日々のマネーライフにおいて、クレジットカードという存在は「諸刃の剣」だ。現金がなくても購入欲を満たせるが、翌月の支払日にはキッチリと支払義務が生じる。現金の代わりに払う手段ではなく、現金を「後払いにする」手段。
ところが「貯め上手」の中には、この特徴を身につけて上手にクレジットカードを活用している人がいる。その使い方をお伝えしていこう。
1. 「変動費」を翌月に回す
スマートフォンのCMを見ていると、月次の通話料が余った場合、「翌月に回す」というサービスが注目されている。賢い人はクレジットカードにおいてこの考え方を応用する。つまり、月次の支出のうち予定額を超過したものを翌月に回し、複数月で帳尻を合わせる。この時に超過分の支払いをクレジットカードにすることで、支払い義務を先送りするという方法だ。
誤解を招きがちだが、これは貯蓄上手に欠かせない「しっかりとした計画」のうえに成り立つものだ。まず前提として、月次の収入と支出を把握しておくことが必要。これは手書きのノートでもExcelでもいいが、最近注目されている家計簿アプリを使うと便利だ。次に月次の収入から支出を引いて、月次単月が黒字(プラス)か赤字(マイナス)かを算出する。赤字の場合は支出が高いので、家賃など翌月以降に動かせない固定費と、一時的な出費など変動費を分ける。この変動費をクレジットカードで購入し、翌月に回すという方法だ。
大切なのは「行き当たりばったり」ではないこと。かつ不可欠なのは、変動費の負担が増した翌月には一層の支出管理をして、複数月にわたる黒字、最低でも収支トントンの状態でなければ、この節約策は効果を生まないということ。翌月は変動費があるからと支出に慎重になり、節約する気持ちが増えるくらいの気持ちを生みたいものだ。
クレジットカードには分割払いやリボ払いなど一見するとお得と受け取れる機能が多い。ただ、分割払いは利息が増えることが指摘されはじめている。ポイントに関しても、定期的にポイントを消費することで現金の値引きを生まなければ、「よくわからないが貯めているだけ」ということにもなりやすい。いわゆる、表面上の効果を信じ過ぎないことが大切だ。
2. 実は幅広い「クレジットカード払い」の対象を把握しよう
言い換えれば、このポイント制度を「活用」することで、いまよりも更にクレジットカードの恩恵を受けることができる。特に電力やガス、国民年金保険といった公的性の強い支払だ。
あまり知られていないが、現在は国民年金保険をクレジットカードで支払うことができる。平成29年度の国民年金保険料は1万6,490円。1年(12カ月)に換算すると、19万7,880円をクレジットカードで支払うこととなり、ポイントが期待できる。電力やガスも月々何千円という金額のため、1年で換算すると多額のポイントが期待できるだろう。支払のためにコンビニエンスストアや金融機関での待ち時間も解消する点もお勧め。簡単な手続きでクレジットカード払いへの変更は可能なので、ぜひ試してみたいところだ。
日本年金機構:http://www.nenkin.go.jp/shinsei/kokunen.html
3. マイルカードだけない、「鉄道系カード」に注目
クレジットカードというと「マイルが貯まる」という言葉に直結するほど、航空機利用者とってメリットは多い。一方であまり知られていないのが、航空機よりもはるかに需要がある鉄道機関を対象としたカードがあるということ。
一例では、東京メトロを対象とした「To Me CARD Prime」が挙げられる。定期券と一体になったこのクレジットカードを使用することで、最大5倍以上の東京メトロポイントを貯めることができる。
また、汎用性を持つSuicaにも期待ができる。「ビュー・スイカカード」では、還元率1.5%が期待できる。通勤定期代がポイントの対象になるなど、節約上手にとっては理想形だ。更にビューカードの持つ優待機能や保険などを家族と共有できる「家族会員」も設定されているため、機能を見逃しなくチェックするようにしたい。
東京メトロ To Me CARD Prime
このように、クレジットカードは見えない部分に多くの魅力があり、それを活用することで「貯蓄上手」になるといえるだろう。自身の消費行動に合わせ、また家族の生活行動に合わせて、存分に活用するようにしたい。
工藤崇(くどう たかし)
FP-MYS代表取締役社長CEO。1982年北海道生まれ。相続×Fintechサービス開発中。資格学校勤務後不動産会社、建築会社を経て2005年FP事務所を設立。1年後の2016年7月に法人化。多数の執筆のほか、Fintech関連のセミナー講師実績を有する現役の独立型ファイナンシャルプランナー(FP)として活動中。本社は東京都港区虎ノ門。