昨日の海外時間には「米税制改革法案、上院案は法人税率引き下げを2019年に先送り」と報じられたことからドル売りが強まりました。

昨日の海外市場

FXプライム,高野やすのり,市況解説
(写真=PIXTA)

欧州時間にはいって、欧州株が軟調に推移したことから日経平均先物も下落して円買いが先行し、ドル円は113.30円台まで、ユーロ円は131.50円台まで下落しました。その後欧州長期金利が上昇を始めると、全般的にドル売りが優勢となって、ドル円は113.20円台まで下落幅を拡大し、ユーロドルは1.1640台まで上昇しました。

NY時間午前、米長期金利が上昇したことからドルの買戻しが優勢となって、ドル円は113.50円台まで上昇し、ユーロドルは1.1600付近まで反落しました。その後原油相場が上昇するとドル売りと円売りが強まって、ドル円は113.60円台に、ユーロ円は132.20円付近まで、ユーロドルも1.1630台まで上昇しました。

NY時間昼ごろワシントンポスト紙が「米税制改革法案、上院案は法人税率引き下げを2019年に先送り」と報じたことから米長期金利が低下、各国株価が下落してドル売りと円買いが強まって、ドル円は113.00円台まで、ユーロ円は131.60円付近まで下落し、ユーロドルは1.1650台まで上昇しました。しかしNY時間引けにかけては米長期金利と各国株価が反発したことから円の売り戻しが強まって、ドル円は113.40円台まで、ユーロ円は132.00円台まで反発しました。

FF金利先物市場の年内のFOMC追加利上げ織り込み度合いは100%で変わらず、2018年6月の2回目の利上げは約67%でほぼ変わらずです。

今日の予定

今日の海外時間には英・9月鉱工業生産、英・9月貿易収支、米・11月ミシガン大学消費者信頼感指数の発表が予定されています。

今後の見通し

昨晩の報道によれば、米上院共和党の税制改革法案では法人税の引き下げが1年先送りされるほか、個人最高税率を39.6%から38.5%に引き下げる、などいくつか重要な点で相違があります。ただ、どちらかの案がそのまま決定されることはなく、今後上下院の議員らで両院協議会を設置しすりあわせを行います。今後どのような形でまとまるのかは予断を許さない状況ですが、特に法人税減税の実施時期に関心が集まっていますので、今後も関連報道が為替相場に影響を与えることが考えられます。

ただ、実施時期こそ違え、法人税率が35%から20%へと大きく引き下げられることが確定的になったことを考えれば、長期的に株式市場へのポジティブな影響が与えられると考えられます。昨日の反応は一時的なものと考えれば、引き続き中期的なドル高、円安の動きが予想されます。

ドル円の買い場を探す

昨日113.70円で作ったドル買いポジションは113.20円で損切りとなってしまいました。今日は値動きを見ながら、昨日の安値付近、又は113円割れ付近でドル買い円売りポジションを構築することを検討します。

(提供:FXプライムbyGMO)

高野やすのり
慶應義塾大学卒。チェース・マンハッタン銀行(現J.P.モルガン・チェース銀行)、スイス・ユニオン銀行(現UBS銀行)などでインターバンクディーラー業務等に従事。現、(株)FXプライムbyGMOチーフストラテジスト。

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