昨日の海外時間には、原油の在庫増などを受けて原油相場が約1ヵ月ぶりの水準まで急落し、米長期金利が上昇したことからドル買いが優勢となりました。その後一旦上昇した日経平均先物が上昇幅を縮めたことから円の買戻しが強まりました。

昨日の海外市場動向

FXプライム,高野やすのり,市況解説
(画像=PIXTA)

欧州時間序盤、東京時間午後の流れを引き継いで日経平均先物が下落したことから円買いが優勢となって、ドル円は108.90円付近まで、ユーロ円は134.60円付近まで、ユーロドルも1.2330台まで下落しました。その後日経平均先物が反発すると米長期金利も上昇を始め、円売り戻しが優勢となって、ドル円は109.30円台まで、ユーロ円は135.00円台まで上昇しました。

NY時間序盤、米長期金利がやや低下して円買いが強まって、ドル円は109.10円台まで、ユーロ円は134.60円台まで反落しました。その後EIA(米エネルギー情報局)の原油統計が発表されると、ガソリンなどの在庫が予想よりも多かったことと、米原油生産量見通しが上方修正されたことから原油相場が急落する中、米長期金利と各国株価が上昇し、ドル買いが強まってドル円は109.60円台まで上昇し、ユーロドルは1.2240台まで下落しました。その後各国株価が反落すると一旦円買いが強まってドル円は109.20円台まで、ユーロ円も133.80円台まで下落する場面もありましたが「米上院指導部が今後2年間の予算方針を超党派で合意した」と報じられると、米長期金利の上昇したことからドル円は109.70円付近まで、ユーロ円は134.50円台まで上昇しました。

NY時間終盤から東京時間朝方にかけては各国株価が反落したことから円買いが強まりました。

FF金利先物市場の3月利上げの織り込みは75%まで上昇しています。

今日の予定

今日の海外時間には、英中銀MPC(金融政策委員会)が開かれ、政策金利の発表、四半期インフレ報告の公表、カーニー・英中銀総裁の会見が行われるほか、独・12月貿易収支/経常収支、米・新規失業保険申請件数の発表があるほか、バイトマン・独連銀総裁、メルシュ・ECB専務理事、プラート・ECB専務理事、ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁、カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁の講演が予定されています。

今後の見通し

昨日ドイツでは、メルケル首相のCDU/CSUと、野党SPDが大連立交渉で原則合意に達した、と報じられました。今後SPD内のより多くの議員、さらには党員投票を経て正式に連立政府発足へ向かう為、まだ時間も掛かる上、党員投票では反対とされる可能性も残っています。しかしメルケル首相らが、財務相ポストをSPDに渡すなど大幅に譲歩したことから、このまま大連立が成立する可能性が高いと考えられます。一方米上院指導部は、昨日今後2年間の予算方針に超党派で合意したと発表しました。連邦歳出上限を3000億ドル近く引き上げる見通しとされていて、トランプ政権の経済政策の実現を後押しする内容です。またこれとは別に今日で期限を迎える暫定予算を今日中に可決する必要があります。

ドル全般の強さを示す指数は2日から上昇を続けています。一方5日に急低下した米長期金利はほぼ元の水準まで戻し、暴落したNY株も安定を取り戻しました。ここのまま再び米株価が上昇基調に戻るかは依然予断を許さない状況ではありますが、ダドリーNY連銀総裁が「この株式市場の揺れはそれほど大きくない」「株式相場が数日前より少し下げているという理由だけで、私の見通しは変わっていない」と述べて米経済に自信を示したように大きな混乱は終わった可能性が高いのではないでしょうか。

ドル円押し目買い

ドル円はしばらくはもみ合いが続く可能性が高いと考えられますが、大きく下げる可能性も後退したと考え、109円付近での押し目買いを目指します。

(提供:FXプライムbyGMO)

高野やすのり
慶應義塾大学卒。チェース・マンハッタン銀行(現J.P.モルガン・チェース銀行)、スイス・ユニオン銀行(現UBS銀行)などでインターバンクディーラー業務等に従事。現、(株)FXプライムbyGMOチーフストラテジスト。