昨日の開催された米FOMCでは予想通り金融政策の据え置きが決定され、声明にも大きな変更はありませんでした。NY時間に発表された米経済指標結果を受けて上下したドル円ですが、東京時間朝方からパウエルFRB理事が次期議長に指名されるとの報道が相次いでやや軟調に推移しています。

昨日の海外市場

FXプライム,高野やすのり,市況解説
(写真=PIXTA)

欧州時間、米長期金利は横ばいだったものの、各国株価が堅調に推移する中リスク選好の動きで円売りが優勢となってドル円は114.00円台まで、ユーロ円は132.70円台まで上昇しました。この間ユーロドルは1.1640付近のもみ合いが続きました。

NY時間にはいって発表された米・10月ADP民間雇用者数が予想よりも良い結果だったことから一旦ドル買いに反応して、ドル円は114.20円台まで上昇し、ユーロドルは1.1600台まで下落しました。しかし続いて発表された米・10月ISM製造業景況指数が予想を下回ると、米長期金利が低下し各国株価も反落したためドル売りが強まって、ドル円は113.80円台まで下落し、ユーロドルは1.1640台まで上昇しました。

NY時間午後にはいって、FOMCは予想通り金融政策の据え置きを発表しました。ドル円は113.70円台に下落したあとすぐに114.20円台まで上昇し、その後は114.10円台を中心としたもみ合いとなりました。一方ユーロドルは1.1640付近まで上昇後1.1610付近まで反落し、1.1620付近のもみ合いとなりました。

東京時間朝方、WSJ紙が「トランプ米大統領FRB議長にパウエル理事を指名」と報じたことからドル売りが優勢となって、ドル円は113.70円台まで下落し、ユーロドルは1.1670台まで上昇しています。

FF金利先物市場の年内のFOMC追加利上げ織り込み度合いは98%で変わらす、2018年6月の2回目の利上げも約64%で変わらずです。

今日の予定

今日の海外時間にはBOE(英中銀)MPC(金融政策委員会)が開催され、金融政策の発表と議事録および四半期インフレ報告の公表、カーニーBOE総裁の会見が行われます。そのほか独・10月雇用統計、ユーロ圏・10月製造業PMI(確報値)、英・10月建設業PMI、米・新規失業保険申請件数の発表と、パウエル・米FRB理事の講演が予定されています。

今後の見通し

昨日開催されたFOMCでは、予想通り金融政策が据え置かれました。唯一の注目点であった声明では「ハリケーンに関連した被害にもかかわらず、経済活動が堅調な速度で拡大している」と現状認識が上方修正されましたが、インフレについては引き続き「将来のインフレを示す市場ベースの指標は低いまま」「インフレ率は短期的には引き続き2%をやや下回る」とされました。政策金利に関しては「FF金利の緩やかな引き上げ」が正当化されるとしています。総じて前回9月から大きな変更はなく12月には次回追加利上げがあるものと考えられています。

また今朝方から、各種報道で次期FRB議長にパウエル理事が指名されるとされていますが、パウエル理事はイエレン議長に非常に近い考え方と持つと考えられていますので、その意味でも今後のFOMCの利上げを含む政策に想定外の動きはないと考えます。

パウエル新FRB議長誕生で株価堅調維持

ハト派のパウエル理事のFRB議長就任がほぼ既成事実とされ、一旦はドルが売られていますが、株式市場にとっては、最終候補のうちでイエレン議長を除けば最も歓迎すべき決定ですので米長期金利が急激に上昇することはないと見られますが、株価は堅調さを保つと予想され、ドル円は底堅い推移が予想できます。引き続き113.30~40円付近でドル買いのポジションを作りたいと考えます。その場合の損切りラインは112.90円割れとします。

(提供:FXプライムbyGMO)

高野やすのり
慶應義塾大学卒。チェース・マンハッタン銀行(現J.P.モルガン・チェース銀行)、スイス・ユニオン銀行(現UBS銀行)などでインターバンクディーラー業務等に従事。現、(株)FXプライムbyGMOチーフストラテジスト。

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