金曜日の海外時間には、感謝祭休暇前で薄商いの中、米長期金利が低下して各国株価が下落する中円買いが優勢となりました。週明けの東京時間朝方に独連立協議が決裂した、との報道でユーロが売られています。

金曜日の海外市場

(写真=PIXTA)

欧州時間序盤は、特段の材料もなく全般的に小動きとなりました。その後FT紙が英国政府がEU離脱日を関連法案に明記する方針を断念する可能性を報じたことからポンド売りが強まりましたが、ドル円、ユーロドルなどは小動きが続きました。

NY時間にはいって、発表された米住宅関連指標は予想よりも良い結果でしたが、米長期金利と各国株価が下落したことから円買いが優勢となって、ドル円は112.30円台まで、ユーロ円は132.50円台まで下落しました。この間ユーロドルは1.1790台を中心にもみ合いが続きました。

NY時間午後にかけて米長期金利と各国株価がもう一段下落すると、さらに円買いが強まってドル円は約1ヵ月ぶりに112円を割り込んで111.90円台まで、ユーロ円は132.00円台まで下落幅を拡大しました。この間もユーロドルは小動きが続きました。

東京時間朝方に「ドイツのメルケル首相が進めてきた連立協議が決裂した」と報じられたことから、独政治の混乱が嫌気されてユーロが全面安となっています。

FF金利先物市場の年内のFOMC追加利上げ織り込み度合いは100%で変わらず、2018年6月の 2回目の利上げの織り込みは約73%でほぼ変わらずでした。

今日の予定

今日の海外時間には独・10月生産者物価指数、米・10月景気先行指数の発表があるほか、ノボトニー・オーストリア中銀総裁、ラウテンシュレーガー・ECB専務理事、ドラギ・ECB総裁、コンスタンシオ・ECB副総裁の講演が予定されています。

今後の見通し

今朝方の突然の報道「ドイツのメルケル首相が進めてきた連立協議が決裂した」によってユーロが急落しました。9月末に行われた独議会選挙では、これまでの与党であったCDU(メルケル首相)とSPDが議席を減らした一方で、FDP(自由民主党)と極右の「ドイツのための選択肢」が議席を増やしていました。選挙後にはSPDが早々に連立協議からの離脱を宣言したため、メルケル首相は企業よりのFDPと緑の党との連立を目指していましたが、難民問題などでの溝が埋められなかった模様で、FDPは「数え切れないほどの矛盾」に満ちていたため、協議から離脱したとしています。

今後の選択肢は再びSDPに連立を組む交渉を働きかけるか、緑の党との少数与党を目指すなどがありますが、混乱は避けられないとともに、メルケル首相の続投に疑問符がついた状況です。最悪の場合再選挙の可能性も出ています。いずれにしても今晩の欧州時間には、もう一段のユーロ安の可能性があるため、注意が必要です。

ユーロ売りとともに円買いに注意

金曜日には戻り売りを考えていましたが、ほとんど戻りがなく、ポジションの構築には至りませんでした。今日はさきほど紹介した独政治への疑念からユーロ売りが強まることが予想されますので、ユーロ円を131.50円付近で売りたいと考えます。損切り水準は132円、利食いは130円台前半とします。

(提供:FXプライムbyGMO)

高野やすのり
慶應義塾大学卒。チェース・マンハッタン銀行(現J.P.モルガン・チェース銀行)、スイス・ユニオン銀行(現UBS銀行)などでインターバンクディーラー業務等に従事。現、(株)FXプライムbyGMOチーフストラテジスト。

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