会社経営をしていると、税務や会計、法律のエキスパートの力を借りる場面がしばしばあるだろう。中でも、中小企業が特にお世話になるのが税理士だ。税務の専門家である税理士は、経営者と二人三脚で会社を成長に導く存在と言えるが、時には方向性の違いから、顧問の税理士を変えたいという局面があるかもしれない。今回は、税理士を選ぶ際のポイントを紹介する。
税理士を変更する理由として多いもの
長く事業を続けていく中で、顧問税理士を変更するのは珍しいことではない。税理士を変更する理由で多いものを見てみよう。
1.現状のサービス、報酬が理想とは異なる
税理士は個人事業主であるため、サービスや報酬にばらつきがある。そのため、顧問の税理士を決める際には、得意・不得意分野や、サービスに応じた料金体系を確認し、できれば複数から相見積もりを取るべきだ。ただ、お世話になった人からの紹介や、先代からの付き合いなどで、相見積もりは難しいこともあるかもしれない。
自分が理想とするサービスや報酬とは異なる場合には、同業者や地域の商工会などの集まりで、他社の相場を聞き出してみてもよいだろう。
2.節税対策についての考え方が異なる
税理士の中には、税金は多く払えば払うほど良いという考え方から、節税対策に積極的でない人もいるようだ。
ただ、合法的な範囲で税制を活用して収益を最大化するのは、経営の基本とも言える。こうした税に対しての基本的な考え方が異なる税理士とは、あるタイミングで齟齬(そご)が生まれる可能性が高い。
より効果的な節税には、企業の経営状態をきちんと把握することが必要だ。税理士に節税対策を希望するなら、決算・確定申告だけピンポイントで依頼するのではなく、通年での顧問契約を視野に税理士を探すとよいだろう。
3.なんとなく変更したい
税理士は、税務のエキスパートであると同時に、人的サービス業でもある。人と人の付き合いである限り、「なんとなく新しい税理士に変えたい」と感じてしまうこともあるだろう。
特に、経営者の代替わりの際は、先代から付き合いのある税理士からの変更を希望することが多いようだ。経営体制の刷新とともに、税理士の年代や相性、サービス内容などをいま一度見直してもよいだろう。
税理士を変更する場合のポイント
1.契約内容を確認する
まず、既存の税理士との契約内容を確認しよう。解約にあたって「●●カ月前に通達すること」などの条項がある場合、違反すると違約金が発生する可能性があるためだ。また、解約する場合はいつまで元の税理士に報酬を払う必要があるかも確認しよう。場合によっては、双方の税理士に報酬を支払うことになり、コストがかさんでしまう可能性もあるためだ。
2.資料の返却
決算書を作成するための領収書や請求書を渡している場合は、すべての資料を必ず返却してもらおう。決算や売上げ関係の書類のほか、扶養控除等の申請書や給与明細などの書類も忘れずに回収しよう。
3.次の税理士を見つけておく
税理士の変更は決算後が望ましいが、期中でも可能だ。ただし、税務署からの不意の問い合わせなどにスムーズな対応ができるよう、次の税理士はあらかじめ見つけておき、「空白期間」を作らないことが大切だ。
税理士はできるだけ長く付き合うべき
税理士は、うまく付き合えば経営のパートナーとなる存在なので、頻繁な変更は避けるべきだろう。節税や借り入れ、新規事業の立ち上げなどで助言を得ようとしても、自社の状況や経営者のスタイルをよく分かっていない税理士では、一般的な回答しかできない。
また、税理士の変更をするなら、予算なりサービス内容なりコミュニケーションなり、現状の改善点を明らかにして、次の税理士を見つけるべきだ。とくに、サービス内容や相性を重視せず、値段だけで決めてしまうと、往々にして後で後悔することになりがちなので、注意しよう。(提供:百計オンライン)
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