先週(2/19〜2/23)の日本株は続伸、日経平均は週間で172円53銭(0.8%)高の2万1892円78銭で商いを終えた。週間のザラ場高値は19日の2万2152円、安値は22日の2万1626円だった。

日本株は外部要因に振り回されている。NYダウは米長期債利回りの急騰とVIXショックによる下げから2月16日には半値戻しで2万5432ドルまで戻したものの、連休明けの先週初は2日連続安から始まり2番底を探りに行く展開だった。ただ、長期金利の上昇が節目の3%を前に落ち着いたため週後半には、米株は再び戻り歩調となり16日の戻り高値まであと約120ドルに迫る2万5309ドルで引けた。

先週の日本株は米株の反発を受けて週間を通じて上げはしたが、日経平均の戻りは円高懸念から、NYダウの戻りに劣後している。特に週初は、前場に日経平均がしっかりしていても、午後から欧州系の外国人と思われる先物主導の売りでジリ安となる嫌な展開だった。

米国はインフレ懸念が高まり、欧州、日本はテーパリングが意識されており、主要国の金融政策のすれ違いがドル安・円高の流れを作っている。ドル円は16日の105円55銭からは反発したものの、週を通じて107円を中心に方向感に欠ける展開だった。

東証1部の売買代金は連日の3兆円割れ。19〜20日には連日で今年最低の売買代金を更新した。通常大きく下げた後の戻り相場では売買代金が急増することが多いのだが、この薄商いを見る限りまだまだ市場は波乱含みだ。今週もNYダウや金利、為替動向などの外部要因を見ながらの動きとなるだろう。

今週はFRBの新議長パウエル氏が就任後初の議会証言を下院で28日、上院で1日に行う。パウエル氏が現在の市場をどのように見ていて、今後の利上げをどのようなスタンスで望むのかに焦点が集まる。利上げにタカ派ならば長期債利回りは一段の上昇で節目として意識される3%につっかける可能性が高いだろう。一方、ハト派であれば金利は落ち着きドル高・円安に転じる可能性がある。

日経平均のPERは13倍と過去数年のレンジの下限である14倍を下回っており決して割高感はないのだが、さらに円高が進むようだと業績の下方修正要因となるだけに、外国人投資家も円高が収まらないと本格的な買いを入れづらい。

一方、国内投資家が揃って買いに転じつつある事はポジティブな材料だろう。投資家別売買動向では、2月2週現在で外国人は6週連続の売り越しだが、国内年金の手口が出る信託銀行が5週連続の買い越し、個人が4週連続の買い越しだ。1000円安を記録した2月1週には個人の買い越し幅は7458億円と過去最高になった。投信も2月2週こそ小幅売り越しだったが2月1週までは3週連続で大きく買い越した。

株式投信では日興のロボテックファンドの純資産が18年になり1兆円を超えた、株投としては2000年のノムラ日本株戦略ファンド以来の1兆円ファンドの誕生だ。1月24日ローンチの大和のグローバルEV関連株ファンドが773億円、2月23日ローンチの野村日本割安低位株オープンが595億円を集めた。株価の戻りを見た個人が、株式投信を通じて市場にもどりつつある事は明らかだ。

円高が落ち着き外国人の買いが入るなら、日本株の需給が一気に改善し、大きく戻すことも想定しておくべきだろう。

先週(2/19〜2/23)の振り返り

株式展望
(画像=PIXTA)

19日の日経平均は3日続伸、前日比428円(2.0%)高の2万2149円で引けた。2月5日以来の高値だった。

16日にはNYダウが6連騰、週間では過去最高の上げを演じ、下げ幅の半値戻しを達成した。ドル円も一時105円55銭までの円高をつけたが106円台に戻したため、日本株にも買い戻しやリバウンド狙いの買いが集まった。もっとも、米国は連休中、アジアは春節であり外国人参加者は限定的。東証1部の売買代金は2兆3256億円と今年最低だった。

20日の日経平均は4日ぶりに反落、前日比224円(1.0%)安の2万1925円で引けた。連休明け米国市場では市場に対する懸念が再浮上、3日間で1000円リバウンドしただけに利益確定の売りで午後から先物主導で下げ幅を拡げた。東証1部の売買代金は2兆2390億円と連日で今年最低を記録した。日銀は731億円のETF買いを執行した。主力株が冴えない一方で、マザーズ指数やJASDAQ平均は4連騰。個人の資金が新興市場や小型株に集まっているようだ。

21日の日経平均は反発、前日比45円(0.2%)高の2万1970円で引けた。ドル円が一時107円台後半の円安となり、日本株も午前中には一時200円高だったが、NYダウ先物の夜間取引がマイナスに転じたことで先物主導の売りで一時マイナス圏に転じた。ただ押し目には意欲も強く小幅ながら日経はプラスに転じて引けた。新興市場は堅調でマザーズとJASDAQは5連騰。

22日の日経平均は反落、前日比234円(1.1%)安の2万1736円で引けた。注目の1月のFOMC議事要旨録の公開後、米長期債利回りが1時2.95%と14年1月以来の水準まで上昇、米株は連休明けから2日続落した。日銀は731億円のETF買いを執行したが、日本株は先物主導で下げた。マザーズは一服したがJASDAQは6連騰。

23日の日経平均は反発、前日比156円(0.7%)高の2万1892円で引けた。 NYダウが3日ぶりに反発、米長期債利回りも低下したことで、日本株にも安心感から買いが先行した。マザーズも反騰し、JASDAQは7連騰。

先週の海外市場を振り返る

23日の米国株は続伸、23日のNYダウは前日比347ドル(1.4%)高の2万5309ドルだった。2万5000ドル台回復は2月16日以来。米長期債利回りとVIX指数がともに下落し市場心理が改善、週間では90ドル高と2週連続の上昇となった。基本的にはリスクオンの市場に戻し始めた。

NY為替市場は106円95銭で商いを終えた。前日比では15円の円安。東京に17時時点でのドル円レートからは8銭の小幅円高でなかなか107円台は定着しない。株の戻りに対し、ドルの戻りは限定的だった。

21日に2.95%まで上昇した米長期債利回りは2.8%台まで低下した。VIX指数は16.49と2月1日の水準にまで低下しており、パニック的な状態は完全に脱しつつあるだろう。

日経平均の夜間取引は、2万2030円と23日の大阪引け比120円高で2万2000円を回復している。

今週(2/26〜3/2)の株式展望

今週の日経平均の予想レンジは2万1500円〜2万2150円を想定している。 2月14日安値2万0950円が、200日移動平均線に一度タッチしながらも下回らなかったことで下げ相場は底を打ったとの見方も強い。しかし、日経平均の戻りは米国市場に比べて遅く、ドル円や米国債などの動向次第ではまだ2番底を見に行く可能性も残されている。しかし、長い目で見れば日本株のファンダメンタルズの良さから、中長期投資としては今年最大の買い場となる可能性もあるだろう。

2月21日に25日移動平均線が75日移動平均線とデッドクロスしており上値の重い展開が想定されるが、為替さえ落ち着けば思ったより早く戻ると見ている。個人や年金の押し目買い意欲も強いことから下値は2万1500円。戻りの目処はとりあえずは2万2000円回復から2万2000円固めとなる可能性が高い。19日高値の2万2150円あたりを目指す展開だろう。

今週のイベントは、日本では27日に2年国債入札、1日に10年国債入札がある。28日には東京オリンピックのマスコット発表がある。海外では28日にパウエルFRB議長の議会証言(下院)、1日に同議会証言(上院)が最大のイベント。28日にはバルセロナでモバイル・ワールド・コングレスという携帯電話の見本市がある。

今週の経済指標は、日本では28日に鉱工業生産、1日に法人企業統計、消費動向調査、自動車販売、2日には失業率、家計調査、マネタリーベースがある。海外では26日に米新築住宅販売、米シカゴ連銀全米活動指数、27日にCB消費者信頼感指数、米耐久財受注、S&P・CS住宅価格指数、28日に中国製造業PMI、米17年4QGDP改正値、米シカゴ購買部景気指数、1日に米ISM製造業景況指数、米新車販売、米マークイットPMI、2日に米ミシガン大学消費者信頼感指数がある。 (ZUU online 編集部)