経営の3大資源は長らく「ヒト・モノ・カネ」と言われてきた。昨今、ここに「情報」を入れて4大資源とも言われている。そのようななか5番目の経営資源と注目されているのが「時間」という概念だ。

経営というと企業が行うものというイメージがあるが、ひとりひとりが「自分の人生の経営者」という捉え方をすれば、決して他人事ではないだろう。自分の人生経営をより良いものにするためには、限られた経営資源(リソース)の有効活用が必須となる。

今回は、企業経営はもちろん、個人の人生経営や資産運用にも活かしたい「時間」の概念について考えていこう。

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(画像=PIXTA)

「時間」はレバレッジをかける変数

個人の人生経営において「カネ」は欠かせない経営資源だ。日本が資本主義である以上、資金に余裕があればあるほど、様々な選択肢を持つことができる。個人が生み出すお金の総量は以下のように分解可能だ。

生み出すお金の総量(A)=人的資本収益+金融資本収益

多くの人にとって人的資本収益は労働収入だろう。ビジネススキルであったり、人脈であったり、資格であったり、その人自身が生み出せるお金のことだ。その一方、金融資本収益は、保有している資産を運用することによって得られるお金だ。これらに時間の概念を取り入れると以下のようになる。

(A)=(時間あたりの人的資本利益×時間)+(時間あたりの金融資本利益×時間)

個人の資産運用の場合、時間をかければかけるほど複利効果が働いて有利になるケースが多い。金融資本収益はもちろんのこと、ノウハウやナレッジの積み上がりで労働生産性が高まったり、人脈が広がることで新規顧客が開拓できたり、人的資本収益も時間を経ることに増加する傾向にある(加えて濃淡はあるにせよ、まだまだ多くの企業において勤続年数と給与は相関関係にある)。つまり「時間」は生み出すお金の総量(キャシュフロー)にレバレッジをかける変数と言える。

「お金で時間やノウハウを買う」という選択肢

次に「時間の使い方」に焦点を当てて考えてみたい。一般的な感覚では、お金と時間は逆相関、もしくはトレードオフの関係にあるように感じるのではないだろうか。時給1,000円のアルバイトを10時間すると、10時間を消費する代わりに1万円の対価を得る、といった具合だ。

しかし、重要なことは「消費する時間」と「その時間で得られる効用」が釣り合っているか、もしくは後者の方が大きいかを合理的に判断をすることだろう。場合によっては「お金で時間やノウハウを買う」「時間に投資する」といった判断をした方が良いケースもある。

例えば、移動はタクシーを使う、掃除洗濯は家事代行サービスに頼む、食事は外食や出前を利用するといった選択肢はないだろうか。これらは一時的なキャッシュアウトを伴う。その代わり、時間や体力を浮かせ、それらを別の何かに充てることができる。その「別の何か」でキャッシュアウト以上の効用が得られれば、経済的合理性の高い投資だったと言えるだろう。

企業経営における経済合理性の高い投資「M&A」

ビジネス環境が短期間で変化する昨今において、企業経営は個人の人生経営よりも、時間をかけて「ヒト・モノ・カネ・情報」を育てることがベターではないケースが多いのではないだろうか。そこで活用を検討したいのが、前述の「お金で時間やノウハウを買う」「時間に投資する」といった選択肢だ。

「M&A」とは merger and acquisition(合併と買収)の略で、ヒト、モノ、ノウハウ、販路、ブランドなどを持つ企業を自社に迎え入れることだ。または逆に大手グループの傘下に入ることで、その資本のもと全国展開や海外進出など遠い夢だと思っていたことを短期間で実現することだ。それらは一朝一夕で築かれるものではなく、まさに「時間やノウハウを買う選択肢」と言えるだろう。

日本初のM&Aカンファレンスに注目

2018年2月21日(水)に、M&A業界のリーディングカンパニーである日本M&Aセンター(銘柄コード:2127)が「WiNNOVATION」と銘打ち、日本初のM&Aカンファレンスを行うことが決定した。「ウィノベーション」と読み、M&Aによる革新(INNOVATION)で全員が Win×Win になるように…という想いから名付けられた。最寄駅は溜池山王で、参加は無料だ。日本M&Aセンターのトップコンサルタント10名が各テーマに沿って経営者に向けて講演を行うが、企業経営者でなくとも参加が認められる。この機会に、時間の概念を取り入れた経営戦略の情報収集をしてみてはいかがだろうか。

ゲスト
(画像=日本M&Aセンター ホームページより)

RIZAPグループ瀬戸社長・旭酒造の桜井会長も登場

M&Aと聞くと急に高い専門性が求められるように感じるが、目的の本質は個人にも当てはまる。つまり、キャッシュアウトを伴う先行投資で自らの貴重な時間と体力を空け、そのリソースを別のことに充てて、キャッシュアウト以上のリターンを回収しようとする投資行為だ。

今日では一般的になった転職も、即戦力として経験者を迎え入れることで、企業は経験やノウハウを一瞬にして手に入れることができる。その代わり、多くの場合、新卒採用者より高いサラリーを提示するわけだ。広義ではひとつのM&Aと言えるかもしれない。

カンファレンスでは、基調講演として旭酒造株式会社会長の桜井博志氏、特別対談としてRIZAPグループ株式会社代表取締役社長の瀬戸健氏の2名をスペシャルゲストとして招く。ともにカンファレンスという限られた空間だからこその濃密な話が聞けそうだ。

企業経営者はもちろん、今は企業経営に携わっていない人も、前述の通り「個人の人生の経営者」である。日本初のM&Aカンファレンスで、「時間の概念」を学んでみてはいかがだろうか。

WINNOVATION
(画像=日本M&Aセンター ホームページより)