昨日の海外時間には、FOMCが0.25%の追加利上げを決定しました。しかし米・11月消費者物価指数が予想を下回ったことと、FOMCメンバーの来年の利上げ回数見通しが3回のままだったことから米長期金利が低下しドル売りが強まりました。

昨日の海外市場動向

FXプライム,高野やすのり,市況解説
(画像=PIXTA)

欧州時間、NY時間に消費者物価指数とFOMCを控えて各通貨ペアとも小動きが続く中、ユーロがじり安となってユーロドルは1.1730付近まで、ユーロ円は132.80円台まで下落しました。

NY時間にはいって、発表された米・11月消費者物価指数(コア)が予想を下回ったことから米長期金利が低下しドル売りが強まって、ドル円は112.90円台まで下落し、ユーロドルは1.1770付近まで上昇しました。その後NYダウが上昇すると日経平均先物も上昇して、円がやや売り戻されてドル円は113.20円台まで、ユーロ円は133.10円台まで上昇しました。

NY時間午後にはいってFOMCの結果待ちとなる中、再びドル売りが優勢となって、ドル円は112.80円台まで下落し、ユーロドルは1.1770台まで上昇しました。

FOMCは、大方の予想通り0.25%の利上げを決定しました。公表された経済予測では、成長率見通しが引き上げられたにも関わらず、インフレ率見通しと政策金利予想が引き上げられなかったことから、各通貨ペアは発表直後の乱高下が終わると、米長期金利の低下を睨んで次第にドル売りが優勢となって、ドル円は112.40円台まで下落し、ユーロドルは1.1820台まで上昇しました。この間ユーロ円は133.50円付近まで反発しています。

東京時間にはいって、米長期金利が下げ止まる中、日経平均が寄り付きの下げ幅を縮めていることから円売りが優勢となっています。

FF金利先物市場2018年6月の利上げの織り込みは約76%に低下しています。

今日の予定

今日の海外時間には、BOE(英中銀)、ECB(欧州中銀)の政策金利発表(両者据え置きの予想)とカーニーBOE総裁、ドラギECB総裁の会見があるほか、独/ユーロ圏・12月製造業/サービス業PMI、英・11月小売売上高指数、米・11月小売売上高、米・11月輸入物価指数、米・新規失業保険申請件数の発表があります。

今後の見通し

FOMCは大方の予想通り今年3回目となる0.25%の利上げを決定しました。決定に反対票が2票ありましたが、2名とも来年の投票権のない地区連銀総裁でした。発表された声明では、ハリケーンに関する記述が減ったものの、雇用やインフレに関する記述にほとんど変化はありませんでした。公表された経済見通しでは、2018年GDP成長率が2.1%から2.5%へ大幅に上昇修正され、2018年失業率も3.9%へ引き下げられていました。一方インフレ率見通しは前回と変わらず、来年の利上げ予想も3回のままでした。市場では来年の利上げ予想が4回になるのでは、との見方もあったことから米長期金利は前日の2.40%台から2.35%付近まで低下しました。

昨日は東京時間のアラバマ州上院議員補欠選挙で共和党が議席を失ったことから始まって、米・11月消費者物価指数、FOMCとイベント全てが米長期金利の低下を招きドル売りに繋がりました。。昨年12月、今年3月にFOMCが利上げを決定したあとにもドルが下落していることから、今回も同様に、しばらくはドルが下落する可能性を指摘する向きもあります。しかしながら、12月半ばという時期的な問題もあって新たなトレンドがここから始まることにはやや違和感もあります。テクニカル面でも11月終盤から始まった上昇トレンドが崩れていないこともあって、現状ではドル売りを積極的に進めるという判断には至っていません。

ショートを利食い新規でロング

一昨日作った113.60円のドル売りポジションは113円で利食いました。その後FOMCはタカ派的ではありませんでしたが、112円台半ばで下げ止まったことから112.60円台ドル買いのポジションを作りました。損切りラインは112.30円で113円台半ばでの利食いを目指します。

(提供:FXプライムbyGMO)

高野やすのり
慶應義塾大学卒。チェース・マンハッタン銀行(現J.P.モルガン・チェース銀行)、スイス・ユニオン銀行(現UBS銀行)などでインターバンクディーラー業務等に従事。現、(株)FXプライムbyGMOチーフストラテジスト

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