2018年最大の成長株はMicrosoft、Amazon、Alphabet、Facebookなど、昨年から引き続きITセクターとの見方が強い。買っておけば間違いのない手堅い優良株といったところだろうか。
その一方で学生向けのモバイル銀行開設を予定している米国の地方銀行、カスタマーズ・バンコープ、バークシャーハサウェイの持ち株会社ストア・キャピタル・コーポレーション、分社によって新たな境地が期待できるデルフィー・テクノロジーズおよびAPTIV(旧デルフィー・オートモーティブ)、中国最強のコングロマリット、アリババ・グループ・ホールディングなどにも注目が集まっている。
フォーチュン誌やナスダック、USニュースなどが2018年に注目している11銘柄を紹介しよう 。
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Facebook(FB)――最強の「買い株」は今年も絶好調? Googleを上回る予想成長率
2018年も「買い株」の呼び名が高いFacebook株。Alphabetと並ぶ「最も成長速度の早いIT企業」だ。世界中で20億人を突破したユーザーが、今年も株価を高値へと押しあげてくれるだろう。今年の予想成長率は33%と、ライバルGoogleの予想よりも14ポイント高い。
気にかかる点はいくつかある。例えばFacebook最大の収入源である広告を表示するスペースが、ニュースフィードにはもうほとんど残っていないと」インデペンデント紙 などが報じている。Facebookはメッセンジャーへの広告導入を対策として打ちだしているものの、どこまで拡大できるのかは明らかになっていない。
しかし2018年中に新たな広告スペースまで使い切り、広告収入が著しく落ち込むとは想像しがたい。やはり今年も手堅い買い株となるだろう。
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Amazon(AMZN)――小売業からクラウド事業まで 成長の可能性は無限大
昨年10月、第3四半期決算の好調な業績を受け、ついに1000ドルの大台に乗ったAmazon株。12月中旬には1190ドルを超えるまでに値をあげ、1年間で58%以上の上昇を記録した。
ウォール街の予想を上回る盛況ぶりを受け、JPモルガンのアナリスト、ダグラス・アンムート氏は、目標株価を1375ドルに修正。米国の小売市場におけるオンラインショッピングの割合がまだ12%にとどまっている点を挙げ、「Amazonの成長は始まったばかり。今後さらなる成長が期待できる」との見解を示している(CNBCより)。
Amaznoの起爆剤はeコマース産業だけではない。クラウドサービス事業AWSの第3四半期収益は、アナリストの予想を平均8000万ドル上回る45.8万ドル。成長率42%という快挙を成し遂げた。 クラウドサービスの需要が高まる近年、成長の可能性は無限大だ。
またホールフーズ・マーケットの買収で食品小売産業に乗り出しているほか、ドローンによる配達や広告業拡大など、期待の持てる要素をふんだんに秘めている。
Alphabet(GOOGL)――株価成長率はAppleより上?多角化事業で持続的な成長期待
昨年12月中旬をピークに1053ドルまでなだらかな下降を描いているものの、10月以降1000ドルの大台は維持している。
ライバルAppleと5年間の株価を比較してみると、Appleの成長率が2.3倍であるのに対し、Alphabetは2.8倍。AmazonやFacebookほどの急上昇を期待できる要素は少ないが、持続的な成長率ではAppleよりも上といったところだろうか。
第3四半期の売上高は277.7億ドル(前年同期比24%増)、純利益は66.3億ドル(33%増)、1株当たりの配当は9.75ドルだった。傘下GoogleやYouTubeからの広告収入が、純利益を過去最大にまで押しあげるという結果に。同社の総売上高の9割を占めるGoogleの売上高は274.7億ドル(19%増)と、総体的に好調な流れを見せた。
Amazon同様、Alphabetの事業は年々多角化しており、エンタープライズ向けクラウドサービスやデータ管理、ソフトウェア開発、機械学習技術開発にまで広範囲な領域に取り組んでいる。
CNNの予想データ によると、アナリスト43人中34人が「買い」、6人が「現状維持」に指定しており、「売り」と見ているアナリストはひとりもいない。
エヌビディア(NVDA)――「AIチップで市場を制覇する」正念場の年となるか?
エヌビディア(Nvidia )はAIチップ開発への移行で一躍注目を浴びたNvidia は、1993年、カリフォルニア州で設立された半導体メーカーだ。長年にわたりゲーム用GPUの製造を手掛けていたが、現在はAIコンピューティングへと分野を広げ、株価は過去1年で2倍、過去5年で16倍に膨らんでいる。
市場の予想を大幅に上回る好調な売上に反し、昨年11月以降株価が若干落ち込んでいるため、「買い株」としては地盤がゆるいとの見方もある。しかしAIチップの需要が爆発的に伸びている近年、現在の193ドルからさらに高値をつける可能性も大いに考えられる。2018年はAIチップ分野で主権をにぎれるか否かが、今後の株価に大きく影響するだろう。
Microsoft(MSFT)――ブロックチェーン技術に新境地を見いだす
昨年12月以降85ドル前後を維持しているMicrosoft株。株価上昇率は過去1年で137%、過去5年で326%と、AmazonやFacebookのような派手さはない。
しかしライバル同様、多角化経営による成長が期待されており、本来のインターネット関連のソフトウェア開発からテレビゲーム機やデジタル音楽機器の開発、Microsoft Azureを通したブロックチェーン技術の開発・提供など、株価を押しあげる機動力をふんだんに秘めている。
カスタマーズ・バンコープ(CUBI)――学生向けモバイル銀行設立で株価上昇に期待
ペンシルバニア州を拠点とする米国の地方銀行カスタマーズ・バンコープ(Customers Bancorp)。時価総額8億ドルの小銀行だが、学生および銀行口座を所有していない消費者向けのモバイル銀行バンク・モバイルを設立を2015年に発表 。2018年中旬に始動の予定を予定しており、株主には1株当たり3.57ドルの配当が支払われる。
現在の株価は26ドル前後だが、年末までには37~38ドルに値をあげると期待されている。
ストア・キャピタル・コーポレーション (STOR)――バークシャー・ハサウェイが株式を保有する内部管理ネットリースREIT企業
バークシャー・ハサウェイの持ち株会社、ストア・キャピタル・コーポレーションは2011年、アリゾナ州で設立された内部管理ネットリースREIT(不動産投資信託)企業だ。バークシャー・ハサウェイは昨年6月、9%の株式を取得した。
主にレストランや映画館、児童教育センターといった不動産の買収・投資・管理を手掛けている。シニア・リーダーシップチームは、シングルテナント運用不動産産業で30年以上の経験をもつベテラン揃いだ。
昨年5月に25ドルから20ドル台を切るまで暴落したが、現在は26ドルと暴落以前より値上がりしている(ロイターデータ)。
アリババ・グループ・ホールディング(BABA)――中国オンラインショッピングの熱狂とともに株価上昇
昨年1年で株価が3倍に膨れあがったアリババ。時価総額4419億ドルを誇る中国最大のeコマース・コングロマリットだ。過去5年にわたる年間売上増加率は50%。2017年の売上増加率は53%と、2010年にAmazonが見せた跳躍(40%増)を大きく上回った。
現在の株価は172ドル前後に落ち着いているものの、11月には200ドルの大台に乗りそうだった。中国の消費財市場は昨年10月に5172億ドルを突破(年間成長率10%増)。そのうち18%はオンラインによる購入だったという(チャイナ・インターネット・ウォッチより )。オンラインショッピングは今後も成長を続けると予想されており、それとともにアリババの株価はさらなる高値をつけるだろう。
投資家向け市場分析サイト、スマート・アナリストによると 、「隠れた億万長者」と称される米国の投資家、スティーブン・コーエン氏もAmazonとならびアリババに投資家としての運命をかけている一人だ。コーエン氏の経営するコネチカット州の投資企業ポイント72アセットマネージメントは、「家族経営」とはいうものの運用資産総額110億ドル。ヘッジファンド顔負けの好業績を叩きだしている。コーエン氏は自社を通し、第3四半期にアリババ株を37%増やし、現在10万株(1800万ドル相当)以上を保有している。
ライアンエアー・ホールディング(RYAAY)――2万本のフライトキャンセルにも負けない欧州一の大手格安航空会社
欧州一の国際旅客数を誇るアイルランドに本社を置く格安航空会社。2016年は1.17億人(前年比15%増)の旅客を輸送した(CAPAデータ )。同社の年次報告書 によると、2017年の予想収益は66.4億ユーロ(約8977億円/2%増)、税引後調整後利益は13.1億ユーロ(約1771億円/6%増)、調整後1株当たりの純利益は105.30ユーロ(約1.4万円/14%増)。
昨年はパイロット不足からダイヤ通りの運行が不可能になり、約2万本ものフライトをキャンセルせざるを得なかった。その代償として8月には19ユーロ(約2572円)前後に上がっていた株価が15ユーロ(約2030円)まで下落(ロンドン証券取引所データ )。
こうした浮き沈みの影響は予想より薄く、2018年も好調に伸び続けると期待されている。
トラベラーズ・カンパニーズ(TRV)――相次ぐハリケーン被害で利益大幅減だが、巻き返しに期待
時価総額(321億ドル)で米国最大の保険会社。営業用不動産、自動車、不慮の事故および個人保険を提供している。
2017年は被害総額(推定1800億ドル)をだしたハリケーン・ハービーと、それを上回るといわれるハリケーン・イルマ(推定2000億ドル)に、8・9月と相次いで見舞われた結果、後期は多額の損失をだした。
第2四半期の決算報告に よると、当期純利益は2.3億ドル、希薄化後一株当たり利益は1.05ドル。前年同期から5.8億ドル減、1.35ドル減と、大型ハリケーン2連発が与えた打撃の大きさが伺われる。 同社はこれに自社株の買戻しで対応。ハリケーン直後には129ドルから119ドルまで暴落した株価は、現在135ドルまで値上がりしている(ブルームバーグデータ )。今年再び災害に襲われないかぎり、さらなる伸びを期待できるだろう。
デルフィー・テクノロジーズおよびAPTIV――分社が値上がりの引き金に?
ゼネラルモーターズを母体とするデルフィー・オートモーティブ。現在は次世代自動車関連製品などを開発するデルフィー・テクノロジーズ とモバイルソリューションを開発するAPTIV に分社化されている。
この大胆な組織再編こそが2018年の値上がりを予感させる。昨年12月の取引初日、デルフィー・テクノロジーズ(DLPH)は始値51.54ドル、終値57.25。APTIV(APTV)は始値88.89、終値88.77となった。現在はデルフィー・テクノロジーズが52.47ドル、APTIVが 85ドル前後まで値をあげている。(アレン・琴子、英国在住フリーランスライター)
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