今週から12月。年末調整の季節に入るとともに、会社員の皆さんも税金を徐々に意識する機会が増えていることだろう。

そんな中、盲点となりやすいのが「セルフメディケーション税制」だ。年初に騒がれたものの、もはや記憶から遠のいている人も少なくない。このセルフメディケーション税制の概要、そして申告などについて解説していく。

セルフメディケーション税制とは?

セルフメディケーション
(画像=PIXTA)

セルフメディケーション税制とは、日頃から健康維持や病気の予防などを取り組んでいる人を対象に、特定一般用医薬品等購入費用について一定金額まで所得控除を行ってよいというもの。

既存の医療費控除が本来の制度とすると、このセルフメディケーション税制は特例制度という位置づけになる。控除対象となる費用の購入期間は、平成29年1月1日から平成33年12月31日までの間だ。

セルフメディケーション税制による医療費控除の金額は、実際に支払った金額から1万2000円を差し引いた金額(最高8万8000円)となる。毎年医療費を支払っているのに、既存の医療費控除制度では支払額が10万円を超えない、あるいは超えたとしても数百円程度の控除しか受けられなかった人にとっては朗報となるに違いない。

ただし、要件がある。まず、日頃からの健康維持や病気の予防については、「やっていれば何でもいい」というものではなく、控除を受ける年分について、次のいずれかを行っていることが必要だ。ただし、これらの取組みについて支払った費用については控除対象とはならない。また、取組みを行うのはあくまでも納税者本人だ。

同一生計の親族までもがこういった取組みを行う必要はない。つまり、納税者本人が人間ドックを受けていたなら、妻や子に支払った薬代も医療費控除として使うことができるのである。

1.保険者(健康保険組合や市区町村の国保など)が実施する健康診査(人間ドック、各種健(検)診等)
2.市区町村が健康増進事業として行う健康診査(生活保護受給者等を対象とする健康診査)
3.予防接種(定期接種やインフルエンザワクチンの予防接種)
4.勤務先で実施する定期健康診断
5.特定健康診査(メタボ審査など)、特定保健指導
6.市区町村が実施するがん検診

また、特定一般医薬品等購入費とは、医師によって処方される医薬品(医療用医薬品)から、ドラッグストアで購入できるOTC医薬品に転用された医薬品(スイッチOTC医薬品)の購入費を言う。ただし、ここでも「何でもいい」わけではない。対象となる医薬品については、購入の際の領収書に、セルフメディケーション税制の対象商品である旨が表示されているはずだ。一部の対象医薬品については「セルフメディケーション 税 控除対象」という識別マークがパッケージに記されている。詳細は厚生労働省ホームページに対象品目一覧が記載されているので、そちらを確認していただきたい。

【対象品目一覧 厚生労働省】 http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10800000-Iseikyoku/0000184868.pdf

既存の医療費控除との違いは?