昨日の海外時間には、ECB(欧州中銀)が量的緩和(資産買入れ)の延長を決定しました。ドラギECB総裁の会見を含めややハト派的と受け止められたことからユーロ売りが強まった一方、米長期金利が上昇してドルが買われました。

昨日の海外市場

FXプライム,高野やすのり,市況解説
(写真=PIXTA)

欧州時間序盤、米長期金利やや上昇したことからドル買いが優勢となって、ドル円は113.80円付近まで上昇しましたが、ほどなく113.50円台まで反落しました。この間ユーロドルはECB理事会の結果待ちの中1.1800付近までじり安となりました。

ECB理事会は予想通り政策金利を据え置きました。一方資産買入れに関しては、月額を現在の600億ユーロから300億ユーロに減額した上来年9月まで延長するとされました。金額、期間とも予想の範囲内でしたが、その後のドラギ総裁の会見で「これはテーパリング(段階的縮小)ではない。プログラムの終了時期はオープン」などと述べたこともあってハト派的と受け止められ、欧州各国の金利が低下するとともにユーロ売りが優勢となって、ユーロドルは1.1730台まで、ユーロ円は133.60円台まで下落しました。

NY時間午前、米長期金利が上昇を開始するとドル買いが強まる中ユーロ売りが続き、ドル円は114.00円台まで上昇し、ユーロドルは 1.1690台まで、ユーロ円は133.20円台まで下落しました。米長期金利が一旦上げ止るとドル円が113.70円台までした押しする場面もありましたが、NY時間午後にはいって再び米長期金利が上昇を始めると再びドル買いが強まって、ドル円は114.00円台まで上昇し、ユーロドルは1.1640付近まで下落幅を拡大しました。

東京時間にはいって日経平均が上昇していることなどからドル円は海外時間の高値を更新しています。

FF金利先物市場の年内のFOMC追加利上げ織り込み度合いは100%に上昇、2018年6月の2回目の利上げも約67%とやはり上昇しています。

今日の予定

今日の海外時間には米・第3四半期GDP/個人消費/GDP価格指数/コアPCE(速報値)、米・10月ミシガン大学消費者信頼感指数の発表が予定されています。

今後の見通し

ECBは、ほぼ予想通りの金額、期間で量的緩和の延長を決定しました。ドラギECB総裁が「終了時期はオープン」などと述べたことと、発表後に独 国債利回りが急落したことなどからユーロ売りが強まりました。一方米長期金利は、次期FRB議長選定に関してイエレン議長が候補から外れた、との報道もあって上昇したことからユーロドルは大きく下落し、7月以来の1.16台前半での推移となっています。そんな中円は、対欧州、オセアニア通 貨などで買われたことから、ドル円の上昇は限定的なものとなっています。しかし、現在ドルが最も強い通貨となっていることからドル円も堅調な推移が続くと予想されます。

ドル円買いポジションを継続

昨日113.50円で作ったドル円の買いポジションは、さきほど114.20円の利食いが成立したことから、現在は先週木曜日に作った112.60円のドル買いポジションだけです。引き続き113円割れに損切りラインを設定しながら、来週にかけて115円台前半での利食いを目指します。さらに、ユーロ円が132.00円を割り込んできた場合は、ユーロ買いのポジションを検討します。

(提供:FXプライムbyGMO)

高野やすのり
慶應義塾大学卒。チェース・マンハッタン銀行(現J.P.モルガン・チェース銀行)、スイス・ユニオン銀行(現UBS銀行)などでインターバンクディーラー業務等に従事。現、(株)FXプライムbyGMOチーフストラテジスト。

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