金曜日の海外時間には「ロシアゲート関連で前米大統領補佐官のフリン氏が偽証を認めた」と報じられたことからドルが急落しました。しかし週末に米上院が税制改革法案を可決したことから週明けの為替市場ではドル買いが強まっています。
金曜日の海外市場動向
欧州時間序盤、特段の材料はありませんでしたがユーロ買いが優勢となって、ユーロドルは1.1940付近まで、ユーロ円は134.30円台まで上昇しました。しかし独DAXが下落したことなどからユーロは売り戻され、ユーロドルは1.1880台までユーロ円は133.40円台まで反落しました。この間ドル円は米長期金利が低下したことから112.20円台まで下落しています。
NY時間にはいって、米税制改革法案が上院で可決されることに対する期待もあってか米長期金利が反発し、ドル買いが優勢となってドル円は112.80円台まで上昇し、ユーロドルは1.1850台まで下落幅を拡大しました。
東京時間午前1時過ぎ、「前米大統領補佐官(国家安全保障担当)のマイケル・フリン氏がロシア大使とのやりとりについてFBI捜査官に虚偽の供述をしたとして、有罪を認めた」「フリン氏はトランプ政権移行チームの「かなり上位のメンバー」に促されて、ロシア大使と接触した」と報じられたことから、米長期金利が急低下する中ドルが売り、円買いが強まって、ドル円は111.40円付近まで、ユーロ円も132.90円付近まで下落し、ユーロドルは1.1930台まで上昇しました。その後、米上院の税制改革法案、フリン氏に関連する報道が続く中、週末を控えてドルがやや買い戻されて、ドル円は112.20円台まで上昇し、ユーロドルは1.1880台まで下落しました。
土曜日に米上院が税制改革法案を可決したことから週明けオセアニア時間にドル円は112.90円台まで上昇したあと、112.70円台の取引となっています。
FF金利先物市場の年内のFOMC追加利上げ織り込み度合いは100%で変わらず、2018年6月の2回目の利上げの織り込みは約83%へやや上昇しました。
今日の予定
今日の海外時間にはユーロ圏・10月生産者物価指数、米・10月耐久財受注(確報値)、米・10月製造業受注の発表のほか、コスタ・ポルトガル中銀総裁の講演が予定されています。
今後の見通し
マイケル・フリン前米大統領補佐官が虚偽の供述をしたことを認めたことから、トランプ大統領の娘婿ジャレット・クシュナー大統領上級顧問の関与が報じられています。今後この問題で政権幹部の関与が明らかになっていった場合に、トランプ大統領自身の進退問題にまで発展する可能性も含んでおり、報道内容によっては再びドルが急落する可能性があります。
一方米上院税制改正法案が可決されてドル買いになりましたが、今回可決された法案は既報の通り下院案とは異なる点も多く、特に法案の目玉である法人税の35%から20%への引き下げが下院案の2018年開始に対し上院案では2019年開始となっています。さらに細かい部分でも異なる点が多く、今後こうした相違点を上下両院協議会ですり合わせをしていく必要があります。その段階で、市場の期待に沿ったものとなればドル買いに繋がりますが、期待外れのものとなればドル売りに繋がります。
ドル円でドル買いポジション
1.1840で作ったユーロ買いドル売りのポジションで1.2付近での利食いを目指していましたが、金曜日の欧州時間に一旦1.19台半ばまで上昇したあと、損切りライン寸前まで反落し、NY時間に再び1.19台に乗せて伸び悩む展開となったことから1.1910で一旦ポジションを閉じました。
一方ドル円は、NY時間の急落中はポジション構築を手控えましたが、反発局面で112円でドル買いポジションを作って保有中です。週明けに上昇しましたので、損切りラインを建値の112円に置いています。
(提供:FXプライムbyGMO)
高野やすのり
慶應義塾大学卒。チェース・マンハッタン銀行(現J.P.モルガン・チェース銀行)、スイス・ユニオン銀行(現UBS銀行)などでインターバンクディーラー業務等に従事。現、(株)FXプライムbyGMOチーフストラテジスト。
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