11月20~24日の東京株式市場は堅調に推移した。為替は小幅ながら円高となったものの、株式市場ではむしろ値ごろ感からの押し目買いが優勢となったようだ。ただ、一段の上昇を期待するには新たな支援材料が欲しいところでもある。むしろ材料不足となれば、年末特有の値幅が大きくなりやすい「餅つき相場」となることも考えられるだけに注意が必要だ。
日経ジャスダック平均、バブル期以来の高値に
それでは今回はジャスダック市場の「週間出来高」ランキングをみていこう。
(1)カイカ <2315> 2465万7700株
(2)テクノホライゾン・ホールディングス <6629> 2465万3800株
(3)YKT <2693> 1441万9500株
(4)INEST <3390> 1267万0900株
(5)新都ホールディングス <2776> 1112万1100株
(6)ピクセルカンパニーズ <2743> 1033万1900株
(7)Nuts <7612> 948万6000株
(8)エヌエフ回路設計ブロック <6864> 754万8800株
(9)オートウェーブ <2666> 667万7000株
(10)トレイダーズホールディングス <8704> 636万0200株
※銘柄、証券コード、出来高の順。データはヤフーファイナンスに基づく。
日経ジャスダック平均株価(日経ジャスダック平均)は先週24日の3788円32銭まで6営業日連続高となり、連日の年初来高値を更新した。1990年8月(バブル期)以来の高値水準でもあり、個人投資家の関心も例年にない高まりを見せているようだ。
ちなみに、上記ランキングを業種別でみると、卸売業が5銘柄と半数を占めている。その他は電気機器が2銘柄、情報・通信業、小売業、証券・商品先物取引業が各1銘柄だった。
YKTが「量子コンピューター関連株」として人気化
今回は上記ランキングからYKT、カイカ、新都ホールディングスを取り上げる。
YKTは中堅の機械商社。工具研削盤や電子部品実装機などの輸入販売を手掛けている。
YKT株は11月20日から大きく上昇した。背景にはNTTなどが新たに開発した「量子コンピューター」を無償で利用できるサービスを開始するとの報道があった。YKTの子会社が量子コンピューターの研究用の関連製品を扱っており、いわゆる「量子コンピューター関連株」の一角として人気化。24日まで4営業日連続でストップ高となり、今回のランキングで3位となった。
なお、今回のランキング8位のエヌエフ回路設計ブロックも「量子コンピューター関連株」として投資家の買いを集めている。「量子コンピューター関連株」はホットなテーマとして人気が続きそうだ。
カイカ、ひふみ投信マザーファンドを割当先として新株発行
カイカはシステム開発やシステム関連コンサルティングを手掛ける情報サービス会社。今年2月にSJIから社名変更した。ネクスグループと、その親会社であるフィスコの傘下で経営再建を進めている。
10月31日、カイカはひふみ投信マザーファンドを割当先とする第三者割当増資を発表し、11月16日に発行手続きを完了した。企業の買収などを行わない場合の自律成長(オーガニックグロース)では現在掲げる中期経営計画の数値目標に達しないため、M&Aによる事業基盤の拡大のための資金確保が必要になると判断。新株発行により約23億円を調達した。
ひふみ投信は中小型株の長期運用でも知られ、新株発行による需給悪化のリスクは短期的には小さいとみられている。こうしたことが個人投資家の買い安心感につながっている側面もあるようで、今回のランキングで1位となった。
新都ホールディングス、債務超過解消の期待広がる
新都ホールディングスはカジュアル衣料の企画・生産委託を行う衣料卸売会社。10月に商号をクリムゾンから変更した。債務超過となるなど経営不振が続き、上場廃止基準に抵触する懸念が続いている。
11月9日、同社は中国企業を割当先とする第三者割当増資を発表した。割当日は30日。今月中旬にかけて債務超過解消の期待で買い注文が広がる場面も見られた。同社は調達する約2億円の資金を商品の仕入れや中国子会社の運転資金に充てるとしている。(ZUU online 編集部)