深刻な人手不足に対応するため、企業などによるロボットの導入ニーズが急速に高まっている。工業用だけではなく、ソフトバンクグループ(9984)の接客ロボ「Pepper(ペッパー)」に代表されるサービスロボットの普及も加速している。11月29日からは最新技術が集結する「2017国際ロボット展」(東京ビッグサイト、東京・江東区)も開幕し、話題性は一段と高まる。

ロボット
(画像=PIXTA))

日本ロボット工業会がまとめた7〜9月の国内メーカーのロボット受注額は、前年同期比26%増と5四半期連続で伸び、この四半期としては過去最高額を更新した(サービスロボット含まず)。生産額は期初見通しの7500億円を上回り、8000億円に達するペースだ。

失業率が約22年ぶりの2%台まで低下する中、企業は十分な人材の確保が困難になりつつある。活況な自動車や電機産業、半導体の製造現場などでは自動化ニーズが高まり続けている。政府は成長戦略の一つにロボットの活用を掲げ、国策として導入の加速を後押しする。

世界的にも省人化の需要は強い。中国では、ファナック(6954)や安川電機(6506)、三菱電機(6503)といった日系FA(ファクトリーオートメーション=工場自動化)機器メーカーの業績拡大につながっている。工程の効率向上や集約を可能にする高性能機を選択する動きはロボットや工作機械にとどまらず、工業用ミシンや印刷機などにも広がっている。

サービスロボットの姿も、先進国では流通業などで頻繁に目にするようになった。米小売り大手のウォルマートは商品の陳列棚用のロボットの導入を拡大。エイチ・アイ・エス(=HIS、9603)はロボットが接客する「変なホテル」を積極展開する。ソニー(6758)の犬型ロボット新生「aibo(アイボ)」が人気を集めているように、ペットロボットの市場も成長性が大きい。

ロボットへの関心が高まる中、今年の国際ロボット展への出展企業数は前回比166社増の612社と過去最大規模になる。入場者数は13万人(前回は12万人強)を目標とし、例年以上の盛り上がりが期待される。また、今回はAI(人工知能)やビッグデータ関連製品といった、ロボットを支える次世代技術も多く集まる。

出展企業の中で注目したい銘柄の一つが、アルテック(9972)。自律走行型の物流支援ロボットや自動収納庫システムなどを紹介する。同社は今年1月から自律走行型のパトロールロボットの販売を開始するなど、急速にロボットの取り扱いを拡大し、「引き合いは多い」(アルテックの経営企画部)。専門商社だけにPBR(株価純資産倍率)は低く評価されがちだが、先端市場の取り込みが進めば見直しの余地が広がる。

電線などを手掛けるJMACS(5817・(2))も高機能ロボット用のケーブルを出展する。同社は映像を反射して空中に表示する「空中ディスプレー」の関連株としても有力。

このほか、UTグループ(2146・JQ)の子会社やセック(3741)、IDEC(6652)などもロボット展で脚光を浴びる可能性がある。(11月15日株式新聞掲載記事)

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