11月6~10日の東京株式市場は高値圏での揉み合いとなった。日経平均株価は11月9日の取引時間中に2万3300円台まで上昇したが、さすがに高値警戒感が強まり利益確定の売りが先行、一時2万2500円台まで反落する場面も見られた。

東証1部「低PER」ランキング

今回は東証1部の「低PER(株価収益率)」ランキングを紹介しよう。

(1)東京電力ホールディングス <9501> (連)179円74銭 (連)2.55
(2)PLANT <7646> (単)358円48銭 (単)3.60
(3)不二家 <2211> (連)636円26銭 (連)4.18
(4)ノリタケカンパニーリミテド <5331> (連)1044円73銭 (連)4.85
(5)テーオーシー <8841> (連)195円77銭 (連)5.10
(6)住石ホールディングス <1514> (連)30円26銭 (連)5.16
(7)合同製鐵 <5410> (連)396円40銭 (連)5.44
(8)石塚硝子 <5204> (連)471円53銭 (連)5.45
(9)井筒屋 <8260> (連)87円28銭 (連)5.51
(10)東和銀行 <8558> (連)235円94銭 (連)5.61
※銘柄、証券コード、1株当たり利益(EPS、予想ベース)、予想PERの順。(連)は連結、(単)は単体。データはヤフーファイナンスに基づく。

PERは日経平均採用銘柄で15.03倍、東証1部全銘柄で16.73倍(10日現在、EPSは予想ベース)となっている。10月以降の上昇相場では、米国株に比べ日本株のPERが低く、割安であるとして見直された側面もあった。ただ、こうした上昇相場の中でも、なおPERが低位で放置されている銘柄は少なくない。

東京電力、福島第1原発事故から低PER続く

今回は上記ランキングから東京電力ホールディングス、PLANT、ノリタケカンパニーリミテドをみていこう。

東京電力ホールディングスは電力最大手。2011年3月の東日本大震災で福島第一原子力発電所の事故が発生し、経営の将来性に赤信号がともり同社株価は急落した。同社の株価は2012年夏に1株120円台の安値を付けたあと、2015年には900円台まで回復、2017年は400円台でほぼ横ばいの展開となっている。

先の事故処理に関して最終的に同社が負うべき費用が不透明で、事故前の収益力を回復する見通しが未だに立たないことからPERは一ケタ台で定着している。

ちなみに、会社側が示している2018年3月期の通期業績予想は連結売上高が前期比7.3%増の5兆7500億円、純利益は2.17倍の2880億円。純利益が大幅に伸びているのは、原発事故の賠償費用に充てる交付金を国から受け取っているためである。

PLANTのPERが低い理由

PLANTはスーパーセンター(スーパーマーケットとホームセンターを統合した大型店)を展開する小売業者。

同社のEPSを算出するベースとなる純利益は、2017年9月期が2億600万円、2018年9月期予想が「29億円」となっている。

決算を発表した10月27日、PLANTは『固定資産の譲渡等および特別利益の計上に関するお知らせ』を発表している。東日本大震災で営業を停止した福島県大熊町の店舗の所在地に中間貯蔵施設を設けることになり、環境省と土地建物の売買契約を結んだ。店舗の取り壊し義務がなくなったため、資産除去債務の戻し入れも加わり、2018年9月期の第1四半期(2017年10~12月)に特別利益として約30億円を計上することになった。この分が、2018年9月期の「純利益を押し上げた」要因となる。

もともと小売業界では個人消費の回復の遅れ、価格競争の激化など事業環境に大きな課題があり、PERが低いからといって割安であるとは言いがたい側面もあるので注意が必要だ。

ノリタケカンパニーリミテド、株価は約半年で2倍に

ノリタケカンパニーリミテドは名古屋市に本社を置く高級陶磁器食器メーカー。

2018年3月期は本社工場跡地の売却により「130億円の固定資産売却益を計上する方針」であるため、PERは低くなっている。ただ、株価のチャートをみると4月以降、半年ほどで2倍に上昇した。

陶磁器の業績は低調だが、工業機材の主力品である砥石が国内や中国で好調。また、セラミック・マテリアル、エンジニアリングの各セグメントも増収増益となった。この結果、2017年9月中間の純利益は前年同期の2.6倍にあたる24億円に拡大した。期末配当を従来予想の30円から40円に引き上げたことも、株価を押し上げる要因となっている。(ZUU online 編集部)

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