東京都財務局が発表した2017年の地価公示価格は東京都全域でプラス2.8%と4年連続の上昇で、23区内に限ると4%も上昇しました。 にもかかわらず、不動産業界や投資家の間では「地価の上昇は2020年の東京五輪まで。それ以降、地価は下がる」とする説が非常に多いのも事実です。 果たして、東京五輪後に地価は本当に下落するのでしょうか?

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(写真=PIXTA)

東京への人口流入が続く限り、地価は下がらない

東京五輪が過ぎても、地価が下がらないとみられる大きな理由は、東京への一極集中が進み、いまだに人口流入が続いていることです。

東京都の統計によると、東京都全域の人口総数は2010年の1,259万人から2017年には1,353万人、23区内では850万人から930万人と、ともに100万人前後も増加しました。ここ5年間は23区内の人口が毎年10万人ペースで増えており、その増加分がそのまま東京都の人口総数の増加につながっています。

東京五輪終了後は湾岸エリアの晴海五丁目に作られた選手村が住宅に転用され、およそ18ヘクタールの土地に24棟、5,650戸が建設される予定です。

東京都は、2025年までは人口が増え続けると見込んでいます。東京の人口が増加し続ける限りは、東京五輪後に地価は下がるどころか、五輪後も地価はまだまだ上がる、と考えるのが自然です。

中国人をはじめ外国人が東京の不動産の買い手になる

当然、不動産価格は景気次第で変動しうるもので、2008年のリーマンショックのような世界的な金融危機が再発すれば、日本の不動産価格にも下落要因として働きます。

とはいえ、東京の地価は香港、シンガポールなどに比べれば、極めて割安です。東京五輪後に期待できるのは、日本以上に経済成長を続ける国から見ると割安な東京の不動産に対する海外マネーの流入であり、外国人の増加です。

東京都の発表によると、2013年に39万人だった住民基本台帳上の外国人の数は2017年には48万人に増え、23区に住む外国人は2015年の35万人から16年37万人、17年は41万人と急ピッチで増加しています。全国的な人口減を理由に都は東京都内の人口について「2025年をピークに減少に転じる」としていますが、外国人の流入増は見込めるのかもしれません。

中国人の不動産投資呼び込みを模索する不動産会社も

東京都内に流入する外国人を国別に見ると、17年時点で東京都内に住む41万人の中で、台湾を除く中国人が約18万人と全体の約4割を占めています。

日本の人口が減少傾向にある中で、外国人の増加が今後も東京の人口増加をけん引し、地価上昇を支える大きな力になることは見逃せないポイントです。

外国資本による都内不動産への投資を後押ししようと、国内の不動産会社も「インバウンド」需要を掘り起こそうと躍起になっています。

民泊の規制緩和が投資用新築マンション市況を下支え

さらに、国は2020年に訪日外国人観光客の数を4,000万人以上に増やす国策を推進中です。ホテルなど宿泊施設の数が絶対的に不足している中、民泊需要はどんどん高まっていくでしょう。

民泊に関しては、マンション規約で民泊を禁止するマンションも多いですが、訪日観光客4,000万人を実現するにはよりいっそうの規制緩和が不可欠です。

一棟がまるまる民泊することが可能な施設といった物件が台頭してくれば、新たに民泊をターゲットにした新築マンションの建設も始まりそうです。

東京五輪後に起こる不動産市況のパラダイムチェンジ

東京五輪は2020年7月24日に始まり、8月9日に終わる予定です。パラリンピックを入れても、1ヵ月余りの短い期間の出来事にすぎません。

五輪によって新たな変貌を遂げ、世界中から注目を浴びた新しい東京の五輪後の発展は不動産市況のパラダイムチェンジにかかっています。

「東京五輪後は地価が下がる」という説を受け止めて投資家が買い控え、東京の地価が下がるようなことがあれば、逆に不動産投資を始める絶好のチャンスになるのかもしれません。(提供:不動産投資セミナー

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