昨日の海外時間には、米長期金利が上昇してドルが買われる場面もありましたが「米共和党ライアン下院議長引退を検討」と報じられたことから米長期金利が低下して円買いが強まりました。

昨日の海外市場動向

FXプライム,高野やすのり,市況解説
(画像=PIXTA)

欧州時間序盤、米長期金利が上昇したことから円売りが優勢となって、ドル円は112.80円台まで、ユーロ円は133.40円台まで上昇しました。しかしNY時間にかけて米長期金利が低下すると円も買戻しが優勢となってドル円は112.50円台まで、ユーロ円は133.20円付近まで反落しました。

NY時間にはいって、発表された米・11月小売売上高が予想を上回ったことから米長期金利が上昇して円売りが強まって、ドル円は112.80円台まで上昇しました。一方ユーロは、ECBが予想通り金融政策の据え置きを発表したあと、ドラギ総裁の会見が始まると「デフレリスクが消えたと安心して言える」などとされたことから一旦ユーロ買いが強まって、ユーロドルは1.1860台まで、ユーロ円は133.70円台まで上昇しましたが、続いて「QEは持続的なインフレ調整が見られるまで継続」とされたことからすぐに反落し、ユーロドルは1.1770台まで、ユーロ円は132.70円台まで下落しました。

その後「共和党ライアン米下院議長が来年の中間選挙後に引退を検討している」と報じられると、NYダウが下落を開始し米長期金利が低下する中円買いが強まって、ドル円は112.00円台まで、ユーロ円は133.20円台まで下落し、ユーロドルは1.1800台まで反発しました。ドル売りが一旦収まってやや反発しましたが、共和党ルビオ上院議員が「子供税額控除拡大ないなら税制改革法案に反対する」と述べたことから再びドルは安値圏へ下落しました。

東京時間にかけてはドル買いが優勢となりましたが、日経平均が下落幅を拡大する中ドル売りが強まっています。

FF金利先物市場の次回利上げの織り込みは、3月に早まって52%となっています。

今日の予定

今日の海外時間には、ユーロ圏・10月貿易収支、米・12月NY連銀製造業景気指数、米・11月鉱工業生産/設備稼働率、米・10月対米証券投資収支の発表があります。

今後の見通し

昨日は米共和党のキーマンの一人ライアン下院議長が引退を検討、と報じられたことから、トランプ政権の行方に不安材料との見方で米長期金利が低下しドル円は下落しました。しかしながらこのところの大きな流れとしては米税制改正に関する期待感の変化が相場の主要なテーマです。現在までの報道では、ルビオ議員ほか数名の上院議員が反対の可能性を示唆していますが、今回の減税などはトランプ大統領主導というよりも共和党のもともとの政策ですので、条件闘争はあったとしても最終的には前向きな結果となることが予想されます。年内の法案成立が見えてくればドル買いが強まると考えられます。

税制改革法案の行方を見ながら一旦様子見

一昨日作った112.60円台ドル買いのポジションは東京時間の安値を割り込んできたことから112.45円で損切りました。テクニカル的にも112円を割り込むと110円台までの下押しの芽が出てくるので一旦様子見とします。

(提供:FXプライムbyGMO)

高野やすのり
慶應義塾大学卒。チェース・マンハッタン銀行(現J.P.モルガン・チェース銀行)、スイス・ユニオン銀行(現UBS銀行)などでインターバンクディーラー業務等に従事。現、(株)FXプライムbyGMOチーフストラテジスト。

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