日本の株式市場は10月以降、衆議院選挙に向けて上昇し始めた。選挙が終わってもなお株価は上昇し続け、日経平均株価は2017年11月9日、取引時間中としては1992年1月以来、約26年ぶりに2万3000円の節目を上回った。

好調な株式市場の状況を見聞きし、「株式投資を始めてみたい」と株式投資に興味を持っている人も多くいるようだ。

儲ける手段は2通りある

株式投資
(写真=PIXTA)

株式投資で儲けるためには、以下の2つがある。

  1. 証券取引所に上場している数千にものぼる個別銘柄の中から値上がりが期待できる銘柄を、個別銘柄の情報を掲載している会社四季報などを活用して探し投資する方法(ファンダメンタル分析)
  2. 日々動く株価の動きを、株価の動きを表したチャートを使って売買タイミングを分析して投資する方法(テクニカル分析)

株式投資で儲ける基本は、株価が安い時に株式を買って、高くなったら売ることだ。しかし、ここ最近、株式市場は年初来高値を更新していることもあり、個別銘柄の株価も大幅に上昇している。

これから株式投資を始めたいと考える人には、「株価が高くなったからたくさんの元手=投資資金が必要」「投資資金が多ければ利益も大きくなる」と考える人が意外と多い。投資資金を潤沢に用意して、一つの銘柄に全額投資してしまう人が案外多い。

株式市場が好調な間は株価も順調に上昇するだろうから、問題はないかもしれない。しかし、株価はいずれ値下がりする。そうした事態に備えて、損失を被る場合のリスクについて普段から考えておく必要がある。

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100万円を1年で2倍にする方法

株式投資に限らず投資を始める場合は、普段の生活資金ではない余裕資金で始めたい。最初の投資資金としては、個別銘柄の株価も上昇しているので、まずは100万円程度の余裕資金を想定したい。万一投資した企業が上場破綻して100万円が紙切れになって戻ってこなかったとしても納得できる金額から始めたらいいので、少ない分には問題はない。

100万円を1年間で倍に増やすためには、1年間で100%のパフォーマンスを目指せばよい。ちなみに、ネット銀行の1年物の定期預金金利が0.1%で高金利の現状、100%のパフォーマンスを目指すことが本当に可能なのか、と感じるかもしれない。

結論から言えば、株式投資では1年間で100%のパフォーマンスは不可能ではない。

ただし、株価が将来2倍に値上がりする個別銘柄を見つけられるかはわからない。そこで、100%を目指して毎月コツコツ10%の利益を積み上げて、1年間で100%を目指す手法に取り組みたい。

100万円の10%は10万円だから、1ヶ月で10万円の利益を出す。1ヶ月は4週間と考えられるので4週間で10万円の利益になるから、1週間での利益は2万5000円になる。1週間は5日あるので、1日5000円の利益を目指すわけだ。1ヶ月で10%、10万円と聞くと、目標達成が困難に感じるかもしれない、1日5000円なら達成が可能に感じる人も多いのではないだろうか。

株価の短期間の変動で利益を得るわけだから、②のテクニカル分析を活用して短期での売買を行い、利益を積み上げていくわけだ。短期の売買と言うと、その日のうちに売買を完結させる「デイトレード」や、数日の株価変動で売買を完結させる「スイングトレード」がある。どちらを利用するかは、仕事の状況や投資スタンスに合わせて使い分ければよいだろう。

短期、中長期に限らず、予想が外れて株価が値下がりする場合もあるので、投資に損失はつきものだ。100%を目指して毎月コツコツ10%の利益を積み上げた場合、1年間は12カ月あるから1年間で120%になる。損失が発生した場合の余裕として、年間で20%を想定しておきたい。

損失が発生した場合は、損失が確定することを覚悟して株式を売却する「損切=ロスカット」をすぐに実行したい。証券会社への口座開設では、「特定口座」「一般口座」「NISA(ニーサ)口座」の3種類から選べる。損失が発生した場合に、他の利益と相殺する「損益通算」を活用する場合には、特定口座か一般口座でなければならない。

特定口座には、税金を差し引いてくれる「源泉徴収あり」の口座と、「源泉徴収なし」の口座の2種類がある。株や投資信託などの利益と損失を計算して「年間取引報告書」が作成されるので、取引の回数が多い人は便利だ。

特定口座の源泉徴収ありの口座の場合、証券会社が書類を準備してくれるので確定申告は不要だ。特定口座の源泉徴収なしの場合、証券会社が書類の準備はしてくれるが確定申告を行わなければならない。一般口座の場合は、自分で年間取引報告書を作成しなければならず、確定申告も必要になる。どの口座を選択するのかは、家族による扶養の有無や、働き方などで必要以上に税金を支払いたくない場合など、投資状況やライフスタイルで決定したい。

最近、話題の「NISA(ニーサ)」を利用した場合は損益通算を利用できない。損失が出た場合の売却には注意が必要だ。NISAとは2014年から始まった少額投資非課税制度のことで、NISA専用の口座になる。NISA専用の口座を開設すると、①毎年120万円を、②最長5年間まで、③投資総額最大600万円まで、投資することができる。通常であれば利益に対して20.315%の税金がかかる所を、NISA口座の投資枠で発生した利益に対しては非課税にできるが、NISA口座で購入した株や投資信託などは、特定口座や一般口座の株式等の利益と損益通算を行えないというデメリットがある。

株式投資では利益を得られる反面、損失も被る。損益通算の制度などをうまく活用して、株式投資を始めてみてはどうだろうか。

横山利香(よこやまりか)
国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe)。ファイナンシャル・プランナー。相続士。「会社四季報オンライン」や「夕刊フジ」「All About株式戦略マル秘レポート」の連載や、ヤフーファイナンスの「株価予想」でマーケットコメント等、株式投資や不動産投資といった資産運用をテーマに執筆、講演活動、 メルマガ の発行、株塾を行う。公式サイト「 横山利香の資産運用コンシェルジュ

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