中国版Airbnb「途家(トゥージァ)」が3月上旬、会社組織の改組と新戦略を発表した。ニュースサイト「網易科技」が内容を伝えている。中国の民泊業界とは、一体どのようなところだろうか。今後の見通しは?以下分析を加えてみよう。

Airbnb中国の発展

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(画像=PIXTA、大阪城)

Airbnbは2015年、中国に進出した。「愛彼迎」と表記する。2017年には、北京のオフィスを拡張。前任の中国事業トップ(中国人)が4カ月で辞任。新しい中国事業トップ、本社首席戦略官兼任のNathan Blecharczyk氏が、中国事業は、本部の制約を受けないと発言した。などのニュースが伝えられた。

2017年12月、Nathan Blecharczyk氏は「過去12カ月間で、225万人を超す中国旅行者が、Airbnb経由で中国本土の宿泊施設・民宿を利用した。また2017年第3四半期には、100万を超える貸主からの引き合いがあった。これは3年前の100倍である」と述べている。

Airbnbの国内市場の開発は順調のようである。その一方、中国人旅行者の海外での利用については、Airbnbは何も発信をしていない。しかし、これも好調のようである。2018年の春節、海外旅行の人気2トップは、タイ、日本であった。この2カ国に関しては、家族旅行、民宿の利用が大きく伸びている。特にこの2国民は親切という定評があり、使いやすいとみられ、実際に評判もよい。海外旅行のスタイルは、爆買いからコト消費への変化だけでなく、あらゆる場面で変化しつつある。

途家(トゥージァ)の特徴は?

途家は、Airbnbを真似て2011年に北京で設立された。Airbnb中国進出翌年の2016年、ネット旅行最大手の携程と提携した。さらに今年の3月上旬、これまでの関係を整理して新しい「途家」に改組すると発表したのである。

途家は、携程民宿、去哪兒民宿、螞蟻短租、大魚自助游など各社と連携し、国内で中級レベル以上の施設を確保する。また積極的に若者層への浸透を目指す。そして各社の海外事業部は、協力して海外宿泊施設の開発を行う。新体制の途家は、全世界1037カ所の目的地に、40万以上の宿泊施設を確保する。さらにテンセント系の微信酒店、アリババ系の芝麻信用とも協力し、2017年の売上高5倍、宿泊施設数3倍を目指していく。

国内勢を統合することにより、Airbnbに対して何とかしてアドバンテージを得ようという“チーム中国”戦略のように見える。

海外の人気ナンバーワンは大阪

現在の知名度は、新しいスタイルを提案したAirbnbの方がはるかに上回る。それをチーム中国が追いかける構図である。それでは焦点となりそうな地域はどこだろうか。途家の2017年データから推測してみよう。

●国内

10位 厦門
9位 西安
8位 杭州
7位 青島
6位 三亜
5位 広州
4位 重慶
3位 北京
2位 上海
1位 成都
であった。西安、青島、北京以外は南方である。南方の人気が高い。

●海外

10位 サバ(マレーシア)
9位 シンガポール
8位 ソウル
7位 パタヤ
6位 チェンマイ
5位 バンコク
4位 プーケット
3位 京都
2位 東京
1位 大阪
だった。日本勢でトップ3独占である。

中国人の海外旅行は様変わりし、見栄をはらずに民宿の利用を楽しむスタイルが増加している。そして行動パターンは、爆買いーコト消費ー美味しい料理の発掘へと変化している。

こうした中、率直な物言いで気取らない大阪人は、とくに中国人に好まれるようだ。本音で語る日中関係の実質的な中心として、大いに期待したい都市である。(高野悠介、中国貿易コンサルタント)