9月8日の終値1万9274円を起点とした日経平均の上昇は10月に入ると勢いが増した。その背景として、米国市場でNYダウやナスダック指数の過去最高値更新が続いたことや10月22日の衆院選で与党が圧勝したことなどが挙げられる。日経平均は10月2日から24日まで16日続伸して過去最長の連続上昇記録を更新した。

また、11月に入ると、後段で説明するように上場企業の4〜9月期決算が全体として予想を上回り、通期の業績予想を上方修正する企業が目立ったことが好感され、11月7日の日経平均は終値で2万2937円と、1992年1月9日以来約25年10カ月ぶりの高値を付けた。さらに、11月9日の取引時間中には一時2万3382円まで上昇し、1989年につけた史上最高値(3万8915円)からバブル崩壊後の最安値(2009年の7054円)までの下げ幅の「半値戻し」となる22985円を一時上回った。これまでの下げ幅の半分相当を回復できれば、過去の高値に達する勢いにつながるとの経験則を示す「半値戻しは全値戻し」との相場格言もあることから、目先の日経平均が終値でも「半値戻し」を達成すれば、投資家心理が強気に傾くサインとなる可能性もあろう。

日本の株高は企業業績が主導

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(画像=Thinkstock/Getty Images)

前段で記したように、11月に入ってから日本の株高に拍車がかかった背景は、10月末から本格的にスタートした上場企業の4〜9月期決算が全体として予想を上回り、通期の業績予想を上方修正する企業が目立ったことだ。日本経済新聞社の集計によると、11月15日までに4〜9 月期の決算発表を終えた3月本決算企業(金融を除く1580社)の経常利益は前年同期比24.0%増となり、2018年3月期通期の経常利益は11.6%増と、4〜6 月期決算が出揃った8月 時点の予想(6.6%増)から上方修正された。また、日本経済新聞朝刊に掲載される今期予想のPER(株価収益率)から逆算される日経平均の予想EPS(1株当たり利益) は11月22日時点で1523円に達した。

一方、トムソン・ロイターが11月22日時点で集計した主要国の企業業績予想とPER(12カ月先予想、日本はTOPIXベース)を比較すると、日本企業のEPSの伸びは9.2%増と米国企業(11.0%増)と肩を並べているが、株価水準が違うことから、日本株のPERは14.9倍と米国株の18.0倍に比べると割安である。米国株のPERは主要な先進国の中で最も高いことから、日本株のPERが米国株にキャッチアップすることは難しいが、世界平均の16.2倍にキャッチアップすることは可能とみている。したがって、日経平均の予想PER(11月22日時点で14.78倍)が先高期待から年内に16 倍まで上昇すれば、日経平均は2万4000 円を超えると試算される。さらに、来期予想のEPS が10%上昇すると仮定すれば、来年の日経平均はPER16 倍で2万6400円を超えると試算される。

米国でも株高が続くと想定

バンクオブアメリカ・メリルリンチが11月14日に発表した11月の機関投資家調査(11月3~9日実施)によると、向こう1年間の世界経済について、トレンドを下回る物価上昇が続く一方、トレンドを上回る景気拡大が続く「低インフレ・安定成長」の「適温(ゴルディロックス)経済」が続くとみる投資家が56%と、前月(48%)から上昇して過去最高を更新した。実際に、米国では10月の消費者物価上昇率が引き続き低水準で、10月の小売売上高は堅調だった。また、11月24日の「ブラックフライデー」からスタートした年末商戦も堅調と予想される。目先の米国市場では「低金利・株高」の「適温相場」が継続すると想定する。

目先のリスク要因は米国の財政問題

目先のリスク要因としては、米国の税制改革法案の行方に注意が必要だ。米下院は11月16日に連邦法人税率を35%から20%へ大幅に下げる税制改革法案を賛成多数で可決したが、上院は税率の引き下げ時期を1年遅らせる独自案を審議中で、税制法案の成立には両院の調整が必要になる。トランプ政権は約30年ぶりの抜本税制改革を年内に実現し、米経済を底上げする戦略を描いてきたが、法案の一本化作業が難航して大型減税の実行が遅れれば、株式市場に失望感が広がる可能性もあろう。

もう1つのリスク要因は米国の債務上限と暫定予算が12月8日に期限切れとなることだ。債務上限の引き上げ期限についてムニューシン米財務長官は10月30日に、財務省が特別措置を活用することによって来年1月までは債務を支払うことができる(米国債の利払いや償還に対応できる)ので心配していないとの認識を示した。しかし、最終的に債務上限が引き上げられなければ米国債がデフォルト(債務不履行)に陥る可能性が高まる。また、暫定予算が延長されなければ政府機関が閉鎖される可能性もあることから、税制改革法案の行方に加えて、債務上限と暫定予算の問題には注意が必要だ。

野間口毅(のまぐち・つよし)
1988年東京大学大学院工学系研究科修了後、大和証券に入社。アナリスト業務を5年間経験した後、株式ストラテジストに転向。大和総研などを経て現在は大和証券投資情報部に所属。日本証券アナリスト協会検定会員。米国CFA協会認定証券アナリスト。

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