先週(2/5〜2/9)の日本株は歴史的な急落で3週続落。日経平均は週間で1891円91銭(8.1%)安の2万1382円62銭で年初来安値を更新、17年10月3週以来の水準まで落ち込んだ。

週間で8.1%の下落率は、16年2月2週に原油価格が30ドルを割り込み世界的にリスクオフで日経平均が1万5000円を割った11.1%安以来。何年かに一度起こるとされる急落局面だった。

きっかけとなったのは米債券の急落。ただでさえ好調な米経済に、税制改革、インフラ投資が上乗せされることでインフレ懸念が出始めた。積極的なリフレ政策から国債の増発は必至。債券市場の需給が悪化懸念から米長期債利回りは年初の2.4%から先週8日には一時2.88%まで上昇した。金利の上昇は株式市場にはネガティブ要因。

さらに、歴史的に低水準にあった米国株指数S&P500のボラティリティ指数であるVIX指数がショートカバーから急騰した。ボラティリティの上昇をクオンツ系のコンピューター売買(アルゴリズム)のファンドがリスクオフと判断し、一斉に株式売りに回った。NYダウは週間で1330ドル(5.2%)安と続落、2週連続で1000ドルを超える下げとなった。今回の下げは「VIXショック」とも言われている。

9日のNYダウは一時500ドル安まであって引けは330ドル高。相場の底打ちと言われる「たくり足」という下ひげの長い陽線がチャートにでており、ドル円も80銭程度反発していることから一旦底打ちの可能性がある。

日本株は年初からの上げピッチが速かっただけに米株と連動して下げたが、決算発表が本格化している企業業績は絶好調で割安感も出て来た。日経平均採用の225社の今期予想EPSは、12月末1511円→1月末1531円→2月9日1634円まで急上昇している。

日経平均のPERは、1月23日のザラ場高値でほぼ16倍にまで達していたが、株価の調整とEPSの上方修正で13倍まで低下している。ここ数年のPERのレンジは14から16倍に収まっていることが多く、13倍は明らかに割安ゾーン。GPIFなどの日本の年金資金は、10-12月はネットで株式を売却したが、PER13倍では再び買いに転じる可能性が高いだろう。日柄的にもバリュエーション的にも今回の急落がいい調整になり、絶好の買い場到来と見ている。6日の窓埋めが2万2659円。75日移動平均線が2万2794円。PER14倍で2万2876円。2月はこのあたりまでの戻りを試す展開になるとみている。

先週(2/5〜2/9)の振り返り

株式展望
(画像PIXTA)

5日の日経平均は大幅続落、前日比592円(2.6%)安の2万2682円で引けた。下げ幅はトランプショックの16年11月以来の大きさで、年初来安値を付けた。

2日の米国市場で米長期債利回りは2.85%と14年1月以来の水準まで上昇、金利上昇を警戒して株式市場は665ドル(2.5%)安とリーマンショックの08年12月以来の下げ幅を記録した。リスクオフから日本株やアジア株も全面安で一時600円を超える下げとなった。

6日の日経平均は急落し3日続落、前日比1071円(4.7%)安の2万1610円で引け年初来安値を更新した。下げ幅は16年6月のBREXIT以来の大きさ。ザラ場の安値は2万1078円71銭だった。

米株の急落からVIX指数が急騰、NYダウは1175ドル安と史上最大の下げとなった。日経平均も大きくギャップダウンして始まり一時1600円安まで売られた。日本市場の日経VI指数も一時35.34とBREXIT以来の水準まで上昇した。ドル円もリスクオンの円買いで一時108円46銭まで円高が進んだ。日銀が連日で731億円のETF買いを入れパニック売りが一巡、ドル円も109円台にもどしたため、後場には安値からは500円以上戻して引けた。東証1部の売買代金は5兆6483億円と13年5月以来の大商いだった。

7日の日経平均は4日ぶりに反発、前日比35円(0.2%)高の2万1645円で引けた。NYダウが567ドル高と反発。日本株もリバウンド狙いの買いが集中して始まり一時700円高まで上げたが、時間外でNYダウ先物が下げ幅を広めたため日本株の買いは続かず往って来いで引けた。

8日の日経平均は続伸、前日比245円(1.1%)高の2万1890円で引けた。海外市場が落ち着きはじめた。東京時間でもNYダウ先物の夜間がプラスに転じ、ドル円が109円半ばまで戻すと、日本株にもリバウンド狙いの押し目買いが入った。

9日の日経平均は3日ぶりに大きく反落、前日比508円(2.3%)安の2万1382円で引け、6日につけた年初来安値を再び更新した。NYダウが再び1000ドルを超える下落。日本株も再びギャップダウンした。しかしNYダウが4%の下げに対し日経平均は2%程度の下げと、反発狙いの押し目買いも入り始めているようだ。一時770円安から下げ幅を縮小して引けている。6日のザラ場安値も抜かなかった。特にマザーズなどの新興市場も反発が目立ち、個人の物色意欲の回復を感じた。日銀は今週3回目の731億円のETF買いを執行した。ミニSQだったこともあり東証1部の売買代金は4兆を超えた。

先週の海外市場を振り返る

9日の海外市場は乱高下が続いた。NYダウは一時500ドル安まであって引けは330ドル高の2万4190ドルで引けた。ザラ場で一時2万3360ドルと年初来安値を更新したが引けでプラスに転じたことで、相場の底打ちと言われる「たくり足」という下ひげの長い陽線がチャートにでている。

週間では1330ドル(5.2%)安と2週連続で1000ドルを上回る下げとなった。1月26日高値の2万6616ドルから2月9日のザラ場安値までの下げ率は12.2%となった。10%を上回る下げは調整局面と言われ、NYダウは16年1月以来の調整局面入り。

米長期債利回りは8日に一時2.88%と14年以来の水準にまで達したが9日は2.85%とやや落ち着いた。VIX指数は29.06と前日比4.40(13.2%)安と7日の37からは落ち着き始めたが、まだ危険領域とされる20を上回っている。ドル円のNY為替市場での引けは、108円85銭と前日比5円円安。

NYダウの急落時にはリスクオフの円高で、一時108円05銭と17年9月のトランプショック以来の円高をつけたが、ダウがプラスに転じると円は反落し始めた。9日の東京為替市場の17時のドル円の109円16銭に比べると31銭の円高。

今週(2/13〜16)の株式展望

今週の日経平均の予想レンジは2万1078円〜2万2353円を想定している。日経平均は長期サポートである25日移動平均線、75日移動平均線を下回った。米VIX指数とともに上昇した日経VI指数も6日に31.02、9日には36.05まで上昇している。ただ、9日に2月ミニSQを通過し、デリバティブの動きに伴うデルタヘッジの売り買いは落ち着くだろう。9日の米国市場でたくり足がでており、VIX指数もやや落ち着いた。

下値の目処は6日のザラ場安値の2万1078円。高値は8日の戻り高値2万2353円を想定している。今週のイベントは、日本では12日が建国記念日の振替休日、14日は5年国債入札がある。世界では平昌オリンピック開催中。12日には米予算教書、15日から21日まで中国春節の休暇、15日には米30年インフレ連動債入札、16日は北朝鮮故金正日総書記生誕76年がある。

今週の経済指標は、日本では14日に10-12月GDP、首都圏新規マンション販売、15日に機械受注がある。世界では14日に独10-12月GDP、米消費者物価、小売売上高、15日に米生産者物価、米鉱工業生産、米NY連銀製造業景気指数、米フィラデルフィア連銀製造業景況感指数、16日に米住宅着工、米ミシガン大学消費者マインドがある。

決算発表はすでにピーク越え。13日の住友不、14日の東芝、日本郵政、ダイキン、キリン、15日のアサヒ、16日のブリヂストンなどが注目。米決算では、14日のシスコシステムズ、16日のディアなどが日本市場にも影響が大きい。

平田和生(ひらたかずお)
慶應義塾大学卒業後、証券会社の国際部で日本株の小型株アナリスト、デリバティブトレーダーとして活躍。ロンドン駐在後、外資系証券に転籍。国内外機関投資家、ヘッジファンドなどへ、日本株トップセールストレーダーとして、市場分析、銘柄推奨などの運用アドバイスをおこなう。現在は、主に個人向けに資産運用をアドバイスしている。