金曜日の海外時間には、発表された米・10月雇用統計で非農業部門雇用者数と平均時給の伸びが予想を下回ったことからドル売りが強まりました。しかし失業率が低下したことや、前月分の非農業部門雇用者数が上方修正されていたことからドルはすぐに買い戻されました。
金曜日の海外市場
欧州時間、米長期金利が堅調に推移していたことからややドル買いが優勢となって、ドル円は114.10円台まで上昇し、ユーロドルは1.1630台まで下落しました。
NY時間にはいって、発表された米・10月雇用統計で非農業部門雇用者数が予想の31.3万人増に対して26.1万人増と弱い結果だったこと、平均時給が予想よりも弱かったことからドル売りが強まって、ドル円は113.50円台まで下落し、ユーロドルは1.1690付近まで上昇しました。しかし、非農業部門雇用者数の前月分が5.1万人上方改定されていたことや、失業率が4.1%へ低下したこと(ただし労働参加率は62.7%へ低下)から、総合的に見てそれほど悪い結果ではなかったとされ、米長期金利が反発する中ドルも買戻しが優勢となって、ドル円は114.40円台まで上昇し、ユーロドルは1.1600台まで下落しました。この間ユーロ円は132.50円台まで下落したあと132.80円付近まで反発しています。
NY時間午後にはいると、米長期金利が低下したことから円買いが強まって、ドル円は114.00円付近まで、ユーロ円も132.40円付近ま で下落しました。
週明けの東京時間午前、黒田日銀総裁が「緩和的金融環境の下景気は穏やかな拡大続く」「物価を押し上げる力は徐々に強まってきている」などと述べたと報じられたことをきっかけにして円売りが強まる中、ドル円は海外時間の高値、10月の高値、7月の高値を上抜いて、114.70円台まで上昇しました。
FF金利先物市場の年内のFOMC追加利上げ織り込み度合いは100%に上昇、2018年6月の2回目の利上げも約65%に上昇しています。
今日の予定
今日の海外時間にはユーロ圏・10月サービス業PMI(確報値)、ユーロ圏・9月生産者物価指数、の発表とコスタ・ポルトガル中銀総裁、ダドリー・米NY連銀総裁の講演が予定されています。
今後の見通し
米雇用統計は、10月分の非農業部門雇用者数こそ弱い結果でしたが、9月分が-3.3万人から+1.8万人へと5.1万人上方修正されたことで10月分と合わせほぼ予想通りの結果でした。平均時給の伸びは予想以上に鈍化しましたが、失業率は4.1%と2000年以来の低水準に達しました。もっともこの失業率の低下は労働参加率が低下したことによる部分も大きく必ずしも良い結果とはいいきれません。ただ、雇用の状況のうち量的な面は、すでに利上げを躊躇させるような水準ではないことから、問題があるとすれば平均時給の伸びが鈍化したことです。今回だけであれば12月や来年の利上げ見通しに影響はないと考えますが、もしトレンドとして時給の伸びが鈍化していけば、利上げのペースに影響を与えると考えられます。
週末からトランプ米大統領が来日しています。明日韓国、明後日中国えお訪問する予定ですが、この間に北朝鮮がなんらかの挑発行為を行う可能性が懸念されています。もしミサイル発射などの具体的な行動があればリスク回避の動きを通じて円買いが強まると考えられますが、影響は一時的な 物と予想できます。
ドル押し目買い戦略を継続
今書きましたように地政学的な懸念はありますが、今日7月の高値を上抜いたことで次の上値の目途は3月高値の115.50円付近となります。 引き続き押し目買いを目指しますが、買いの水準を114円付近に、損切りラインも113.50円割れにそれぞれ引き上げます。
(提供:FXプライムbyGMO)
高野やすのり
慶應義塾大学卒。チェース・マンハッタン銀行(現J.P.モルガン・チェース銀行)、スイス・ユニオン銀行(現UBS銀行)などでインターバンクディーラー業務等に従事。現、(株)FXプライムbyGMOチーフストラテジスト。
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