不動産は、人対人のサービスであり、地域密着型のビジネスでもあります。昨今は、金融×ITの「フィンテック」など、さまざまな○○テックが伸長していますが、不動産業界は、なかなかIT化が進まない業界だとされていました。しかし、そんな不動産業界にも、次第にIT化の波が押し寄せつつあります。今回は、不動産×ITの「不動産テック(Real Estate Tech)」についてお伝えします。

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(写真=Shaynepplstockphoto/Shutterstock.com)

不動産は規制が多い業界

不動産業界でIT化がなかなか進まなかった理由として、不動産の取引には宅地建物取引業法などの規制が多いことが挙げられます。

例えば、宅地建物取引業法では、契約の重要事項説明について「対面」で説明し、重要事項説明書は「書面」で交付することが義務づけられています。これでは、インターネットを介した仲介などは不可能でしょう。

2017年10月に、ようやく法律の解釈を変えて、ネット上での説明でもOKとする方針が示されたところです。こうした国の規制緩和が進むことで、不動産テックもさまざまな広がりを見せていくことが期待できます。

不動産テックは業界が抱える課題に風穴を開ける

不動産テックは、以下のような不動産業界が抱える課題に風穴を開ける可能性を秘めています。

1.取引の不透明性
2.情報の非対称性
3.IT化の遅れ
4.複雑な制度

まずは、従来よりトラブルになることも多い1、2について。不動産には、路線価や公示価格などのある程度の指標はあるものの、実際の成約額は、当事者同士にしか分からない仕組みになっています。そうした背景を受けて、不動産テックによる価格の可視化が小さなブームになりつつあります。また、マンションに住んでいる実際の住民による口コミサイトなども登場しています。

日本人は新築不動産信仰が強いと言われていますが、これは中古物件の査定が不透明で実際の価値が分かりにくいという情報の非対称性も一因だと考えられます。人口減で空き家が増えるなか、中古住宅の流通は業界の至上命題となっており、不動産テックが一役買うことが期待されています。

次に、3について。不動産の売買情報は、インターネットの物件情報サイトもあるものの、折り込みチラシや立て看板などに頼る部分も大きいものです。また、不動産業界自体はIT化が進んでいない会社や古くからの会社も多いことなどから、スマホやネット、アプリなどよりも、電話やファックスに頼る部分が多く残っています。

不動産テックによって、物件の内見や物件確認を自動音声が対応してくれるといった業務支援や、物件と購入希望者を結びつけるマッチングサービスなども登場しています。

そして、4について。不動産ローンや節税対策といった不動産に関わる法律などの場合、専門家にしか分からないものものもあるでしょう。不動産テックの一例として、今借りている不動産ローンの条件などをアプリに入力すると、より条件の良い銀行やローンのプランを提示してくれる、ローンの借り換え支援サービスが登場しています。

VRやAI、ビッグデータなどを活用したサービスも

さらに一歩進んで、VR(仮想現実)やAI(人工知能)を利用した不動産テックも登場しています。例えば、VRを使って遠隔地の物件の内見を「体験」できるサービス、ビッグデータをもとにAIがマンション売却価格を予測して自動算出するサービスなどがあります。

また、シェアリングやクラウドファンディングといったシェアリングエコノミー型のサービスでの不動産テックも広がりつつあります。小口でも不動産に投資できる選択肢が増えれば、一般投資家の拡大にもつながるでしょう。

いまや、消費者の購買行動の入り口としてインターネットの存在が欠かせません。VRやAI、ビッグデータなどITの最新トレンドが不動産テックにも浸透することで、さらに画期的なサービスが生まれることが期待されます。(提供:不動産投資セミナー

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