2018年1月から始まる「つみたてNISA」。利用を検討してみたいけれど、どこで口座を開設したらいいのか迷ってしまい、口座開設が進まないという人もいることだろう。つみたてNISAの口座を開設する時にどういった視点で選べばいいのか。どの金融機関がおすすめなのだろうか。

投資対象となる投資信託

つみたてNISA,NISA
(画像=PIXTA)

つみたてNISAとNISAは「年単位」での選択制のため、同一年でいずれか一方の口座を選ばなければならない。NISAからつみたてNISA口座へ移行する場合、手続きを行う必要がある。

ただ、NISA口座内でつみたてNISAと一般NISAを1年単位で変更することは可能である。つまり、2018年分の投資枠についてはつみたてNISAで投資を行い、2019年分の投資枠については現行NISAで投資を行うことができる。ただし、つみたてNISAですでに投資信託を購入した場合、その年は他の金融機関への変更や、一般NISAに変更することはできない。

つみたてNISAでは、あらかじめ定められた要件を備えた投資信託、ETF(上場投資信託)に投資を行うわけだが、具体的な投資信託名を知りたい場合には、金融庁のホームページの「つみたてNISAの対象商品」から確認することができる。

金融庁:つみたてNISAの対象商品

2017年12月18日現在、「つみたてNISA対象商品届出一覧」によると、指定インデックス投資信託が117本、アクティブ運用投資信託等が15本、上場株式投資信託(ETF)が3本とされていて、全部で合計135本の投資信託が指定されている。

まずはどのような投資信託が選ばれているのか確認しておき、どの投資信託を購入して積立を行っていこうと考えているのか、あらかじめ検討しておく必要があるだろう。と言うのも、つみたてNISAを取り扱っている証券会社や銀行などの金融機関はいろいろある。

しかし、すべての金融機関が、135本(12月18日現在)すべての投資信託を取り扱っているわけではないからだ。いつも利用している金融機関でなんとなく、つみたてNISAの口座を開設してみたら、お目当ての投資信託を取り扱っていないということもあり得るのだ。

2017年12月25日に確認した時点では、SBI証券では123本の投資信託を取り扱っているが、楽天証券では121本、マネックス証券では104本、また、三菱東京UFJ銀行では12本、ゆうちょ銀行では8本と表示されていた。このように金融機関によって取り扱っている投資信託の本数は異なっているので、購入を考えている投資信託を取り扱っているのか確認しておくことは非常に重要になってくる。

取り扱い本数の考え方

135本もある投資信託の中から、購入するである数本に絞り込むことが大変だと考える人もいることだろう。そのような場合には、取り扱っている投資信託の本数が少ない方が選択はしやすいかもしれない。一度金融機関を決めてしまったら1年間は変更できないが、金融機関を変更できないわけではない。

金融機関の変更は、変更を希望する年の前年10月1日から9月30日までは変更手続きを行えば可能なため、いつでも金融機関を変更できるから問題はないかもしれない。しかし、そもそも取り扱っている投資信託の本数が多ければ、それだけ選択肢が豊富なので、金融機関の変更などをしなくて済む可能性もある。

さらに、2018年1月の利用開始に向けて、投資信託の本数も順次増えてきたわけだから、今後も本数が増える可能性はあるだろう。そうした視点に立った場合、現時点で投資信託の取り扱い本数が多い金融機関であれば新たな投資信託を取り扱う可能性は高そうだが、取り扱い本数の少ない金融機関はその可能性は低いかもしれない。

つみたてNISAは積立型になるため、最長20年間(口座開設期間は2018年から2037年まで)、長い時間をかけて投資を行うことが可能になる。1年間の非課税投資額が40万円なので、20年間では総額800万円まで投資が可能になるわけだから、長い時間軸で積立を行うことを想定しておいた方がよいだろう。購入を検討している投資信託を取り扱っていて、かつ取り扱い本数が多い金融機関に口座を開設しておいた方が、投資信託が今後増加する可能性も考えられるので、利用者としては使い勝手はよいのではないだろうか。

通常のNISA口座の場合、単発で株式などを購入することになる。売買手数料が無料の金融機関もあるが、取引ごとに売買手数料が発生する場合が一般的だ。NISA口座の場合は、手数料が発生した場合でも売買回数が少なければ安く済ませることは可能だ。

しかし、つみたてNISAの場合には、定期的に積み立てる仕組みのため必然と取引の回数は多くなる。つみたてNISAを利用して投資信託を購入する場合、手数料が発生しない金融機関もあるので、手数料が発生しない方がコスト面から見てもお得だろう。

特定口座や一般口座、つみたてNISA口座で同じ投資信託を取り扱っている場合には、投資を行って利益が発生した場合には、通常であれば利益に対して20.315%の税金がかかるが、つみたてNISAの口座の投資枠で発生した利益に対しては、投資金額には制限があるが非課税になる。つみたてNISA口座を何となく決めてしまわずに、長期的な利用を視野に入れて口座の開設を行った方がよいだろう。

横山利香(よこやまりか)
国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe)。ファイナンシャル・プランナー。相続士。WAFP関東理事。「会社四季報オンライン」や「All About株式戦略マル秘レポート」での連載や、ヤフーファイナンスの「株価予想」でもマーケットコメントを執筆する等、株式投資や不動産投資といった投資や資産運用をテーマに執筆、メルマガ発行、講演活動、株塾を行う。公式サイト「横山利香の資産運用コンシェルジュ