2018年度の税制改正において、年収800万円超の会社員や高収入の年金受給者は税負担が増える見込みだ。高所得者と言えど何もしなければ税負担が増すばかりだが、ふるさと納税やiDeCoを使えば増税に備えることができる。また富裕層こそ効果が大きいふるさと納税を用いた社会貢献の方法を紹介する。

年収800万円超の会社員は給与所得控除の縮小で増税に

ふるさと納税
(画像=PIXTA ※画像はイメージです)

「控除」というのは「差し引く」という意味だ。給与所得控除というのは、サラリーマン等の給与所得者のいわば「経費相当」として税金計算時に差し引ける金額である。靴やベルト等、ビジネスに欠かせない部分を個別に申告せずに、「この収入の人は控除がいくら」と決められている。差し引ける金額が縮小すれば、税金は増えることになる。

ふるさと納税でお米200Kgも

ふるさと納税とは、自分で選んだ自治体に寄附を行うと、「寄附額-2000円」が所得税と住民税から原則、全額控除される制度だ(筆者注 一定の上限額あり)。2015年から「ワンストップ特例制度」も始まり、ふるさと納税の寄附が5団体以内、確定申告不要なサラリーマンは確定申告を行わないでふるさと納税の適用ができるようになった。 ふるさと納税を活用した場合のメリットをおさらいしてみる。年収800万円、共働きで大学生と高校生の子供2人の場合は、年間10万7000円を上限にメリットがある。例えば、1万円の寄付で20Kgのお米を送ってくれる自治体があれば、単純計算では自己負担額2000円で200Kgのお米を寄附先から送ってもらえる可能性もある。教育費が家計を圧迫しているケースでは活用した方が良いだろう。家族構成や所得の額で活用できる上限は異なっているので、自身のケースを確認して欲しい。

総務省:ふるさと納税ポータルサイト「全額控除されるふるさと納税額(年間上限)の目安」より

ふるさと納税の返礼品加熱も今後は3割以下に

ふるさと納税は、少しの手続きと費用負担で、「お礼の品」の受け取りができる。クレジットカードで手続きができる場合すらある。ここ数年、パソコンや真珠等の換金性がある返礼品もあり、ふるさと納税で返礼品受け取り後、品物を換金して現金化という動きもあったと考えられる。

返礼率が高かった自治体は、今後は寄附額の3割程度になっていくと考えられる。総務大臣が2017年4月に都道府県知事宛に送った書簡では、「返礼品として3割を超える返礼割合のものを送付している地方団体においては、速やかに3割以下とすること」との通知があったからだ。

ふるさと納税を使った社会貢献とは?

総務省は「ふるさと起業家⽀援プロジェクト」として、クラウドファンディング型のふるさと納税を活用した地域における起業支援策を打ち出した。また、「ふるさと移住交流促進プロジェクト」として、ふるさと納税をきっかけとした継続的なつながりを通じて移住・定住を推進するようだ。

ここではそれ以外のふるさと納税を使った社会貢献の事例を紹介する。例えば、返礼品で「お米」を設定している自治体に寄附を申し込む。そして、返礼品の送付先を社会福祉法人などにするのである。お金そのものの寄附には抵抗がある場合でも、ふるさと納税の返礼品を自分で受け取らずに寄附するのだ。理念の高い富裕層が身寄りのないこどもや、虐待されているこどもを支援するために、私費を投じて社会福祉法人などを人知れず運営している事例がある。しかし運営費は寄附により賄われていて、決して予算が潤沢とはいえない。高額所得者や富裕層の方には、ふるさと納税により納税先を変更する簡単な手続きで、社会に役立てることを検討して頂きたいと思う。

なお、実際に行動を行う前に送付先に事前に相談する必要がある。腐りやすい食べ物を大量に送られても困る結果になる。前述のお米の場合は、複数回に分けての送付も可能な場合もある。必要とされるものを必要なタイミングで送る心遣いが必要だ。

iDeCoの活用をお早めに!

ふるさと納税を利用して、肉や海産物を楽しむ家庭もあるだろう。今を楽しむことは重要だ。同様に将来の生活のことも考えて欲しい。税金の行先を変え、iDeCoで将来に備えるのだ。例えば年金制度のない会社に勤めるサラリーマンが年間、27万6000円をiDeCoで積み立てた場合、所得(年収ではない)800万円の場合は9万1080円の税額のメリットが期待できる。

しかも、これは1年だけのことではなく、毎年メリットが得られる。早く決断した方がトクなのだ。iDeCoは手続きに1~2か月かかる場合が多いので、将来に対する備えは一刻を要する。しかし、取引金融機関や、商品ラインナップを吟味する必要がある。コストの安い商品ラインナップを揃えた金融機関との取引が良いだろう。知っていると得をするが、知らない投資家は結果的に、高いコストを負担する結果になる。

ふるさと納税ではお米や魚介類、肉といった返礼にあたる部分は3割となる方向だ。しかし、iDeCoの場合は金額のほぼ100%が拠出にまわる(最低手数料2004円/年 等あり)。60歳を超えてしまった方は残念ながらiDeCoには加入できない。拠出できる金額は、勤め先の状況などで変化するので、自身で加入の可否や上限金額を事前に確認して欲しい。ただし受け取り時の金額は拠出額ではなく、運用の成果やコストで上下すること、60歳になるまで受け取れないので、余裕を確保する事前のプランニングを十分に行うことが重要である。

安東隆司(あんどう・りゅうじ)
RIA JAPANおカネ学株式会社代表取締役。CFP®ファイナンシャル・プランナー、元プライベート・バンカー。日米欧の銀行・証券・信託銀行に26年勤務後、独立。お客様サイドに立った助言を実践するためには高い手数料は弊害と考え、証券関連の手数料を受け取らない内閣総理大臣登録の「投資助言業」を経営。著書に『個人型確定拠出年金iDeCo プロの運用教えてあげる!』等がある。