東京は世界を代表する都市といわれていますが、実際に世界から見た東京の評価というものはどのようなものなのでしょうか。
ここでは2017年版の「世界の都市総合力ランキング」から、東京を含めた上位都市の傾向と評価について見ていきます。東京の強みと弱みをチェックし、今後、「東京がどうなるのか」といった課題や動向も確認していきましょう。
「世界の都市総合力ランキング」の概要
世界の都市総合力ランキングとは、経済学者の竹中平蔵氏が所長を務める森記念財団都市戦略研究所が毎年発表しているものです。2008年に第1回がはじまり、2017年版は第10回となります。
世界の都市総合力ランキングは、複眼的な指標で都市の総合力を評価しています。都市の力を表す主要な6分野(経済、研究・開発、文化・交流、居住、環境、交通・アクセス)、さらに、現代の都市活動を牽引する5つのグローバル・アクター(経営者、研究者、アーティスト、観光客、生活者)がランキングの指標となっています。
2017年は、世界の主要44都市を対象として調査が実施されました。日本からは、東京・大阪・福岡の3都市が調査対象に含まれています。
このランキングの特徴は、グローバル・アクターとして生活者や観光客以外にも経営者、研究者、さらにはアーティストまで指標のひとつに挙げられていることでしょう。インフラ整備や住みやすさだけではなく、学問やアートの力も「都市の力」だと考えられているのです。
2017年の動向と上位都市の傾向
2017年の分野別総合ランキングの1位から10位までは、以下の通りとなっています。
1位:ロンドン(イギリス)
2位:ニューヨーク(アメリカ)
3位:東京(日本)
4位:パリ(フランス)
5位:シンガポール(シンガポール共和国)
6位:ソウル(大韓民国)
7位:アムステルダム(オランダ)
8位:ベルリン(ドイツ)
9位:香港(中国)
10位:シドニー(オーストラリア)
1位のロンドンと2位のニューヨークは、2012年以降6年連続でトップ2を形成しています。ロンドンは、「文化・交流」が1位で「経済」「研究・開発」「交通・アクセス」が2位となっており、まさに総合力が評価されての結果と言えるでしょう。
2016年には、国民投票によってEUからの脱退(ブレグジット)が決まったものの、2017年段階では評価に大きな影響は見られません。
2位のニューヨークは、「経済」「研究・開発」で1位を獲得しています。ただ、「居住」が44カ国中34位、「環境」が30位と下位にとどまっていることが影響して、ロンドンには大きく差をつけられています。3位との差も縮まりつつあり、今ひとつ勢いに欠けている印象です。
東京は何位?評価ポイントはどこ?
上記のランキングにあるとおり、2017年の東京は44都市中3位です。2008~2015年までは4位でしたが、パリを逆転して3位につけています。それだけでなく2017年は、2位ニューヨークとの差をわずか30ポイントにまで縮めていることが特徴的です。2020年のオリンピック開催に向けて、明るい材料の多い調査結果が出たと言えるのではないでしょうか。
東京の強みは、「経済」(4位)、「研究・開発」(3位)、「文化・交流」(4位)の3点です。また、「交通・アクセス」(6位)も前年の11位から大きく改善されています。特に「文化・交流」については、海外からの訪問者数のスコアが年々向上していることと、美術館・博物館数などの集客施設におけるスコアの向上が顕著です。
その一方で、課題は「居住」(14位)にあります。「居住」の項目は「就業環境」「居住コスト」「安全・安心」「生活良好性」「生活利便性」から判断されます。2016年は6位だったのですが、「生活良好性」の中の小項目である社会の自由度・公正さ・平等さの評価が低かったことで大きく順位を下げました。
福岡(13位)や大阪(19位)も同じ理由で順位を下げていることから、この点は東京のみならず日本社会全体の問題として考えた方が良さそうです。
また、4位の「経済」ですが、2016年の1位からはランクダウンとなっています。円安の影響もあって、関連指標全般でスコアを伸ばせませんでした。北京(3位)にアジアトップの地位を明け渡しましたが、来年度以降オリンピックに向けた経済の伸びが期待されます。
国際的にみても高いポテンシャルを秘める東京ですが、不動産投資の指標であるキャップレートでみると、他の都市に比較しまだまだ低い水準です。投資するには面白い都市だということが言えるかもしれません。
(提供:THE LIFES)
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