昨日の海外時間には、BOE(英中銀)が大方の予想通り政策金利を引き上げましたが、今後の利上げが予想以上にゆっくりしたものになるとの見方でポンドは下落しました。NY時間には米下院共和党が税制改革法案の一部を公表しましたが、当初の反応はドル売りでした。ただNYダウが上昇したことからドルは買い戻されています。

昨日の海外市場

FXプライム,高野やすのり,市況解説
(写真=PIXTA)

欧州時間、序盤から米長期金利が上昇したことからドル買いが強まってドル円は114.10円台まで上昇し、ユーロドルは1.1620台まで下落しました。その後ユーロは買戻しが優勢となって、ユーロドルは1.1660台まで、ユーロ円は133.00円台まで上昇しました。

BOE(英中銀)は予想通り政策金利の0.25%引き上げを発表しました。しかし発表された四半期インフレ報告でGDP見通し、インフレ率見通しが下方修正されたことと、利上げが広く織り込まれていたことからポンド買いはすぐに収まって、ポンドは急落しました。

NY時間序盤、ポンド売りにつられてユーロもやや弱含み、ユーロドルは1.1630台まで、ユーロ円は132.70円台まで下落しました。一方ドル円は114.20円台までやや上昇幅を拡大しました。

東京時間23時ごろ、米下院共和党が、税制改革法案の一部を公表しました。懸念されていた法人税減税は即時に20%まで引き下げるとされましたが、所得税の最高税率が据え置かれたり、住宅ローン利子控除の適用上限が100万ドルから50万ドルに引き下げられたり、やや物足りない内容だったことから米長期金利が低下する中ドル売りが強まって、ドル円は113.50円台まで急落、ユーロドルは1.1680台まで上昇しました。しかし一旦売られたNYダウが上昇を始めるとドルも買い戻しが優勢となって、ドル円は114.10円台まで反発し、ユーロドルは1.1650台まで下落しました。この間ユーロ円は132.60円台から133.10円台まで上昇しています。

NY時間午後にはいると、翌日に米雇用統計を控えていることもあってか各通貨ペアとももみ合いとなりました。

東京時間にはいっても、日本の休日ということもあって小幅な値動きが続いていますが、ドル円は一時112.80円台まで下落したあとやや戻しています。

FF金利先物市場の年内のFOMC追加利上げ織り込み度合いは98%で変わらす、2018年6月の2回目の利上げは約60%にやや低下しています。

今日の予定

今日の海外時間には米雇用統計の発表があるほか、英・10月サービス業PMI、米・9月貿易収支、米・10月ISM非製造業景況指数、米・9月耐久財受注、米・9月製造業受注とカシュカリ・米ミネアポリス連銀総裁、クーレ・ECB理事の講演が予定されています。

今後の見通し

利上げ決定後のカーニーBOE総裁の会見では今後の利上げは「非常に緩やか」とされ、「今後3年間で2回程度の追加利上げが必要になる」とも述べたことからポンドは10月以降の取引レンジの下限まで下落しています。金利上昇期待もあって6月以降上昇したポンドですが、今後は再びEUとの離脱交渉に市場の関心が戻ると考えられます。

NY時間には、パウエルFRB理事のFRB議長への指名が正式に発表されました。今後もこれまでイエレン議長のFRB同様にハト派的な政策運営が期待できることから株式市場では好感されています。ドル円相場は米長期金利とNYダウ、日経平均先物に大きく影響されますが、パウエル理事の議長就任でこれまでの想定以上の米長期金利の上昇への期待は遠のきましたが、株価への好影響を考えると緩やかな円安基調が維持されると予想しています。

ドル押し目買い戦略を継続

今晩の米雇用統計をうけてボラティリティが拡大する可能性もあることから、引き続き113.30~40円付近でドル買いのポジションをめざし、損切りラインは112.90円割れとします。

(提供:FXプライムbyGMO)

高野やすのり
慶應義塾大学卒。チェース・マンハッタン銀行(現J.P.モルガン・チェース銀行)、スイス・ユニオン銀行(現UBS銀行)などでインターバンクディーラー業務等に従事。現、(株)FXプライムbyGMOチーフストラテジスト。

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