業の全体的なレイアウトは“五位一体(経済、政治、文化、社会、生態文明の一体的な建設)”であり、戦略的なレイアウトは“四つの全面(全面的な小康社会の建設、改革の深化、法による統治、共産党による厳格な統治)”であり、進む道、理論、制度、文化にしっかりと自信を持つ。

経済発展では質が第一、効率を優先する