このコーナーでは毎週原則木曜日に実施しているMarket Talk(動画セミナー)のサマリをお届けします。
2018年2月15日(木)Market TalkのSummary
日経平均は後場から値を消す日々が地合いの悪さを象徴していますが、二番底への懸念は?
いったんマーケットが大きくクラッシュすると一発で底が入ることはなく、必ず2番底、3番底を探りにいくのがマーケットの定説である。例をあげると、典型的なのは2008年秋のリーマンショック。最終的に株価が底入れしたのは半年後の翌年2月~3月であった。価格の調整は早いが玉の調整が追い付かず、売りそびれた人が戻ったところで戻り待ちの売りを出す。
ポイントは今回の下げはその大きなクラッシュなのか?ということ。大した下げではないのでは、ということであれば、この辺で下げ止まってそろそろ2番底を探りながら戻ってくるということだろう。米国株は高値から今回の急落で下げた分のほぼ半値戻しのところまで戻ってきたので、「半値戻しは全値戻し」と言われるとおり、戻るのがみえたようなものだと思う。
また、レポートでも今回の急落の原因は金利上昇ではないと述べているが、昨日もCPI(消費者物価指数)が強めに出て、金利も2.9%台で3%に迫ろうというところまで上昇しているのに、米国株は4日続伸で半値戻し。VIX指数も20ポイント割れ。金利上昇、インフレが高まっている状況はリスクオフではない。しかし株は上がっている。今回の急落については、経済がここまで良くなっているのだから金利が上がるのも当たり前、株が上がるのも当たり前、そのバランスが少し崩れて軽く調整しただけ、という見方もできると思う。米国株も下げたとはいえ1割ほどで、日本株も似たような状況だ。大した下げではないということであればここで下げ止まるかもしれない。
ただ、本当に2番底が入るのは彼岸底のころではないか、節分天井が節分の1週間~10日前にきたので、彼岸底もその1週間~10日前とすると3/10から中旬くらいまでに2番底で完全底入れではないかと考える。
日本株・米国株 共に買いを入れるのはまだ早いでしょうか?何か指標となるものは?
ひとつだけこれを見ておけばよいというものはなく、複合的にみていかなければいけないが、まずひとつは米国株自身を見る‐株価の動きそのものを見ること。今回の急落は株価の変動が招いた急落である。インフレ懸念で金利が上がったからということは問題ではなく、株価が動いたこと自体が下げが下げを呼ぶ展開となった。米国株はもう少しで半値戻しなので、半値を戻したらもう底は入ったとみてよいだろう。あとは金利。金利が上昇しているにも関わらず株価がしっかりとしているということは、それに慣れてきているということ。アメリカの金利上昇も大勢がついてきたということだろう。またVIXも一応見ておく。この3つの点から見ると、そろそろ打診買いから入っていって良い頃だろう。
なぜ円高が進んでいるのですか。円高がさらに進むことで日本企業の業績に悪影響を与えるのでは?
レポートでも述べているが、為替に理屈はない。為替レートは購買力平価が均衡値にはなるが、これはあくまでも理論で、実践では金利差で動くと言われているが、現在米国の長期金利が3%に迫るまで上昇しているときに、ドル円は106円台と真逆の動きである。昨年まではまだ金利とドル円は連動して動いていたが、今年に入って逆に動いている。これは説明がつかないが、結局為替の市場参加者は、理屈ではなく、下がるから売っている、売るから下がっているということだ。投機筋の円売りがたまっていてそれが巻き返っている、それで円高に動いているという話もあるが、そうだとすると完全に踏み上げ相場になっているということ。ある意味需給的なものである。どこかでファンダメンタルズに回帰すると思う。企業業績への影響については、105円くらいならあまり影響はないのではないか。自動車などは現地生産が進んでいるし、為替の差損があったとしても、アメリカの法人税減税で上振れた分相殺できるといった見方もできる。105円になれば介入もあるだろう。そうなれば投機も止まるだろう。
米国では金利上昇で金融株に対する期待が高まってますが、日本株の場合どうですか?
銀行株はどこかで買われてくると思うが、そのタイミングは金利上昇。日本の場合は金利が上がらない状況なので難しいところではあるが、デフレ脱却ということは金融政策正常化への一歩なので、日本も金利が上がる方向に向かっていくだろう。アメリカでは更に過剰な金融規制に対する緩和という材料や、経済自体も法人税減税などにより活性化すると考えられることから景気敏感株の金融株は注目されている。日本も同じようなストーリーとなるのではないかと思う。
広木隆(ひろき・たかし)
マネックス証券 チーフ・ストラテジスト
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