2014年4月30日に国土交通省が発表した「建築着工統計調査報告」によると、2013年の新設住宅着工戸数は、前年度比では10.6%増となり、4年連続の増加となっています。①持ち家は前年度比11.5%増、②に貸家は前年度比15.3%増、③分譲住宅は3.8%増(ただし、マンションに至っては0.2%減)になりました。
着工数の増加により、建設業とその関係産業が利益を生み、潤うことによって、雇用の確保にもつながりますし、GDPを押し上げる効果があります。全体的に増加ということから好調さを感じますが、手放しでは喜ぶにはまだ早いかもしれません。といいますのは、消費税増税前の駆け込み需要が、かなり影響を及ぼしたのではないかと考えられるからです。今後、消費税が10%にまでアップする時代が来ることと、少子化により、需要の減少も考えられ、厳しい局面を迎えそうです。
貸家の増加率の方が多いことも気になります。総務省の「住宅土地統計調査」によると、賃貸住宅の空き家は約2割にのぼっているという事実がわかりました。明らかに貸家は供給過多におちいっています。
建設経済研究所は、2015年度の民間住宅投資は14年度の予測に比べ1.8%増の15兆5800億円になるという見通しを発表。これは次回の消費税増税の駆け込みやその反動によるものとし、住宅着工戸数は14年度予測のほぼ横ばいの91万戸になるとしています。ただし、懸念材料として残るのは、建設業の深刻な人手不足による建設費の高騰について。今後も建設費の動きには注目ですね。
こうしたなか、三菱東京UFJ銀行と三井住友銀行、みずほ銀行は、2014年8月1日から適用する10年固定型住宅ローンの金利を過去最低の年1.3%の水準にまで引き下げました。これは消費税引き上げの影響で住宅着工やマンション販売が減少するなか、顧客をつなぎとめようといった狙いによるものと見られています。また住友林業では、女性の視点や発想を商品開発に活かす「女性目線開発プロジェクト」のメンバーによる分譲住宅の販売を開始し、新たなニーズの掘り起こしに動きだしています。こうした動きが新たな住宅着工への弾みとなるのかどうか、今後も期待したいものですね。
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